昨日より、アイルランド国内のTV、新聞を騒がせているのは、過去11年に渡りアイルランドのティーショック(Taoiseach=首相)を務めたバーティ・アハーン(Bertie Ahern)首相の突然の辞任のニュース。
The Irish Times(2008年4月3日付)より
国民に「バーティ」とファースト・ネームで呼ばれて親しまれているアハーン首相は、国内で大変な人気があり、昨年の総選挙で、歴代2人目となる3度目の当選を果たしたばかり。
その頃からか、首相になる以前の90年代初めの銀行口座への巨額な不正入金が暴かれ、不動産業者などからの賄賂ではないかとスキャンダルになっていました。
そのことが引き金となり今回の辞任を決意したとのことですが、会見では身の潔白を主張すると同時に、批判が高まる中で国の舵取りを続けていくのが困難になった…と話していました。
私がアイルランドに関わり出した頃から、ティーショックと言えばバーティ。
何年か前、選挙のキャンペーン中だったと思うのですが、ダブリン市内のスーパーマーケットに突然彼がやって来て、そこにたまたま居合わせたことがありました。
また、彼の行きつけのパブの前に黒塗りのメルセデスが停まっていると、「今ここにアイルランドの首相が来ていますよー」などとツアーのお客様にご案内しては、通り過ぎていたものでした。
そんなスモール・スケールのお国柄のせいか、長く務めた首相が退くとあって、私自身も個人的に感慨深い気持ちです。
私がそんな気持ちになるくらいですから、スキャンダルがあろうとも、当然多くのアイルランド人が彼の辞任を寂しく思っている様子。
ケルティック・タイガーによる経済発展や、北アイルランドの和平交渉など、彼が首相時代に納めた功績には評価されるべき点も多く、人柄云々ばかりではなく、プラクティカルな面での政治的指導力もある人だったのでしょう。
今日のThe Irish Timesの読書の投稿欄には、かなり感情的な手紙も寄せられていました。
「(スキャンダルを暴いたThe Irish Timesに対して)過去50年間読み続けてきましたが、これからはおたくの新聞はもう買いません!」とか、「メディアの皆さん、(バーティを批判して辞任に追い込み)これでハッピーでしょう?」といった皮肉めいたものなど。
「昨日のクロスワードに“地位を明け渡す=Give up a position”というクルーがあったけれど、あれは、このことを暗示していたんですね~。(答えは“辞任=resign”)」なんていうのもあって、クロスワード好きの私は、「私もそう思ったよ~!」とうなってしまったりして。(笑)
正式には、日本の首相のアイルランド訪問後の、5月6日に大統領に辞表を提出するそうです。
ゴールデン・ウィーク頃に、福田首相の訪問予定があるようですね。
ちなみに、次期首相候補として8割がた確実視されているのは、現・財務大臣のブライアン・カウワン(Brian Cowen)副首相。(上の写真で右端に写っている彼)
そういえば、数週間前にテンプル・バーのパブで彼を見かけましたが、公の場で見るよりフレンドリーな雰囲気の方でしたね。
※アイルランドでは、首相のことをティーショック(Taoiseach)と言います。ケルト時代の部族の族長を指すアイルランド語。
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2008/04/04 編集