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最果ての銅山アリヒィズ(ベラ半島研修・7)

すっかり時間が経ってしまいましたが、1月にガイド仲間と行ったベラ半島研修旅行の続きです。

1月とは思えないような素晴らしい青空が広がったその日、私たちは、ベラ半島(Beara Peninsula)のほぼ先端に位置するアリヒィズ(Allihies)銅山跡地を訪ねました。

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この地に豊富な銅があることが知られるようになったのは、19世紀初頭。
現在も、この付近の海に突き出した赤茶けた土壌を見ると、銅が露出して酸化している緑色のスポットがちらほらと見られます。

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この緑色の部分が銅!

アリヒィズの小さな村を見晴らす丘の上には、最盛期には5つあったというエンジン・ハウスのひとつが保存されており、当時の面影を残しています。
地元のガイドについて、私たちもそこへ上ってみました。

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19世紀には、コーンウォールから多くの労働者がやってきて賑わっていたアリヒィズ。多いときには、1300人の労働者がいたそうです。
しかし銅山での労働は過酷で、時には危険を伴う命がけのものでした。朝6時~夕方6時までという12時間の長時間労働の上、食べるものは貧しく、低賃金。最年少の鉱員は12歳で、子供労働者の場合は、同じ働きをしても、大人の4分の一の賃金しかもらえなかったそうです。

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銅山での過酷な労働や、当時の村の様子を事細かに説明して下さった地元ガイドは、ベラ歴史協会会長のコニー・マーフィーさん(写真右端)

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エンジン・ハウスからの眺め。向こうの湾には夏には海水浴の出来るビーチがありますが、採鉱によって出た砂によって出来たものだそう

世界的な銅の値の暴落などに打撃を受け、1930年代には閉山に追い込まれたアリヒィズ銅山。
職を失った労働者たちの多くは、同じく炭鉱の町であったアメリカ、モンタナ州ビュート(Butte, Montana)へ移民していきました。ビュートの町には、現在、その時にアリヒィズから移民したアイルランド人の子孫がたくさん暮らしています。

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多くの村人がこの湾から船に乗って移民していきました。対岸の半島でのろし火をたいては見送ったそうですが、それが移民していく人々が最後に目にした故郷の光景となったそうです

このアリヒィズ鉱山を最初に開き、代々維持・所有していたのは、Puxley一族。
『レベッカ』で知られる英国の小説家、ダフネ・ドゥ・モーリア(Daphne du Maurier, 1907–1989)の作品に、『ハングリー・ヒル(Hugry Hill)』というのがあり、そこに登場するBrodrick一族は、このアリヒィズのPuxley一族をモデルとしているそうです。
一族の子孫の一人、Christopher Puxleyという人がドゥ・モーリアの友人で、彼から話を聞き、小説の着想を得たと言われています。
ちなみにタイトルとなったハングリー・ヒルは、ベラ半島に実在する山の名前。半島の背骨となるカハ山脈の最高峰(685m)です。

現在、村の教会の建物を利用して、夏の間はアリヒィズ銅山博物館(Allihies Copper Mine Museum)がオープンしています。
私たちが訪れた時には残念ながら閉まっていたのですが、次回、この最西端の地を訪れる機会があったときには、ぜひ立ち寄ってみたいと思います。
また、『ハングリー・ヒル』も読んでおきたいと思うのですが、日本語訳はなさそうですね。

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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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