ここ数日、
片山廣子の『燈火節』(月曜社)を少しずつ読んでいます。
先日の大森散策ですっかり火がつき、早速注文して手に入れたものです。
明治生まれの女性が書いた、
率直で、無駄のない、美しい日本語。
さわやかでさらりとした文体から、
控えめで、知的で、夢見がちで、それでいてユーモラスな片山さんのお人柄が偲ばれます。
日々の徒然をつづったエッセイは、一見、他愛がないのですが、ゆっくりと、一文一文かみしめるように読むと、読後に響くものがとっても大きい。
この人は、
現実を生きながら夢を見る、夢を見ながら現実を生きる―という、全くもってアイルランド人のような人生哲学を自然に持ち合わせていた人のように思います。
だからこそ、アイルランド文学に共感して、多くの翻訳を手がけることになったのでしょう。
アイルランドの伝説や文学者に関する記述も多く、とても興味深いです。
なにせ、
イエーツやグレゴリー夫人と同時代に生きていた人が、その作品を読んで論じているわけですから、その臨場感たるや胸に迫るものがあります。
思わず書き留めたくなく多くの名句の中で、今日は『北極星』というエッセイの中の、こんな一文がとくに印象に残りました。
私はただ星その物を見て、この世の中の何もかもが変つてゆき、また変わりつつあるときに、変わりない物が一つだけでもそこにあることが頼もしく愉しいのである。2005年最後の日に目に留まった一文、これも何か意味があるのでしょう。
自分へのメッセージと思って、大切にしたいと思います。
皆さんにとって、楽しく明るい一年の幕開けとなりますように。
2006年も、どうぞよろしくお願いいたします!
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コメント
アンナム
2006/01/04 URL 編集
naokoguide
「思索するブログ」なんて、アンナムさんの言葉遣いもいつも印象的ですよ。「詩作するブログ」になれたら、もっと嬉しいけど!!
2006/01/05 URL 編集