先日ご紹介した、具だくさんの田舎風アイリッシュ・シチューが食べられるお店は、もと教会の建物をそのままに利用した、その名もザ・チャーチ(
The Church, Dublin 1)というユニークなレストランです。

1700年頃、聖メアリー教会として建設。1964年まで現役の教会として使用されていました
300年の歴史ある教会の雰囲気を楽しみながら、食事はもちろん、ドリンクのみ、(昼間の時間帯は)お茶とスウィーツのみの利用もOK。夜6時以降は、店内ステージでアイリッシュダンスと音楽のパフォーマンスもおこなわれるという、レストランとしても、カフェとしても、バーとしても、パーティー/イベント会場としても使えるマルチなべニューです。

こういうギャラリー(回廊)付き教会としてはダブリンで初めてのもの。大きなステンドグラスのふもとの祭壇があったと思われる場所に、アイリッシュダンサーが躍るステージがあります!
教会内部の歴史的見どころには説明版が設置されていて、自由に歩き回って見学可。(セルフガイド用のパンフレットもあり)
建築はイングリッシュ・バロック様式で、ダブリン・キャッスルを手がけたウィリアム・ロビンソン(William Robinson)が始め、トリニティカレッジのオールドライブラリーを手がけたトーマス・バー(Thomas Burgh)が完成させました。そう言われれば、オールドライブラリーのデザインによく似ています。
必見は、ギャラリーにある高さ6メートルの巨大なパイプオルガン。

17世紀末~18世紀初頭に活躍したイギリス人のオルガンづくりの巨匠レナタス・ハリス(Renatus Harris)の手による、現存する貴重なオルガンのひとつ
ハレルヤ・コーラスで有名なヘンデルの「メサイア」が、1742年4月13日、ダブリンで初演されたことはよく知られていますが、前年よりダブリンに滞在していたヘンデルの住まいはこの教会のそばで、しばしばここへオルガンを弾きに来ていたと言われています。

ギャラリーへ自由に上がって、オルガンを間近で見たり触れたりできます

これがヘンデルが触れた鍵盤!
残念ながら音は出ません。修復するとしたら、その費用は20万ユーロにのぼるとか。
ハリスのオルガンはイギリスには数体現存するようですが、アイルランドにはこれが唯一だと思います。当時は聖パトリック大聖堂にも、クライストチャーチ大聖堂にもハリスが手がけたオルガンがあったそうですが。
(クライストチャーチ大聖堂のものは18世紀半ばにイギリスのWolverhamptonにあるSt John's Churchに売却され、現在もそこに置かれているそう)
そしてここは、ギネス・ビールの創業者アーサー・ギネス(Arthur Guinness, 1725–1803)が結婚式を挙げた教会でもあります。
1759年にビール会社を立ち上げ、その2年後の1761年、両親が挙式したと同じこの教会で、妻オリヴィアとここで結婚。この夫婦はその後、21人の子宝に恵まれました!(成人したのは11人)

そんなアーサー・ギネスさんの胸像あり。この像をなでると子宝に恵まれる…とは言われていないけれど、そんな伝説があってもよさそうな(笑)
ダブリンの街歩きの途中の、お茶/ドリンク休憩や食事にぜひ。ランチは少人数でしたら予約なしでも入れる場合が多いですが、ディナーは予約した方が無難かもしれません
アイリッシュダンス&音楽は、ドリンクのみの利用でも(席またはスペースがあれば)見ることができます。
- 関連記事
-
コメント