先日のダブリン国際映画祭で観客賞を受賞した話題のアイルランド映画、『
Waveriders』がいよいよ封切りになり、昨日、見に行ってきました。
製作に5年を費やしたというサーフィン映画。
近代サーフィンのルーツをアイルランドにたどり、さらにその「波(ウェイブ)」が、ビッグ・ウェイブに情熱をかけるサーファーたちにより今日のアイルランドに再び戻ってくる…という、ユニークな構成のサーフ・ドキュメンタリーです。

製作した
Inis FilmsのHPより
サーフィンの知られざるアイリッシュ・ルーツと、アイリッシュ・ビッグ・ウェイブの迫力ある映像をつづった作品として、昨年春のベルファースト映画祭の頃からすでに話題となっていたこの映画。公開をずっと楽しみにしていたものの一つでした。
サーフィンのルーツというのは古代ポリネシアだそうですが、ヨーロッパ文化が押し寄せる中で次第に消滅していったようです。
19世紀後半~20世紀初頭、ハワイで再びサーフィンの伝統が復活した頃、卓越した波乗りと泳ぎの技術を持つ一人の青年がいました。彼の名はジョージ・フリース(
George Freeth, 1883‐1919)。20代前半でその才能を見出されアメリカ西海岸に渡り、カリフォルニアでサーフィンの技術を人々に伝え、「近代サーフィンの父」として後世にその名を残した人物です。
フリースの父親がアルスター地方からハワイに移民したアイリッシュであったことに焦点を当て、近代サーフィンのルーツにアイリッシュ魂があったこと、さらにそれがカリフォルニアを経て全世界のサーフ・ブームを作り、現在のアイリッシュ・ビッグ・ウェイブへの憧れへとつながっていく…という、サーフィンの歴史をアイルランドを軸として捉えたユニークな作品。
今も活躍するサーファーたちの語りやサーフ姿が合間に織り込まれ、北アイルランド、スライゴ、モハーの断崖などでのサーフシーンも美しく、迫力満点でした。
見ていて個人的に興味深かったことは、ジョージ・フリースの人生に日本人との意外な接点があったこと。
フリースはアメリカ西海岸初の公式ライフガードに認定された人物でもあるのですが、1908年、日本の漁船が難破した際、自らの身体を張って勇敢にも6人の日本人漁師を救助したのだそうです!
100年前の話とはいえ、スクリーンの中の彼に、思わず「ありがとう!」と声をかけたい気持ちでした…。
期待を裏切らない素晴らしい作品で、サーフィンに情熱を注ぐ人々にすっかり魅せられました。
サーフィンのメッカ、アイルランドにいるからには…と、以前から興味はあったものの、この映画をきっかけに今にもサーフ・レッスンを申し込む勢いです…!
※フリースが活躍したロサンゼルスのレドンド・ビーチ(Redondo beach)には、彼の功績を記念したブロンズ像(昨年夏に盗まれてしまったようですが)や、彼の名をとった通りがあるそうです。
(
BeachCalifornia.com、
Mark and Risbeauさんのブログ(日本語)を参照させていただきました。)
- 関連記事
-
コメント
チャンなか
今、携帯でたまたま今日知ったジョージフリースのことを調べたく検索したところ このblogに最初に辿りつきました☆
その映画はもう日本でも公開されているのか自宅に帰ったら調べよーと思います!!
もうすぐサーフィンを始める予定でカルチャーに興味があり、なおかつアパレルでそのような商品をとりあつかってるので興味深々で読んでしまいましたー。
ありがとーございます☆
2009/04/19 URL 編集
naokoguide
地味な作品なので日本での公開は難しいかもしれませんが、アイルランド関係の映画祭などをチェックしていればそのうちチャンスがあるかもしれませんね。
私も、すっかり感化されて、サーフィン始める予定です♪
今後ともよろしくお願いいたします。
2009/04/20 URL 編集