この数日間、紅茶愛好家のグループさんをご案内をさせていただいていました。
アイルランドの紅茶を楽しみ、紅茶にまつわる場所を訪ねて周るお仲間旅行。最終日の今日は、リプトン・ティーで知られるサー・トーマス・リプトン(Sir Thomas Lipton, 1850-1931)の先祖の地クロネス(Clones, Co. Monaghan)へ。

クロネスのダイアモンド(町の中心の広場)に建つ聖ティアナック教会。現在の教会堂は19世紀建立。17世紀のオリジナルの教会跡地に建造されました

教会のある高台から見晴らすクロネスの町。向こうの丘に見えるのは、クロネスのカトリック教会
サー・トーマス・リプトンとクロネスとの関わりについては、以前から興味を持っており、このブログでも紹介させていただいたことがありました。(過去ブログをご参照ください→
リプトン・ティーとアイルランドの意外な関係)
今回、奇しくもその関連のお客様をご案内させていただくこととなり、私自身も興味津々。
クロネスに着くと地元のコミュニティー・グループの方が3人も出迎えてくださり、リプトンゆかりの地をご案内くださるとともに、近くのビジターセンターでお茶とソーダブレッドでもてなしてくださいました。

聖ティアナック教会にあるリプトンのご先祖の墓所。墓碑がかなり薄れてしまっていましたが、確か1844年と記載されていました
トーマス・リプトンは、1850年、スコットランドのグラスゴーでアイルランド人の両親の元に生まれました。
リプトンの両親は、その数年前にクロネスからグラスゴーへ移民、食料品店を経営していました。子供の頃から両親の店を手伝っていたトーマス少年は、大変なアイデアマンで、将来のビジネスマンとしての大成功を示唆するようなユニークなエピソードが多く残っています。
アイルランド人としてのルーツにも常にこだわりを持ち続けていた・リプトンは、晩年ヨット・レースに傾向するようになってからは、自身のヨットを「シャムロック号」と名づけていたそうです。
(トーマス・リプトンの生涯については、リプトン社のHPに詳しく紹介されています→
トーマス・リプトンの生涯)
クロネスの町にはリプトンの名を残すショップがあり、もともとはトーマス・リプトンの先祖が所有していた敷地だったとか。

クロネスの何でも雑貨・食料店、
Liptons。残念ながら紅茶は売られていませんでしたが、店の看板に「So much more for less(より安く、よりたくさんの良いものを)」とのスローガンが書かれているあたり、リプトンの有名なキャッチフレーズ「茶園から直接ティーポットへ」を思わせます

カウンティー・モナハンの旗を振る現オーナーのTonyと、クロネスを案内してくれたMary。グループ全員にこの旗をひとつづつお土産にくださり、皆さん大喜び!
オーナーのTonyの話によると、トーマス・リプトンの時代、この店はグラスゴーのリプトン社がアイルランドへ輸出したものをストアしておくデポだったそうです。
食料品店を経営していたリプトンの故郷に「リプトン・ショップ」がちゃんと残されているなんて、そのこと自体がひとつのアイリッシュ・ユーモアのよう。
子孫も財産も残さず、一代限りで花火のように散ったビジネスマン、トーマス・リプトン。
クロネスの皆さんの温かいもてなし、そしてその功績や人柄が、先祖の地で地味だけれども誇りをもって語り継がれていることに、心温まるような気持ちになったのでした。
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