ダブリン・ヘンデル・フェスティバルのオープニングを晴れやかに飾った、“メサイア・オン・ザ・ストリート”。
『メサイア』初演を記念して、今年も初演の日である今日4月13日に、ダブリンの街角にハレルヤ・コーラスが響き渡りました!

素晴らしい歌声で熱唱するOut Lady's Choral Societyの皆さん。テンプル・バーのフィッシャンブル・ストリート(Fishamble St.)、ヘンデル・ホテル前にて
ヘンデル(Georg Friedrich Händel, 1685-1759)作曲の『メサイア』は、1742年4月13日、ダブリンのこの通りにあった音楽堂(Neal's Music Hall)にて慈善公演として初演されました。
クリスマスやイースターに歌われることの多い『メサイア』ですが、この“メサイア・オン・ザ・ストリート”は、毎年初演の日に初演の場所にて、しかも野外にて歌われるというユニークなコンサートです。

大人も子供も大勢詰め掛けて、狭い通りは人でいっぱい!
第一部のキリストの生誕から始まり、いくつかのチャプターが歌われたのですが、こんなに長く、しかも集中して『メサイア』を聴いたのは初めて。感激しました。
それにしても、野外コンサートをこんなにドラマチックに行える都市はダブリンしかないでしょう。なにせお天気による、自然の演出付きなのですから(笑)。
ざっとシャワーが来たかと思うと、今度は雹が落ちてきて、しばらくすると、嘘みたいに光が差して青空に…。約1時間の合唱中に、これが2~3度繰り返されました。
劇的だったのは、最後の「ハレルヤ」のコーラスが始まるや否や、空からものすごい光が差してきたこと。
まるで天使が舞い降りて来たかのような強い光の筋が、指揮者の男性を突然さ~っと照らしたのです。今思えば、あれは「ハレルヤ~」の力強い呼び声で、空の神様が目を覚ました瞬間だったのかもしれませんね。

最後に「ハレルヤ・コーラス」アンコール。観客も一緒になって、「ハ~レルヤ」と言う度に手を上げて大騒ぎ!
ちなみに、世界初の『メサイア』をプレミアで歌ったのは、ダブリンの2大教会であるクライスト・チャーチ大聖堂と聖パトリック大聖堂の聖歌隊のメンバーたち。
そして、その時の聖パトリック大聖堂の司祭長は、『ガリバー旅行記』のジョナサン・スウィフトでした。
すでにかなり高齢で頑固者だったスウィフトは、自ら聖歌隊に出演許可を出しておきながら、「オレはそんなことはした覚えはない~」と言ってみたり、「『メサイア』というタイトルはいかん!『神聖なるオラトリオ(A Sacred Oratorio)』 に書きかえよ」、「公演の収益はすべて、地元の精神病院へ寄付せよ!」としつこく主張してみたり…。ヘンデルや主催者たちをかなり困らせたようです。
そのせいもあって、一時はこの公演は中止になりかけたのだそうです。やれやれ~。
野外コンサートで興奮したまま、会場のお隣りにあるフィッシャンブル・ストリートのカフェに入りました。

その名もコーラス・カフェ(Chorus Cafe)。ここのコーヒーはおいしいです。メニューは、サンドイッチ、スープ、オムレツ、スコーンなど
このカフェも含めたアパートメントが建つ場所に、当時は音楽堂がありました。カフェの裏口からアパートの中庭へ入ると、そこにはこんな銅像が立っています。

このイベントは、毎年4月13日に同じ場所で行われます。今年は聴けなかった方も、来年はぜひ、いらしてみてくださいね。
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