カンヌ国際映画祭で「芸術・実験映画賞」を受賞したというアイルランド映画『
Garage』を観てきました。
wikipediaより
あの
『アダムとポール』のLenny Abrahamson監督の新作で、脚本も同じくMark O'Halloran(俳優でもある彼は、前作ではアダム役を演じています)。
期待通り、『アダムとポール』と同種のテイストがただよう作品でした。
違いは、『アダムとポール』は、とてつもなくミゼラブルな状況なのになんだか笑える…といった「物悲しいコメディ」でしたが、今度の『Garage』はその反対。
喜劇的な状況なのに、実はものすご~く寂しく悲しい。美しい空や湖までも、とにかく全てがデプレッシング…。
主役のジョーシィを演じている
Pat Shorttがコメディ俳優として知られているせいか、コメディ映画だと思って観に来た人も多くいたはず。
初めのうちは、ジョーシィが服を脱いだだけで館内のあちらこちらから笑いが。ところがストーリーが進むにつれて、ジョーシィのすることが可笑しければ可笑しいほど、耐え難いような物悲しさに襲われるのです。
85分の上映が終わると、館内のあちらこちらから、今度は大きな拍手が起こっていました。
スクリーンに向かって賛辞を送らずにはいられないような、本当に素晴らしい作品でした。
田舎の小さな村にもはびこる、ケルティック・タイガーの弊害。
生まれ育った村がいつしか姿を変えてしまい、ケルティック・タイガーとは無縁に暮らすジョーシィのような人々は、いつの間にか地域社会から置いていかれてしまう…。こういう状況が、今のアイルランドには実際にあるのです。
『Garage』のロケ地は、アイルランドの内陸部の泥炭地が一面広がるようなエリア。
ジョーシィの住まい兼仕事場であるガレージは、Rathcabban(Co.Tipperaryに入りますが、この辺りはカウンティー・ボーダーが入り組んでいるため、Co.OffalyのBirr近く)、村のメイン・ストリートはWoodford(Co.Galway、Portumna近く)という、いずれも地図にもやっと載るような小さな村。
廃線となった線路や湖も、この近くだそうです。
余談ですが、Carmel役の
Anne-Marie Duffという女優さん、ジェイムズ・マッカヴォイ(James McAvoy)の奥さんだったんですね。
『アダムとポール』、『マグダレンの祈り』にも出ている女優さんです。
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