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天然氷ならではのハプニング、まさかの完「滑」ならず…!フィンランドの湖上のスケート大会②

フィンランド南東部クオピオでの湖上のスケート大会(Ice Marathon)を終え、今朝ダブリンに戻りました。
今年で3年連続の参加。これまでは25キロの部に出場していましたが、昨年スウェーデンのルレオのボスニア湾をすべる大会で60キロを楽しく完「滑」できたことで自信がつき、今年はクオピオでも50キロの部に出場。
やる気満々で臨みましたが、なんと、なんと!週初めからの気温の上昇で氷がゆるくなり、大会当日は最悪のコンディションに…。
まさかの50キロ完「滑」ならず。7.5キロのコースを7周するはずが、残念無念、3周で終わってしまいました。

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朝いちばんに100キロの部の参加者がスタート。さすがの滑りを見せる先頭集団の皆さん

氷は前日から、かなりゆるくなっていました。大会オーガナイザーの皆さんの尽力により、深夜から明け方までかかって表面を5センチ削り取るという必死の製氷がなされたおかげで、100キロ出場者がスタートしたときは状態は良かったそうです。
ところが、時間の経過とともに次第に元の木阿弥に…。2時間後に私たち50キロ出場者がスタートしたときには、まるでシャーベットのごとく。滑らないわ、つんのめるわで、練習のときにはあっという間だった1周7.5キロの長いこと、長いこと…!

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100キロの部に出場していたチームメイトのヤマダさんがレース中に後ろから撮影してくれました。このときはまだ一応滑れていたようですが、足はちょこちょこしか動いていない…

状態は悪くなる一方で、シャーベットどころか水びたし&ガリガリに。2周目を終えたところで、これは私のレベルで滑れる氷ではないかも…と気付き、エイドステーションでホットジュースを飲みながら係のお姉さんに「苦しい~、やめたい~」と管を巻いたらちょっと元気が出た気がしたので、せめて昨年と同じだけは滑ろう!と、もう1周したのが地獄でした(笑)。
もはやつんのめって転ぶのをこらえる力もなく、転ぶにまかせてびしょぬれに。それはもう、スケートというより、スケート靴をはいた苦行のよう…。これぞ『The Hell of '63(地獄の63年大会)』(オランダの伝説の11都市スケート大会の1963年の実話をもとにした映画)ならぬ、「The Hell of '24」!

再び私に追いついたチームメイトのヤマダさんに、「私はもうダメです~、せめてヤマダさんだけでも生き残ってください~」と言うと(そう言ったかどうか記憶があやふやですが、気分は雪山で遭難…だったので!)、ヤマダさんが「もうやめて、サウナにでも行きましょう!」ときっぱりさわやかに言ってくれたので、これはもう潮時と判断。我がダブリン・ジャイアンツは「名誉ある退陣」をしたのでした。
自然にはあがなえないですね。人間の力ではコントロールしきれない、天然氷ならではのハプニング。でもそれが本大会「アイス・マラソン」の深い部分であり、ほかでは出来ない体験であると3年目にしてよくよく悟りました。

そして、エントリーした距離を滑り切れなかったのでメダルはもらえないもの…と思っていたら、なんと、もらえました!その瞬間、うわ~と感激が込み上げ、思わず涙が…。
そうか、エントリーする距離はあくまでチャレンジ目標であり、その日の自分の体調や氷の状態により滑れるだけ滑ればいいんだ、とわかりました。上位3名は表彰されますが、そういえば完「滑」メダルには距離は記載されていません。子どもから大人まで、初心者からエリートスケーターまで万人に門戸を開き、出場したすべての人のチャレンジを称える本大会の趣旨を3年目にして肌で感じ、その度量の大きさにあらためて感激したのでした。

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体はボロボロだけど、限界ギリギリまでやったので心は晴れ晴れ。日の丸を含む万国旗をバックに今年も記念写真

この、湖なり、海なり、オランダでは運河なりでおこなうスケートというのは、サーフィンが波のコンディションに左右されるのと同じく、自然と対峙したり、調和しながらおこなうスポーツ。これまで自分の力で滑っているとばかり思っていましたが、氷が私を滑らせてくれていたんだ、ということがよくわかりました。
そう考えると、今回のように天然氷のコンディションに打ちのめされる経験も悪くなかったのかな、と思います。

一方で、すごいなあ、と感動したのは、あのぐちゃぐちゃの氷でもスイスイ滑って(本人はスイスイではなかったかもしれませんが、私にはそう見えた!)、100キロ、50キロを完「滑」した人たちもいたということ。あとで分かったことですが、氷の状態を見たか聞いたかして出場を取りやめた人、私たちのように途中まで滑ってやめた人が大半だったようです。そんな中、滑り切った人たちは本当にスゴイ。その多くが経験豊富なスケーターでしょうが、中には制限時間いっぱいまでちょこちょこ滑り続けて完「滑」したと思われるタイムの人もいて、それが出来るというのもスゴイなあ、と思いました。
私はもう、スケート靴をつけたままでは足が一歩も動かないくらいになっていたから。

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大会前日、登録オフィスにてチームメイトのヤマダさん(左)、オーガナイザーのエサさん(中)とおそろいの大会ロゴ入り帽をかぶって記念撮影。このときは、翌日に地獄が待ち受けているとは思いもしなかった…(笑)

このエサさんには、2年前、日本人2人ぼっちでわけも分からず初参加したときから親切にしていただいています。そのおかげでこの大会が好きになり、毎年来続けていると言っても過言ではありません。

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大会前夜の恒例イベント、ムーンライト・スケーティング。日本とアイルランドの国旗が隣り同士に。ヘルシンキ在住と思われるアイルランド人の参加者が昨年も今年も一人いらっしゃるのですが、いまだお会い出来ていません

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湖畔にできた新設サウナ、Luoto Kuopioが素晴らしく、2日間通いました!サウナ後の湖でのアイス・スイミングがやみつきに

昨年は私たち、大会後も元気いっぱいで、地元アイス・ホッケーの試合観戦に行ったりしていたのですが、今年は歩くのもやっとなくらいボロボロになり(笑)、参加者にふるまわれるランチ会場へたどり着くのがやっとでした。
そこで美味しいスープをいただき、ホテルへ直帰。ホテルのバーでラグビー・シックスネーションズのアイルランド対ウェールズ戦を観戦して、今回のスケート大会遠征のささやかな打ち上げとしました。

Kuopiodayoftherace02246「
スポーツ・バーへ行けば観られたかもしれませんが、その元気もなく、自身のラップトップをプレイヤーの中継につないで観戦。結果は予想された通りにアイルランドの勝利。ロウ君のトライを見て元気が出ました~☘

今年のアイス・マラソンは記念すべき40周年大会で、470人、15か国から参加があったとのこと。
エサさんが引き継ぐ前の往年のオーガナイザーの方が観戦にいらしていて、地元新聞に掲載された40年前の第1回大会の白黒写真を見せてくださいました。クオピオ空港にオランダ人が大挙して到着した写真や、大会で滑っているオランダ人のエリートスケーターたちの写真。
「こんな楽しそうなことをオランダ人だけのものにしといちゃダメよ!って、地元の人たちに広めていったのよ」とのこと。今や参加者のほとんどがフィンランド人で、クオピオの人だけでなく、100キロ離れた町から車で来ました、と話す人も。
一方でインターナショナルな大会にもなり、15か国もの違う国籍の人たちが参加しているというのも素晴らしいことです。3年目にして初めてクオピオ在住の日本人のご家族にお会いし、私たち以外の日本人参加者がいらしたことも嬉しかったです。

さて、あんなに限界まで身体を酷使し、大会終了直後はそれこそ歩くのもやっとで、全身が痛くて顔の筋肉まで痛かったのですが(苦しくてゆがめたり、歯を食いしばったりしたから?笑)、人間の回復力ってすごいですね。寝て起きたら軽い筋肉痛程度にまで回復していて、早朝の飛行機でぐっすり寝て、元気にダブリンに到着しました。
楽しみにしていたイベントが終了してしまってちょっぴり脱力気味ですが、来年もまたクオピオを再訪し、スケートとサウナ三昧するのがすでに待ち遠しくなっています!

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昨年は品切れだった大会記念の帽子とコーヒーをゲット。フィンランドはコーヒーがどこでも本当においしいですね。「Railo(ライロ)」とは氷上の割れ目(crack)の意味、我がダブリンの町「Rialto」と綴りが似ている(笑)。エサさんに大会記念のノンアルコール・スパークリングワインもいただき、そのお心遣いが嬉しかったです♪
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コメント

北の国からSHIGE

天然氷ならではのハプニング
2024年クオビオ大会、大会前夜の夜景を見てお天気が悪そうだなと思っていました。
残念ながら完「滑」は出来なかったとのこと。
しかし、「スケートは・・自然と対峙したり調和しながらおこなうスポーツ、これまでは自分の力で滑っているとばかり思っていました」と、前向きにとらえられている姿に感銘をうけました。
Naokoさんの体力、気力を限界まで出し切られたことを讃えたいです。
メダルを貰えておめでとう🎉
良い思い出になりましたね❤️

北の国からSHIGE

天然氷ならではのハプニング
2024年クオビオ大会、大会前夜の夜景を見てお天気が悪そうだなと思っていました。
残念ながら完「滑」は出来なかったとのこと。
しかし、「スケートは・・自然と対峙したり調和しながらおこなうスポーツ、これまでは自分の力で滑っているとばかり思っていました」と、前向きにとらえられている姿に感銘をうけました。
Naokoさんの体力、気力を限界まで出し切られたことを讃えたいです。
メダルを貰えておめでとう🎉
良い思い出になりましたね❤️

naokoguide

Re: 天然氷ならではのハプニング
SHIGEさま、ありがとうございます!
完「滑」も嬉しいですが、これはこれで思い出深い体験となりました。昨年コンディションの良い氷で60キロ滑れてしまったので、過信していたのかも。
それにしても、このような大会を40年間も開催し続けているクオピオという街と人が素晴らしいなあ、と行くたびに感動します。年齢もスケートのレベルも関係なく、誰でも出場できる反面、エリートスケーターたちにとってはフィンランドのナショナル・チャンピオンシップでもあるというスゴイ大会。懐が深いですよね。
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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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