
北アイルランドのコーレイン(Coleraine)近くにて
先週末はシックスネイションズの決勝戦のみならず、以前から楽しみにしていたイベントがもうひとつありました。
昨年10月に、北アイルランドとスコットランドで撮影したNHKのドキュメンタリー番組(
NHK・BS世界のドキュメンタリー『憎しみを越えられるか~北アイルランド紛争・対話の旅~』)。あの「対話の旅」に参加した皆さんが再集合し、泊りがけで番組の鑑賞会が行われたのです。

旅のメンバーが全員集合するのは、10月以降初めて
あの旅が終了した直後のミーティングで、「ドキュメンタリーが出来上がったら、皆で集まって見ましょう!」と約束し合った皆さん。
私も、日本での放送後にNHKに寄せられたモニター・レポートを英訳したものを持参して、鑑賞会にジョインさせていただきました。
参加者にとっては大変なチャレンジであったスコットランドでの5日間。番組を見ることであのとき想いを再体験するのは、まだまだ「和解の旅」の途中である皆さんにとっては、必ずしも心地よいことではありません。
撮影時間60時間が50分に編集されているわけですから、一体どんな場面が映し出されるやら、そのあたりも心配されていたことでしょう。
緊迫した50分間が終わり、ひとりひとりが順に感想を言い合いました。誰もが番組の出来に大変満足しておられ、自分たちの気持ちの変化や体験を再確認できたことに価値を見出してくださったようでした。
あの「対話の旅」が皆さんにとって、大きな一歩となったことは間違いないようです。
この夜は、誰もが打ち解けたムードで、明け方まで飲んで語り合いました。
ドキュメンタリーの成功に心からほっとされたようで、それはまるでお祝いの宴そのもの。(番組の評判がよかったことももちろんですが、映像の中の自分に対面するという心のチャレンジにも成功したのですね)
翌朝は遅めの朝食の後、緑の中を皆でウォーキング。
仲良く花輪をつくるこの3人(笑)、彼らがかつて敵対するテロ組織のメンバーであったとは誰が想像できるでしょう。

左からクリスティー、アリスター、ドン。クリスティーとドンはナショナリスト、アリスターはロイヤリストのテロ組織に属していました。今ではそのことでジョークを飛ばし合えるほどの仲です
今回のプロジェクトを通して、宗派・信条の違いの壁を越えた人間同士の信頼関係で結ばれた皆さん。今や「和解の旅」を共に続けていく、同士のような関係になっておられます。
皆さんの次なる課題は、旅に参加していない他の家族や、コミュニティーの人々にこれを伝えていくこと。まずはしっかりした根を作り、そこから枝葉を広げていこう…というのが、あの対話の旅の目的です。
フィジカルな旅は終わりましたが、本当の意味での皆さんの旅は、まだまだ始まったばかりなのでした。
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コメント
pearlnonikki
歴史的瞬間と言ってもいいぐらいのことよね。
こんな経験滅多にできないと思う。
日本人であるnaokoguideさんがこの歴史的瞬間の目撃者というのも
最初から決められていた定めのように思えて不思議な感じがします。
2009/03/26 URL 編集
naokoguide
例えて言うなら、眠っていた目を開けてくれたような…。彼らを見ていると生きていくってこういうことなんだ、という気持ちにさせられ、
2009/03/27 URL 編集
ヒュブラウン
宜しくお願いします。
2009/04/03 URL 編集
naokoguide
ブラウンさんの著書を読みながら、ああアリスターが言っていた事と似ているなあ、と何度も思いました。時代も一緒なので、お知り合いでは・・・?と思っていましたが、やはりそうだったんですね。
早速、アリスターにメールして、ブラウンさんのご連絡先をお知らせするようにいたします。
NHKの番組に関しても、再放送があればまたお知らせしますね。
2009/04/03 URL 編集