
このお屋敷、まるでホーンテッド・マンションのようだと思いませんか?!この日の天気のせいもありますが、それにしても雰囲気ありすぎな、
キャリック・オン・シュア(Carrick-on-Suir)のオーモンド城(Ormond Castle)です。
今はナショナル・ヘリテージとなっているこちらのお屋敷、
16世紀エリザベス朝マンションの典型的なもの。建てたのはやはり、
ケア城やスイス・コテージと同じく
オーモンド伯バトラー家です。
16世紀エリザベス朝時代というのは、ずばりシェイクスピアの時代。王侯貴族が、エリマキトカゲみたいなカラー(肖像画でよく見るアレ)を首につけていたあの時代です。
父ヘンリー8世の時代に行われた宗教改革を、実践的に浸透させたのが娘の
エリザベスⅠ世。この女王の時代に、ダブリンにはトリニティー・カレッジが誕生し、西海岸のゲーリック・チーフタンたちの主権が次々に奪われ、アイルランドのイギリス化が進められたのです。
オーモンド城は、
第10代オーモンド伯ブラック・トム・バトラーにより、エリザベスⅠ世のアイルランド訪問に備えて建てられたものです。しかし、これまたよくある話ですが、女王がここに滞在したという記録はないそうです…!
ブラック・トム・バトラーなる人物は、エリザベスⅠ世の(またまたまたまた…ぐらいの)いとこにあたるらしいです。エリザベスⅠ世の父ヘンリー8世が6人の后を娶ったことはよく知られていますが、2番目の妻
アン・ブーリン(イギリスの宗教改革のきっかけとなるのがこの婚姻)との間に生まれたのがエリザベスですね。アン・ブーリンの祖母がバトラー家出身なので、たどっていくと、2人は親戚関係ということになります。ややこしい…。“
ブラック”というニックネームは、彼の髪の色に由来するもの。
通常は夏場しか一般公開していないのですが、私たちガイドの特別なお願いを聞き入れて、この日、
鍵を管理している男性と、ガイドの女性が内部を案内してくださいました!
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写真で私たちが見学しているのは、
初代オーモンド伯ジェイムズ・バトラーの時代に建てられた14世紀の部分。これを元にして
16世紀にチューダー様式で増築したというわけです。
鍵を開けてくれた男性は、
1952年まで家族と一緒にこの屋敷に住んでいたそうです!
「今ビジター用のトイレになっているあそこがキッチンで、ここが応接室だったんだ~」と案内してくれた彼、どう見ても30代くらいにしか見えなかったのですが、54年前の記憶があるとはどういうことやら…???
一時はすっかり荒廃していたオーモンド城ですが、90年代に修復が行われ、一般公開の運びとなりました。
城にゆかりのバトラー家の面々のエピソードなどを聞きながら内部を見学していると、
案内の声がだんだんとブラック・トムの声のような気がしてきて…。臨場感たっぷり~。
内部の写真は
こちらのHPにたくさん載っています。
バトラー家に関しては、いくつか子ネタがあるのですが、また別の機会にご紹介します。

(城内で見つけた天使の彫刻)
★ガイドたちのティペラリー研修旅行1.
オタクなガイドたちの研修旅行2.
アイリッシュ・サイダーの故郷へ3.
聖パトリックの泉4.
ヒツジに注意!5.
クロンメルのミネラ・ホテル6.
ケア城とスイス・コテージ7.
ヒツジ・チーズの農場へ8.
ハチミツの草原クロンメルを歩く9.
ローレンス・スターンとアンソニー・トロロプ
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コメント
大塚さとみ
オーモンド城&ブラック・トムという日本語を見つけて、とても嬉しかったです!
私は16世紀のアイルランド史が大好きで、オーモンド城にどうしても行きたいのです!!【悲願】
できれば、駅から歩きかバスで。
でも地図やサイトを見ると……車がないと無理なのかな?と。
やっぱりアイルランドはレンタカーがオススメでしょうか?
ダブリンには一度いった経験がありますが、キルケニーまでバスで往復して、途中の緑の美しさと家々の風景を見、もっと地方の美しさを堪能したいなあと思いました。
Naokoさまイチオシの場所はございますか?
Naokoさまのような詳しいかたに情報いただけると、とてもとても嬉しいのですが…もしご迷惑でなければご教授くださいませ。
2014/07/06 URL 編集
naokoguide
ずい分昔の記事を読んで下さり、ありがとうございます。そう、オーモンド城、行きました、行きました。あれ以来、再訪する機会がなくているので、今自分が書いた記事を読んで「へぇ~」なんて思ってしまいました(笑)。
最寄りのCarrick on Suirまではダブリンからバスが出ていますので、そこまで行けば町の中心から城まで歩いて行けますよ。内部の一般公開は3~9月なのでご注意を。
美しい場所、お勧めの場所はたくさんあります。キルケニー周辺でしたら小さな美しい村がたくさんありますし、景観の美しいところですと、個人的には北西部ドネゴールや、南西部ケリーが何度行ってもまた行きたいです。
今後ともよろしくお願いいたします!
2014/07/07 URL 編集
大塚さとみ
ありがとうございます。
Suirはカタカナですとスィールでよいのでしょうか。
アイルランドの地名って、微妙に読み方が難しい…。
余談ですが[笑い]、ブラック・トムことトマス・バトラーさま、肖像画で見るとなかなか素敵な方ですよね。私は、彼のいとこだったバーナビー・フィッツパトリック卿という方が好きなので、その縁で、アイルランドに興味を持つことになりました。
でも日本では、まだまだ情報が少なくて。
Naokoさまにガイドしていただきたいです!
いつかぜひお願いいたします。
他の記事も拝見させていただいたのですが、Naokoさま凄いですね!
他にも男性のハープ奏者の方など、アイルランドで頑張ってらっしゃる日本のかたが沢山いてくださるので、わたしも頑張ろう!って思えます。
これからも応援しております!
オススメの場所も調べてみますね。
古城ホテル等で、あまり人に逢わずに緑の中のんびりできるような愛蘭土の場所がありましたら、またいつか教えてくださいませ♪
2014/07/08 URL 編集
naokoguide
私はバトラー家にそこまで詳しくないので、ご案内させていただく機会があれば、ちょっと勉強しなくてはなりません(笑)。バーナビー・フィッツパトリック卿・・・今度、調べてみます!
古城ホテルのオススメは、私はバリナヒンチ・キャッスルが好きです。
http://www.ballynahinch-castle.com/
他にも小さなマナーハウスなどもたくさんあるので、またおいおい・・・。
楽しいご滞在を!
これからもよろしくお願いいたします。
2014/07/08 URL 編集
大塚さとみ
現存しているのがお屋敷の前面の一部だけなのが残念でしたが、チューダースタイルはやっぱりいいなーと思いました。
そのあとCAHIRに戻り、スイスコテージであの素敵な遊歩道に癒されてしまいました♪
ご紹介頂いたバリーナヒンチも憧れちゃいます。
ぜひまたアイルランドにいきたいなって帰国後もずっと思ってます(笑^◇^)
パンづくりのお話がブログにありましたけれど、わたし、アイルランドのスコーンが大好きなんです。
実はわたしも信州出身で、今も東信に住んでいます!
もしご帰国の機会ございましたら、よろしければお声かけくださいね。
ずっとフランス語の勉強をしてたので、英語はすっかり抜けちゃって再勉強中ですが、もしフランスのことでご質問あれば、お助けできるかもしれません。
今回は本当にありがとうございました♪
2014/07/30 URL 編集
naokoguide
ご丁寧にご報告いただき、ありがとうございます。素晴らしい、自力でオーモンド城へ行ってこられたんですね!少しでもお役にたてて嬉しいです。
信州にお住まいとのこと、もしも上田の近くにお住まいでしたら、次回帰国の際にアイルランドからスコーンを持って帰りますよ。
よろしかったらこちらにメールください。
naoko@guidingireland.ie
今後ともどうぞよろしくお願いいたします♪
2014/07/31 URL 編集
大塚さとみ
わたしは上田に(!)住んでおります。
なので、素敵な偶然にワクワクしちゃいます。
ご迷惑でなければ、またメールで色々お話させていただきますね。
アイルランドで素敵な毎日を過ごされますように。
日本からエールをおくっています♪
2014/08/01 URL 編集
naokoguide
よろしかったらまたご連絡ください。
これからもよろしくお願いいたします!
2014/08/02 URL 編集