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ブライアン・カウエン首相の講演会

日本での休暇を終えて、再びアイルランドに戻ってきました。
昨日、日本を発つ前に、慶応大学で行われた来日中のブライアン・カウエン首相(Taoiseach Brian Cowen)の講演会へ行ってきました。

braincowenkeiospeech
司会者に紹介されるカウエン首相

非常に堂々とした話しっぷりで、日本とEUがより協力が必要であること、小さな国アイルランドが世界のために具体的に行っていることは貧困の撲滅と、軍縮と平和維持であること…など、理路整然と話しておられました。
最後の質疑応答では、話題のリスボン条約にも触れ、国民がNOを出したのは、政府が国民に日常生活がいかにEUと密接に結びついているかということを理解してもらうことが出来なかったため、とおっしゃっておられましたが、誰のことも非難しない端的な回答で納得&感心。
アイルランドの外交上の立ち位置がどんなふうであるかということは、ガイドとしてお客様にお話しする際にも重量なことなので、このようにまとまった形で話を聞くことが出来て大変勉強になりました。

カウエン首相のお話を聞いていてつくづく感じたのは、昔ながらのアイリッシュネスとは別に、今や「EU人」としての意識が問われる時代なのだなあ…ということ。
彼の話し方はまさに「EU人」のそれで、今回の外向けの講演では、EU国の一首相という立場で話しておられたました。
これは、普段アイルランド内でのみ彼を見ている私にとっては、目からウロコのような経験でした。我らがティーショックは、アイルランド人だけのものではなかったのね…といった、軽いショックのような気持ち。
アイルランド人がリスボン条約をすんなり受け入れられなかった理由は、まさにこの部分ではないかと思います。自分たちがアイルランド人ではなくて、「EU人」になってしまうのではないか…といった漠然とした危惧。
これは理屈ではなくて、メンタリティーの部分で受け入れにくいかも。ダブリンの人ならまだしも、例えばドネゴールのド田舎に住んでいて、ダブリンを飛び越えてEUを考えろと言われても、ピンと来ないのではないでしょうか。
(アイルランド人というより、我らドネゴール人、ケリー人といった意識の人も多いくらいですから…)

慶応大学の現役の学生さんもたくさん聴講に来ておられ、熱心にメモを取ったりしている方が多く、すごいなーと見ていました。
私が大学生だったとき、在籍校にクリントン米大統領が講演に来られたのですが、当時はそいうことにおおよそ関心がなく、友人が「聞きに行くの~」と目を輝かせて話している傍らで、「ふ~ん」と聞いているだけだった私。
クリントン大統領でさえ「ふ~ん」だった当時の自分を思うと、その若さで、世界情勢に関心があったりして、アイルランドという小さな国の首相の話をこんなに熱心に聴いている学生さんたちが、私にはものスゴイ人たちに見えました(笑)。

個人的には、この講演のテーマが外交政策についてではなくて、政治家を目指したきっかけは?とか、どんな学生時代を送ったか?といった、カウエンさんの個人的な体験談だったりしたら、もっと面白かったのになあ、などと思ったりして。
いつの間にやら、コワモテのテーショックにすっかり親近感&興味を持ってしまっている自分に、ちょっとびっくり(笑)。

コメント

もうアイルランドに戻ったんですね。
私もこの講演を聴きに行ってきました。確かにカウエン首相の発言は、「アイルランド人」をベースにした「EU人」としてのスタンスを強く感じさせる内容でした。リスボン条約批准が見送られた件に関して、本筋とは違う面で判断されることが多い国民投票の難しさを教えてくださいました。
ナオコさんが言うように、会場に居た学生たちが熱心だったことが印象的。最初に質問した学生さんが、1930年ころのアイルランドの歴史について勉強していると自己紹介していましたが、「ほー、すばらしい」とうなってしまいました。
夜は渋谷クワトロでグレン&マルケタのコンサートを聴き、その後、「Failte」(フォルチェ)という10月にオープンしたアイリッシュパブでギネスを堪能するという、素晴らしいアイリッシュデーでした。

シャーさんへ

うわ~、アイルランド満載の一日でしたね!
首相の講演の感想、私がうまく表現できなかったことを、シャーさんのコメントでまとめていただいた感じ。ありがとうございます!

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プロフィール

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。
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