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ローナン・オガラの魅力

この数週間、シックス・ネイションズのグランドスラムに至るまでのアイリッシュ・ラグビーを見ていて、選手たちの並々ならぬ闘志はもちろんのこと、その人となりがにじみ出たような、正直で正義感あふれるプレイやコメントに感激することが多々ありました。

特に昨日の決勝戦では、ローナン・オガラ(Ronan O'Gara)という人をあらためて見直してしまいました。彼の国民的人気は、その容姿が故ばかりではなかったのですね。
というのも、下の写真、試合終了後のオガラ(左)とオドリスコルですが…

ogaraodoriscoll2nations2009
RBS 6 Nations Official Websiteより)

オガラの赤いジャージーは、宿敵ウェールズのストライカー、スティーブン・ジョーンズ(Stephen Jones)のもの。アイルランドの勝利が決まった瞬間、誰もがチームメイト同士で抱き合って喜んでいる中、オガラが真っ先に向かったのは最後のゴールを外して勝利のチャンスを逃し、がっくり肩を落としたジョーンズのもとでした。
2人はひしと抱き合ってからジャージーを交換し、オガラはそのままウェールズの赤いジャージーを誇らしやかに着たまま表彰台にのぼったのでした。

ローナン・オガラは今回のシックス・ネイションズの得点王で、この試合でも逆転ドロップ・ゴールを見事に決めたヒーロー。しかしいい時ばかりではなく、他の試合ではシンプルなゴールをいくつもミスしていますし、決勝戦の最初のチャンスのゴールも外しています。
一方ジョーンズは決勝戦ではオガラとはある意味対照的で、それまでキックしたものはすべてゴール・インしていたのに、最後のいちばん重要なゴールだけを外してしまいました。あのゴールさえ決まっていれば、ウェールズが優勝していたのに…、皆の期待を裏切ってしまった…と、どれだけか悔やまれたことでしょう。

敵・見方と立場は違えど、同じポジションを守る者として、きっとオガラは、このときのジョーンズの気持ちが痛いほどよくわかったのではないかと思います。というより、この気持ちがわかるのは俺たちだけなんだ、という同士としての深い想いがあったのではないでしょうか。
一歩違えばそれは自分だったかもしれない…という気持ちが先にきて、自分のチームの勝利を喜ぶよりも先に、「君も勝利に値するくらい活躍したんだよ。いい試合をさせてくれてありがとう」とまずはジョーンズに声をかけずにはいられなかったように思います。

ジョーンズへの敬意をこめて、彼のジャージーを着て表彰台にのぼるオガラの表情は、嬉しいというよりもほっとしているようでした。
これまで緊迫した空気の中、皆の期待を背負っては何百本ものボールをけってきたオガラ。それが一段落してちょっと肩の荷が下りたような、そんな様子に見えました。

後日オガラのインタビュー記事を読んでいたら、ジョーンズを素晴らしい選手だと惜しみなくたたえており、自分にも過去にゴールを外してチームを敗北に導いた経験があるので…とやはり彼の気持ちに寄り添っていました。
これまで私は、ローナン・オガラという人は、ゴールを決めても外してもいつもなんだか涼しそうな顔だし、緊張しているのか脳天気なのかイマイチつかみどころがなく、魅力がよくわからないな~と思っていました。
しかし容姿がいいのでクールに見えるだけで、実は人間味のある熱い人だったのですね。だからこそアップダウンもあり、いつもいつもが神業的なプレイばかりではない。さりとてひとたびアップすると、その熱い想いがすべて形になったような美しい技を見せてくれる。プロとして鍛え上げられた「ホンモノ」の選手なのでした。
今回、彼のその涼しげな顔の裏に、強靭な魂のたくましさを見たような気がします。またベテラン・スポーツマンとしてのプロフェッショナリズムはもちろんのこと、人としての仁義を大切にする古風な人柄が垣間見えて、この人の素晴らしいさがよくよくわかったような気がしました。

ところで、アイルランドのラグビー・ファン(特に女性ファン!)の人気を2分する、オドリスコルとオガラ。
オドリスコルが天才的プレイヤー+ハンサムで、ハイプロファイルなガールフレンドがいて、スポーツ界の大スター…といったオーラを漂わせているに対し、オガラは自分がすごい選手だとか、ハンサムだとかいうことにあまり頓着していないような…。
TVコマーシャルにも出ちゃうくらいの容姿だというのに、もしかしたら天然な人なのか、あんまりわかっていないような気がする…。
オドリスコル・ファンか、オガラ・ファンか。私の周囲には女性のラグビー・ファンがあまりいないので、この話で盛り上がることが出来ないのがちょっと残念。ちなみに私は、くどいようですがストリンガー・ファンです!

stringerjoyofvictory
Irish Dairy Mail紙の付録マガジンに載っていた勝利を喜ぶストリンガー。この人はきっと、とっても面白い人に違いありません!

コメント

初めてコメント残させて頂ます。

読んでいて2チームのすばらしいスポーツマンシップの姿が目に浮かびます。
ここで(シドニー)で見れたなら、とちょっと後悔。
でも義理の弟が現地で生で、観戦していたらしいので次回感想を聞こうと思います。
昔アイルランドのチームがオーストラリアのチームとシドニーで対戦した時スタジアムで見たのですが当にアイリッシュウエザーでびしょぬれのゲームでした。

はじめまして。
私もストリンガーのファンです。
「小さな巨人」ですね。
あの小さな身体で大きな選手に、文字通りの体当たり。
ちゃんと大事な時に、すぱらしいタックルを決めてくれます!
忘れられないのが、2006年のハイネケン・カップ決勝戦でのトライ!

ちなみに今回の決勝戦。
最後にあのキックが決まってアイルランドが試合では負けていたとしても、合計得点で優勝(チャンピオンシップ)はアイルランドのものでしたよ。

ふうさんへ

コメントありがとうございます。
この数週間、シックスネイションズでほんとに楽しませてもらいました!
10年ほど前にブリンで日本対アイルランドの試合があって応援にいったのですが、当時はあまり興味がなくほとんど記憶になくて残念。
生で観戦するのは、ものすごい迫力でしょうね~。

kazさんへ

コメントありがとうございます。
ストリンガー、いいですよね~。まるで小ネズミのような彼の動きを見ていると、本当に小気味よくて爽快。彼のプレイを見ていると、時にはなんだか和みます。

あれで逆転されても、アイルランドの優勝ではあったんですね。得失点の数え方がよくわかっていませんでした。早速、記述を訂正します。ありがとうございました。
アイルランドの選手が好きなので試合は見るのですが、実はルールはわからないことだらけ。翌日近所のパブで、ラグビー好きの常連さんたちに疑問点を聞きまくり、やっとすっきり理解したのでした。(笑)

はじめまして!1月からゴールウェイでWHしてます☆
もっとアイルランドのことを知りたいと思って始めからブログを読ませて頂いていたのですが、naokoguideさんのお人柄にほれ込み、いつかコメントさせていただきたいな~と思っていたのですが、ついにオガラの話題が嬉しすぎて書き込みさせて頂くことを決意しました。
(1年前の話題なのに今さらすみません。。)

私は完全なるオガラ派です!きっかけは彼の娘さんに似ていたので、注目するようになったのですが、、笑
私はオガラのひょうひょうとしているところが好きです♪イングリッシュのストライカーのように毎回キック前に精神統一のようなポーズをしないで、そのままプレッシャーなんてないようにポーンとスコアしてしまうところがステキです☆
今年のシックスネイションズはもう終わってしまい残念ですが、いつまでもオガララブで応援していきたいと思います。
ストリンガーもかなりいい味出している方のようですね。今後大注目していきたいと思います!
書きたいことが沢山ありすぎるのですが、もしゴールウェイに来られることがありましたらお会いできたらうれしいです☆

PS.年末頃?のブログでグリーンマンについて触れていらっしゃいましたが、イギリスの教会ではよく目にしました。アイルランドのレプラコーンとはちょっと違うと思います。彼が歴史や宗教に詳しいスコティッシュなので、聞いたら何でも答えてくれると思います。(今はフットボール観戦に行っています。笑)
もしまだご興味ありましたらご連絡ください。
ちなみに彼はカトリックなので北アイルランドの記事も興味深く拝見させていただいてます。すごく勉強になります!ありがとうございます。

Megさんへ

いつも読んでくださり、ありがとうございます。
ローナン・オガラ、いい味出してますよね。
今年のシックスネイションズでは、ベテランらしい落ち着きで、まさにひょうひょうとした本来の彼の持ち味がよく出ていましたよね!

今年は残念な結果に終わってしまいましたが、若い選手の活躍も見られ、アイリッシュ・ラグビーの層の厚さが感じられるシーズンでしたね。

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プロフィール

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。
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