ダブリンのシティー・センターで、
信じられないような暴動が起こりました。
買い物に出かけた
マリアちゃんが、「オコンネル・ストリート、ファイヤー、バイオレンス…!」と大騒ぎで帰って来たので、何事かと思い、インターネットでThe Irish Timesのブレーキング・ニュースを見てびっくり。
北アイルランドから来たロイヤリスト(プロテスタント側)のオレンジ・パレードに反対して、約300名のリパブリカン(カトリック側)がダブリンの目抜き通りのオコンネル通りで暴動を起こしているというではありませんか!
その後、6時、9時半のニュースを見て、
驚きから怒りに変わりました。
暴動はオコンネル通りからナッソー通り、キルデア通りとリフィー川南岸まで広がり、
41名の逮捕者、警官・ジャーナリストを含む14名の負傷者が出たそうです。
ニュースの映像は、ショッキングなものばかり。
街の真ん中でメルセデスが炎上、店のショーウィンドーが割られ、警官に火炎瓶を投げつけるは、ジャーナリストに殴りかかるは…
見ているこちらが恥ずかしくなるような愚行の連続。その後に映像が出たイラクの様子と、見分けがつかないくらいでした。
私が腹がたつのは、
この暴動の裏には明確なメッセージが何もないということ。
例えばこれが、政治的テロだとか、独立を目指しての暴動、または真の意味での宗教的対立など、何らかの切羽詰った主張があってのことであれば、まだいいんです。最大限譲歩して、政府への個人的恨みだとしてもいい。
しかしこの人たち、
そういう熱いものを持っているわけじゃないと思います。極端に言えば、「うわ~、オレンジパレードだ、大騒ぎしてるぞ~、最近面白いことなかったし~、プロテスタントって悪い奴みたいだからやっつけちゃえ~」みたいな、実に衝動的かつ、こういった機会を利用して暴動を起こすのを楽しんでいる風なのが許せない。
意味なんかなく、多くの人々が「便乗して」暴れているだけという印象なのです。
逮捕者の多くは17~30歳。そのうち3名は外国人。この中に、本当のテロリストやナショナリストがいるとは考えにくい。逮捕理由の多くは、通行人を殴ったとか、警官に暴行をはたらいたとか、店のガラスを破ったとか…。なんだか、情けないと思いませんか?
数日前、シュネードと
Arbour Hillへ行ってきました(この話はあらためて書きます)。
1916年のイースター蜂起後に処刑された、愛国者の墓地のある場所です。
モニュメントに彫られた独立宣言書をシュネードはアイルランド語で、私は英語で読んで、感激のあまり思わず涙が出そうになりました。
90年前、やはりオコンネル通りで起こった暴動は、こんなものではなかったはず。アイルランドのため、平和のために、人々は命を捨てたのです。
ジェイムズ・コノリーやパトリック・ピアースが、もし今日のオコンネル通りの様子を見たら、なんと思うでしょうか。
まるで南北対立の歴史を利用するかのような、今日の「憂さ晴らし」の暴動には、本当に腹が立ちます。これまで主義主張のために命を落とした多くの人、現在のダブリンで平和に暮らす人々に対して、あまりのにもリスペクトがなさすぎる。
なんだかとても虚しい気持ちです。
銅像をきれいにして、真ん中に遊歩道が出来たばかりのオコンネル通り。
今日受けたダメージをクリーンアップするのには、なんと5万ユーロ(約700万円)という費用がかかるそうです。
私の暮らすダブリンの街が、こんな愚行で汚されることに心から怒りをおぼえます。
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