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エリス島の移民第一号、アニー・ムーア

先述のエリス島の移民局が開局したのは、1982年1月1日。

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船から見たエリス島

この日、オープンしたての移民局を最初に通過し、エリス島経由アメリカへの初の移民として記録されているのが、なんと15歳のアイルランド人の少女でした。

彼女の名はアニー・ムーア(Annie Moore, 1877-1923)。
アイルランド南部のコーヴ(Cobh)港から、幼い弟2人と一緒に蒸気船Nevada号に乗り込んだアニー。その10日後、先に移民していた両親と兄の待つ憧れのアメリカへやっと到着。
Nebada号をいちばん最初に下船したアニーは、エリス島の移民第一号として歓迎されました。移民局長より記念に金貨10ドルをプレゼントされ、びっくりしたそうです。
そして偶然にもその日は、アニーの15歳のお誕生日でもありました!

このアニー・ムーアという女の子は、移民の歴史の象徴としてアイルランドでは広く知られています。
彼女の出発の地コーヴには、アニーと幼い弟2人の銅像が立てられているほど。

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いざアメリカへ~!と希望に燃えるアニー(2007年8月撮影・コーヴにて)

そして、エリス島の移民博物館内にも同じ彫刻家によるアニー・ムーア像がちゃ~んとあるのです。
大西洋を隔てて立つ2つの像は、まるで対になっているかのよう。

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アメリカに無事に到着したアニーは今度はひとり。このポーズがなんともいい感じ

数年前に初めてエリス島に来た時のこと。
移民局1階のフロアーの片隅に立つアニーの像をようやく見つけて(私の想像では移民局の前にあると思っていた!)、「これでやっと、移民前・移民後の2つ像を見られたわ~」と感激。私の「アニー・ムーア参り」がこれで完成~といった気分になったものです。
まるで「善光寺にお参りしたら北向き観音にもお参りしないと片参りになる」とでもいうように、いつの間にやら「コーヴの像を見たからには、エリス島のも見なくっちゃ」という気分になっていたのでしょう(笑)。

今回も以前と同じ場所に彼女を見つけ、なんだかほっと一安心。
どういうわけか、この15歳のアニー・ムーアちゃんのことが私はとっても好きなのです。

以前にアニー・ムーアの簡単な伝記を読んだことがありますが、移民先での暮らしは想像以上に大変だったようです。

学校に行けると思っていたのに、家族を助けるためにすぐに働かなければならなかったアニー。移民局長さんからもらった記念金貨も、ホテルのベルボーイをしていたお兄ちゃんが、お金に困って売ってしまったと書かれていました。
のちに結婚して11人もの子にも恵まれたアニーですが、47歳という若さで病気で亡くなったそうです。

現在、アメリカ合衆国内には、4000万人を超えるアイルランド人移民の子孫が暮らしています。
ケネディ家のように有名になった一族もありますが、その多くが夢見てやってきたアメリカでも思うようにいかず、苦労のし通しでした。
そんな人々が、縁の下の力持ちとして国を支えてきたことを思うと、今日のマンハッタンの灯りもより輝いてみえるのでした。


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コメント

しんママ

アニームーアちゃんっていうのね…
先日、イギリスにいる夫とスカイプで話していると、私が送った「ケルティックウーマン」のアルバムがとてもいい!と(*^_^*)
そこからアイルランドの話になり、夫が「アメリカ移民の第1号(?)はアイルランド人の女の子なんだよ」と聞いて検索したところ、ナオコさんのブログがヒットしました。
遅まきながら、はじめまして!

2年前の北米赴任へは家族一緒だったのですが、今回は転職してのイギリス!
社会人時代、仕事でもアメリカでは全く不自由しなかったのに、イギリスでは私の英語が通じない、何を言っているのかよくわからない…そんなトラウマが深くて、今は夫に単身赴任をさせています…

スカイプで夫は、かつてイギリス留学した夏目漱石のゆかりの地を見てきたと言ってました。日本が恋しくて帰りたいともらしていたとのこと。
かつての移民の人々もしかり、学校にいける!思っていたのにとても苦労し、晩年子宝に恵まれながら47歳で人生を終えたアニーさん。

ナオコさんだって今の時代とはいえ、異国の地で自分の人生を切り開いていて、人と比べることではないけれど、人の生きた道を想うと自分も、後ろ向きな気持ちではいけない!と奮起しますね。

機会があれば、出発の地コーヴ港にも行きたいです。
ナオコさんの「アニームーア参り」、息子とたどってみよう(*^_^*)

naokoguide

Re: アニームーアちゃんっていうのね…
しんママさんへ
何年も前の記事を読んでくださり、嬉しいコメントをくださり、ありがとうございます!
歴史の教科書に載るほどではないけれど、当時としては他とは違った人生を送った女性・・・というのに興味があって、アニー・ムーアもそのひとりです。

しんママさんのコメントを読ませていただいて、そうか、時代は違えど、私もひとり異国の地にやって来て他とは違った人生を選択しているひとり、だからこういう話に共感するのか、と初めて気がつきました。ご主人もイギリスで、いろいろなご苦労があることでしょう。

アニー・ムーアについては、彼女の終焉についていくつか説があることを最近読んだばかり。ブログに書こうと思っていたところでした。そうなると、次の私のアニー・ムーアめぐりは、お墓参りでしょうか。

ちなみに最近、ちょっぴりアニー・ムーアがらみで書いたブログがこちら。よろしかったら読んでみてください。
http://naokoguide.blog33.fc2.com/blog-entry-1588.html

しんママさんのアニー・ムーアめぐりが実現しますように。
今後ともよろしくお願いいたします。

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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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