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日本の新聞に見つけた北アイルランドのこと

昨晩、ついにアイルランドへ戻ってきました!

飛行機の中で、機内にあった雑誌や新聞をめくっていると、北アイルランドのことが書かれていました。見出しは、“憎悪超え交流の芽”(1月12日付の朝日新聞)。
読んでみると…

ベルファーストにあるカトリック、プロテスタントの2つの小学校が、2年前に共同作業で壁画を描き、それ以来、両校は、宗派の違いを超えて交流を深めているそうです。
なぜこれが記事になるかというと、北アイルランドでは、カトリック・プロテスタントが棲み分けしていることがほとんどで、学校も別々、交流するなんてことが珍しいためです。

いかにもアイルランド人らしい、ぽちゃぽちゃとした子供たち(最近のアイルランドの子供たちは肥満気味)が、ゾウやライオンなどのメルヘンチックな壁画をバックに、写真におさまっていました。
両校は、たったの300メートルしか離れていないにも関わらず、以前は「見えない壁」によって分断されていたのです。

2校の交流は、ベルファーストに住む50代の看護師をしている女性の呼びかけで始まりました。
彼女の3人の兄弟はみな、カトリック系過激派のテロ活動に関与して、暗殺または投獄。
そんな兄弟からの教訓と、傷ついた人は分け隔てなく手当てしなければならないという自らの体験から、NGO活動を始めたそうです。

彼女の紹介で知り合ったというカトリックとプロテスタントの2人の男性は、いずれもテロ活動に関与したことで10代で収監
40代と50代になった今、青春時代を刑務所で過ごしたことを後悔して、若者のための職業訓練センターの設立を目指しているそうです。
テロなどの犯罪に加わった若者に、建設技術を教えて、更正させるのが目的。
自分の手で汗水流して建てた家には愛着がわく、そんな家を爆弾で傷つけるなんてバカらしく思えてくる…という、元テロリストの言葉には現実味があります。

私が初めてアイルランドに来た頃、ベルファーストの街の中はゴーストタウンのようで、デリーには装甲車が走っていました。
昨年7月、IRAの武装解除が報じれた時には、多くのアイルランド人が「自分が生きている間にこの日が来るとは思っていなかった」と口にしていました。

北アイルランドについての、このようなポジティブなニュースを日本の新聞で読むのは、本当に嬉しいことです。
近ごろ、政治家同士の紙の上での調印だけでなく、一般のアイルランド人の意識も少しずつ変わってきてるような感触があります。このように日本の紙面でも報じられているところを見ると、どうやら北アイルランド問題は、本当に新しい時代に入ってきたようです。

決して日進月歩とはいかない北アイルランド問題ですが、テロの被害者ばかりではなく、テロ活動に実際に加わっていた人、またその家族からこのような活動が広げられていることは、とても意味深いことだと思います。

belfastmural
(東ベルファーストに残る70年代に書かれた壁画:2005年11月撮影)


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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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