アイルランドとは特に関係のないことを調べていて、いつの間にやらアイルランドにたどり着いてしまう…そんなことがしばしばあります。
先日、あるきっかけから、『炉辺荘(イングルサイド)のアン』(L.M.モンゴメリ著)というカナダの小説に出てくる、ミセス・エーロン・ワード(Mrs. Aaron Ward)という名のバラの花のことを調べていました。
黄色いバラで、なかなか育てるのが難しいバラであること。そしてとても香りが強いらしい…などなど、共通の趣味の友人たちと、ああだ、こうだ、とメールでひとしきりやり取り話し合って一段落した頃。
知り合いの世界的に知られるバラの研究家の方より、「つるバラのミセス・エーロン・ワードは1922年にアイルランドのディクソンという人により発表されたものです」とうかがい、またしてもこんなところでアイルランドに繋がった!とびっくり。
(ちなみにつるバラではないものは、1907年にフランス人のペルネ・デュシェにより発表されていたとのこと)
そこでディクソンさんについて調べてみると、北アイルランドのコリン・ディクソン(Colin Dickson)というバラ園芸家がいることが分かりました。有名なバラ栽培一家の6代目に当たる方で、ミセス・エーロン・ワードを作出したのはこの方の曾祖父アレクサンダー・ディクソン2世(Alexander II Dickson)のようです。
19世紀初頭にスコットランドより北アイルランドにやって来たディクソン家は、ベルファースト近郊のアード半島(Ards Peninsula)付近の温暖な気象条件に魅せられ、のちにそこでバラ栽培を生業とするようになります。
1836年創業の園芸所は、1879年よりバラの品種改良に特化したファームとなり、現在も6代続く世界最古のバラ園芸所として健在。毎年、さまざまな新しいバラを発表し続けているそうです。
(2020年2月22日追記→2019年を持ってバラの品種改良の歴史は幕を閉じました→
Dickson Roses no longer breeding after 140 years/BBC News)

ディクソン園芸所のバラ園(
HPより)
そういえば、
ベルファースト出身のサッカー選手、故ジョージ・ベストの名を冠したバラがあると聞いていましたが、それもディクソン園芸所の今年の新作バラだったのでした!

情熱的な赤いバラ!ジョージ・ベスト
それにしても、バラの花ってほんとに美しいですよね。
以前はあまりに完璧すぎる気がして、他の人が言うほど私はバラ好きではないわ~なんて思っていたのですが、近頃はそんな強がりもどこへやら、すっかり感服(笑)。
自分の庭が持てたなら、バラの花でいっぱいにしたい!
話はミセス・エーロン・ワードに戻って…
これでミセス・エーロン・ワードにまつわる疑問はほとんどすべて解決したのですが、ここまで来たら、どうでもいいことだけれども、なんだか「エーロン・ワード夫人」とは誰なのか知りたい。
バラが発表された20世紀初頭に活躍した「エーロン・ワード」さんについて調べてみると、何人か候補はあったものの、どの人物もイマイチ決め手に欠けるのです。しかもその「夫人」となると…さっぱり。
※2020年4月22日追記:これについてわかりましたので、こちらを参照ください。→『炉辺荘のアン』に出てくるアイルランド・ネタ② ミセス・エーロン・ワードおかげで、来年の夏にディクソン・バラ園芸所へ出かけてみる、いい口実が出来ました。
いよいよホンモノのミセス・エーロン・ワードが見られそう。そして、謎の「エーロン・ワード夫人」の正体も、そこで尋ねてみたら分かるかもしれません!
Dickson Nurseries Ltd.42a Milecross Road, Newtownards, Co.Down, BT23 4SS Northern Ireland.
Phone: +0044 (0)28 91812206
Fax: +0044 (0)28 91813366
※ミセス・エーロン・ワードの作出者とディクソン・バラ園芸所の歴史について一部謝りを修正しました。(2020年4月22日)
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