TVロケも第2週目に入り、番組の内容のさらに深い部分に入ってきました。
北アイルランド紛争を題材としたドキュメンタリー番組のため、紛争の犠牲者、加害者など、さまざまな立場にある人に、何度かお会いしてインタビューをしています。
今日お宅をお訪ねしたGさんは、お会いするのはこれで2度目。
紛争が激しくなり出した70年代初めに、お兄さんと弟さんをガンマンに撃たれ、亡くされたという方です。
ご兄弟が殺される数週間前がご自身の結婚式で、その結婚アルバムが、若くして命を絶ったご兄弟の遺影となってしまったそうです。

真ん中がGさん、Gさんの両脇が殺されたご兄弟。この日お2人は、新郎Gさんのベストマンでした
このアルバムは、2人が殺されて1週間後に出来上がってきたので、亡くなったお2人はこれを見ることはありませんでした。
幸福いっぱいのアルバムのはずが、悲惨な出来事を思い出させるものになってしまい、つい最近まで開いてみることはほとんどなかったそうです。
何の罪もない息子の命を、ある日突然奪われたGさんのお母さんのその後の話、お兄さんの奥さんが夫を殺されたあとに子を身ごもっていたことを知った話、Gさんご自身のトラウマを抱えて生きてきた話…。
まるで信じられないような話が次々飛び出し、それが大昔の戦争の話ではなく、つい数十年前のことかと思うと、一体自分はこれまで何をやっていたのだろうか…とGさんの話を通訳しながら、やるせないような気持ちになってきました。
取材のあとでじっくりとアルバムを見せていただきました。
こんなに幸せがあふれていて、さらに辛くて悲しい結婚アルバムは、これまで見たことがありません。
明日は、紛争中に敵を殺し13年間服役、獄中で改心して現在は和平維持の活動をしておられる方を訪ねます。
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