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ブーリン・ガールズのアイルランド・コネクション

先日、16世紀の英国王ヘンリー8世と2番目の妻アン・ブーリンとの史実を元にした映画、『The Other Boleyn Girl』を観てきました。

bolyengirls

6人の后を娶ったヘンリー8世は、英国の宗教改革を行った人物としても知られています。
王妃の侍女として宮中に上がっていたアン・ブーリンを見初め、最初の后を離縁してアンと再婚したヘンリー8世。それが原因でローマン・カトリック教会から分離(カトリック教会は離婚・再婚を認めないため)、王を主教とする英国国教会を立ち上げることとなります。
これが俗に言う英国の宗教改革。王の気紛れから起こったこの騒ぎが、のちの宗派の違いを利用したアイルランドへの政治的侵略、さらには北アイルランド問題の最初の第一歩を作ってしまったわけですが…。

この英国史上もっともスキャンダラスな出来事のひとつであろうヘンリー8世とアン・ブーリンについては、これまでも多くの映画やドラマが作られたことでしょうが、今回のものは「もう一人のブーリン家の女の子」というタイトルが示唆するように、やはりヘンリー8世と関係のあったアンの妹メアリーにも焦点を当てた作品。
アン役をナタリー・ポートマン、メアリー役をスカーレット・ヨハンソンが演じています。
この2人、美しさのカテゴリーを対極とするような全く違ったタイプの美女ですが、実際にアンは小柄で色黒、エキゾチックな感じの美人、それに対してメアリーは、豊満で女性らしい色白美人だったそうです。

この作品には原作があり、それがとても面白いと聞いていたのですが、やはりしっかりした原作のあるものは、映画にした場合も外れませんね。
登場人物の描写に深みがあり、宮中のドロドロを描きながらも、若い女性の胸の内がよく表されていて、単なる歴史物の枠を越えたとても良い作品でした。

ところで…
このブーリン家には、ちょっとしたアイルランド・コネクションがあります。
アン&メアリー・ブーリンの父方の祖母にMargaretという人がいて、この人が、アイルランドのキルケニー(Kilkenny)を本拠地とするオーモンド伯爵家バトラー一族の出なのです。
バトラー家とは、13世紀に英国王ジョン王と共にアイルランドにやって来て以来、王代理のごとくアイルランドで特権的な立場を与えられていた特別な一族。
ブーリン姉妹の曽祖父は、そのバトラー家の7代目頭領Thomas Butlerだったのです。

そして、バトラー家がしばしば「英国王家と親戚関係に当たる…」と形容されるのは、ひとえにアン・ブーリンのおかげ。
彼女とヘンリー8世との間に生まれた女児がのちのエリザベス1世ですから、バトラー家の血筋から英国女王を出したというのは真実なのです。(ところが悲しいかな、エリザベスは生涯独身で子をもうけませんでしたから、ジェネティックな血縁関係は一代限り…ということになりますね)

バトラー家の本家は有名なキルケニー城(Kilkenny Castle)ですが、その周辺には分家した一族の城跡が数多く残されています。キルケニー近辺でタワーハウスや古い屋敷を見たら、ほぼ間違いなくバトラー家のものと言ってもいいくらい、それほどまでに一族の力が強かったわけです。(過去ブログ参照:ブラック・トムのオーモンド城
そして、土地の人々の英国王室との結びつきをなんとしても誇示したいという気持ちからでしょうか、数ある城のひとつ、クロノニー城(Clonony Castle, Co. Offaly)には、ここがアン・ブーリンの生家であるというかなり信憑性の低い(!)伝説まであるのです。

clononycastle
典型的な16世紀のタワーハウスであるクロノニー城 (R357上、CloghanよりShannonbridgen方面へ約5キロほど行ったところにあります) 写真はこちらより

アン・ブーリンの出生や家族構成に関しては謎の部分が多いとは言え(メアリーは妹ではなく姉であったという説も)、「アイルランド生まれ」というのはいくら何でもムリがあるような…。
しかし、こんな伝説が生まれてしまった背景には、バトラー家の関係に加え、この城にブーリン家の2人の女性の名が刻まれた石版が残されているから。そう、ここにもまた別のブーリン・ガールズがいたのです。
「Elizabeth and Mary Bullen」(「ブーリン」の綴りはBoleynともBullenとも綴られるそうです)というこの2人は、アン・ブーリンの姪、すなわちエリザベス1世のいとこに当たる女性たちで、ここに埋葬されていると言われています。となると、彼女たちが今回の映画の「もう一人のブーリン・ガール」であったアンの妹メアリーの娘たちなのでしょうか。
(映画のストーリーが本当なら、弟の子供ということはあり得ないので)

この手の話は、たどって行けば行くほど次々に興味深いつながりが出てきて、尽きることがありませんよね。
このクロノニー城は、ガイド試験のときの試験ルート上にある城だったので、今でもよ~く覚えています。いつも通り過ぎるだけで止まってよく見たことがないので、今度ぜひ、ブーリン・ガールズたちのお墓参りに行ってみなくては!

そして、さらなる余談ですが、今回メアリー・ブーリンを演じたスカーレット・ヨハンソンは、次の作品でもまたメアリー役。メアリーはメアリーでも、今度はスコットランドのメアリー女王です。(『Mary Queen of Scots』、2008年公開予定)
撮影はアイルランドでも行われるそうですから、こちらもまた楽しみですね。

※『The Other Boleyn Girl』の日本での公開は今のところ未定のようです。ぜひ公開されるといいですね。

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コメント

観てきました!!すいません。正直つまらなかったというか、、、こんな大物俳優たちがこの程度の映画に出ているのが残念!スカーレット VS ナタリーポートマン この二人は一緒に共演してはまずいですねー、おまけにエリック bana?昼間のメロドラマみたいでした。きっと小説も買ってみたのでそちらの方が面白いかも。あっでもケイトのエリザベスはいいと思います。pride & prejudice 観ました?この監督すごいですよね。大好きです。(女性にしか受けないジェーンオーステン、、)。在仏より。

gangさんへ

映画の好みって、本当に人それぞれですよね。私はこの映画、とっても面白かったんです。アン・ブーリンにもともと興味があったからかしら?
あ、でもエリザベスは、私は反対にダメでした。エリザベス好き…なのに。なんだかストーリーが薄っぺらいというか、なんの感動もなかったです。pride&prejudiceは良かったですよね。
最近観て良かった映画は、Lars and the Real Girl。おススメです!…でも、好みが違ったらゴメンナサイ。

お返事ありがとうございます。ちょっと寄ってみました。Lars and the Real Girlですか。探してみます。あるのかな?フランスで。ん。
いや、特につまらないというわけではなくて、、んー。最近これ!っと言う映画がなかなかない。ただ、アン ブーリン役にナタリーはもったいないかなあ~とどう考えても清純なイメージのないスカーレットがあ、、、いい子役?(まあsexシーンはあったけど、どうせならど派手にやってくれてたらポイントアップ。失礼。)衣装とかセットは素敵でしたね。政治的な背景はおもっきりカットですね。笑。(映画だとしょうがないか。)。
と結局まあまあいい映画だったということですね。笑。

あっもう一言。エリザベス(ケイトブランシェット主演の)、、ほんとうに人の意見はそれぞれですね。逆に私、こっちのほうが等身大のエリザベスというか現実さとモダンの融合に成功した映画だと思ってます。

すいません。ストーカーみたいですね。
昨年、日本に戻った時に、チャン ツィー主演のエンペラー(the banquet?でしょうか)、中国版ハムレット?良かったです。

アイルランドですか。いいですね。10年もフランスにいるのに行ったことないのです。(涙)。5歳の子持ちの30歳の女です。(笑)。明日というか今頃、日本はもうすぐ聖火リレー始まりますね。どうなるんでしょ。

では。失礼します。映画のネタばれそうなのでバンバン消して下さい。ありがとうございました。
ときどき覗いてみますね!

gangさんへ

なるほど、そう言われてみると、エリザベス、面白かったかも。(笑)
エンペラー、見てみたいと思っていました。今度、探してみます。

私も、こちらに来てからは一度もフランスへ行っていません。
大好きな国のひとつなので、また久しぶりに行きたいです。
これからもよろしくお願いいたします。また、面白い映画などなど、あったら教えていただけたら嬉しいです!

bonjour.
さっそくお返事ありがとうございます!!
こちらこそ面白い映画があれば教えていただきたい!!
子供がいると、、、なかなか、、独身時代は週3,4回ペースで観てましたね。
いい映画ですか、、。日本ではフランス語学部でフランスでは英文科にいました。ということでオーステン、ブロンテ姉妹は果てしなく読まされました。映画化されてるので好きなのは “ emma ”かな。内容よりも正直、パルトロウ好きなのと衣装が、、pretty!!(笑)。まあ男性は間違っても見ないでしょうね~。どうしてもbriget jonesの現代版のオーステン(涙)。pride&prejudiceも(これの映画化は相当困難だと思いましたがやりましたよね)。わりと淡白なので夢見がちな女ではないですね。私。ん~昔の映画を見直してる感じです。実はバトル系の映画も気分転換で好きですね。300とか。ところで、キーラ、ナイトリー?もそうですが、、私には英語聞き取るのが超困難です。彼女早口の上にちょっと顎のせいか、、ん?顔がナタリーポートマンと似てません??長くなってすいません。アン役ですが、、史実に基づくなら首の細い女優さんがよかったかな?まあこんなもんか。どうでもいい点。
二人とも(スカーレット)、、肌汚いですね。にきび?スクリーンでうわっっと思いました。(失礼)。henri8世は、、歩く生殖器でした。(失礼)。
エリックさんは温厚なイメージがあったので。面白かった。
ところでポスターいろんなバージョンがありますが、(他の見ました?)
インパクトがすごい。(これでは釣られて観にいっちゃうのも分かります)私的な見解では、兄弟のジョージでしたっけ。近親相姦もあったかもっと思います。とにかく男の子を!ということで。
長くなりました。子供を迎えに行くので失礼します。では!!
また楽しい情報期待してます!

ただいま^^ストーカーです。
最後に、 “ my children!! ” 
と旦那をひっぱたくmother
母性を感じました~。印象的でした。

gangさんへ

私もEmma、大好きです。衣装が本当に可愛かった!
キアラ・ナイトレイとナタリー・ポートマンは、数年前はもっと似ていたみたいで、どちらかのお母さんが間違えた…という話を、雑誌か何かで読んだ気がします。

こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたします!

昨日、旦那が寝た後、、こっそりemmaを再び観てしまいました。
洗脳されてしまい、、さきほど、、なんちゃってワンピースを買ってしまった。でかくて(170cm)、Aカップの私には似合わないだろう、、、。
おうちのコスプレにします。(涙)。

こんばんは。
スカーレット嬢結婚ですって!!
おめでたいですね。
では。

gangさんへ

仕事が忙しくなってきて、すっかり浦島太郎状態です…(笑)。
アイルランド・ロケの時は、彼も同伴かもしれないですね!

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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