先月のベルファーストでのTVロケの際、市内の図書館にてボビー・サンズ(
Bobby Sands, 1954-1981)の新聞記事を撮影しました。

1981年5月5日、ハンガー・ストライキにより獄中にて死亡したボビー・サンズの死を報じた、当時の新聞記事
IRA暫定派(PIRA)の受刑者たちが、政冶犯としての権利奪回を求めて獄中で行った、1981年のハンガー・ストライキ。
食事拒否から66日後に衰弱して餓死したボビー・サンズは、享年27歳。彼に続いて、さらに9名が同じようにストライキを行い、餓死しています。
ハンガー・ストライキの最中に、英国の国会議員にも選出されたボビー・サンズ。歴代で最年少の国会議員となったサンズは、その27日後に息を引き取りました。
その葬儀には10万人以上が集ったと言われ、現在も北アイルランドのカトリック系住民の多い地域では、命をかけて正義を貫いた英雄として語り継がれています。
(実際に北アイルランドを旅していると、この時亡くなった10名の顔を描いたメモリアルなどを、いろいろな場所で目にします)
このボビー・サンズの死の直前6週間の様子を題材とした映画、『ハンガー(
Hunger)』が公開となり、早速観に行って来ました。
撮影も北アイルランドで行われたこの映画ですが、ちょうど先月、私のベルファースト滞在中に市内でプレミアが行われており、TVや新聞でも話題となっていたものです。
RTE Entertainmentより
サンズ役を演じるのはマイケル・フェスベンダー(Michael Fassbender)。フェスベンダーはドイツ人ですが、アイルランド南西部のキラーニー育ちの若手俳優です。
彼の演技が素晴らしく、特に、ストライキをやめるよう説得する司祭に自分の哲学を語るシーンがあるのですが、約10分ほどカメラの切れ目のない長いシーンで、その静かな迫力に鳥肌が立ちそうになってしまいました。
当時メイズ刑務所内で行われていたプランケット・プロテスト、ダーティー・プロテスト、受刑者たちが殴打される様子など…目を奪いたくなるようなシーンがリアルで、しかも何の状況説明もされずに映像・演技・わずかなセリフのみによってストーリーが展開していくのが、ある意味すごい迫力。
恐ろしい・おぞましいシーンなのに、目が離せなかったのは、映像芸術としてとても優れた作品だったからかもしれません。
ちょうど、先月の北アイルランドでの仕事を終えたばかりだったので、いろいろな意味で考えさせらました。
カンヌ映画祭で新人監督に与えられるカメラ・ドール賞を受賞した話題作。
スティーブ・マックイーン(Steve McQueen)監督の日本語でのインタビュー記事が
こちらにありました。
日本では、東京国際映画祭で上映されたようですが、その後の公開予定は残念ながらまだないようですね。
北アイルランド問題関連の映画で、もうひとつ私が公開を楽しみにしているものは、『ファイブ・ミニッツ・オヴ・へヴン(
Five Minutes of Heaven)』という作品。
今年、北アイルランドで撮影されたノンフィクションで、先日TVの仕事で同行した
スコットランドへの和解の旅の創始者のひとり、アリスター・リトルさん(Alistair Little)の実話が題材となっています。アリスター役を演じるのは、北アイルランド出身の俳優リアム・ニーソン(Liam Neeson)。
アリスターの話によると、2009年の初めにUKで公開予定とのこと。知った人のフィクション映画とあって、今から楽しみです。
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