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ありがとうジョニー、ありがとうアイルランド代表!

ワールドカップはなぜこうもアイルランドに試練を与え続けるのでしょうか…(涙)。
世界ランキング一位、直近のシックスネーションズのグランドスラム覇者、テストマッチ17連勝という輝かしい戦績にもかかわらず、またもやワールドカップ4強入りならず。アイルランドは1987年のラグビー・ワールドカップ開催から連続して出場し続けていますが、ベスト8より上へ一度も行けたことがないのです。「ワールドカップには魔物がひそんでいる」と誰かが言うのを聞いたことがありますが、アイルランドは取り憑かれやすいのか?
今回も勝利の女神はアイルランドに微笑んではくれず、昨晩の準々決勝戦で強敵ニュージーランドに24‐28で敗れ、サクラ散る、じゃなくて、シャムロック散る…(涙)。
これでアイルランドのワールドカップは、突如として幕引きに。試合後のインタビューでダン・シーハン選手が「荷物をまとめて帰ることになるとはこれっぽっちも思っていなかった」と言っていましたが、私もこれっぽっちも思っていなかった…!

昨晩は友人とパブで観戦しましたが、ラグビー・ファン御用達のパブはどこも混み混みで入れないかも…と懸念して、あえてそうではなさそうなパブ、ナンシー・ハンズ(Nancy Hands, Dublin 8)へ。1時間半まえに行ってテーブル席をゲットし、食事をしながらキックオフに備えました。

スタート直後から1秒も目を離せないほどの死闘が繰り広げられ、リードされ、追いかけるも、また突き放され…。トライ未遂も多く、なかなか得点に結びつかない中、ロウ君からのパスでバンディが突破トライ、そしてギブソンパークがねじ込みトライ!
スコアするたびに店内は大盛り上がりでした。

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ギブソンパークのトライ後、喜び合う人々

最後の最後まで勝利への希望を持たせてくれたアイルランド代表には、感謝と称賛しかありません。フルタイム直前の37フェーズのパス回し(←おそらく長く語り継がれるでしょう!)は、もう息がとまりそうで…。あそこでサヨナラ・トライで勝利~というシナリオは、夢物語すぎましたかね…。

昨晩の対戦は強豪オールブラックが相手だったにもかかわらず、多くの人がアイルランドの勝利を信じていました。
私もまさか負けるとは最後の最後までみじんも思っておらず、バンディ、ギブソンパークに続き、最後はロウ君が決めてキーウィ3人衆の3トライで勝利~というシナリオを勝手に頭の中で作っていましたから。
試合終了のホイッスルがなり、選手たちが崩れるように地面に突っ伏したり、頭をかかえたり、またしてもいちばんにピーター・オマホニーが泣き出したのを見て、え?どうして?と信じられず、しばし放心状態...。

一夜明け、今はがっかり…より、寂しさが募っています。アイルランドのラグビー史上最高とされたこのチームでのテストマッチは、もう2度と見ることができないんだなあ、と。
2月にシックス・ネーションズが始まれば、またアイルランド代表の晴れ姿を見ることができますが、そこにはもうジョニーはいないのです。本大会を最後に引退を表明しているキャプテンのジョニー・セクストン選手にとって、昨晩の試合がはからずも引退試合となってしまいました。


↑ジョニー、これまで数えきれないほどの感動をありがとう!昨日は泣いちゃった息子さんのルカ君ですが、お父さんのことが誇らしくてたまらないことでしょう

2020年に日本のTV中継の仕事で、ジョニーにインタビューさせていただいたことを思い出します。このときの拙ブログにSNSよりシェアさせてもらった写真(いちばん下)を掲載していますが、まだとても小さかったルカ君が映っています。あれから3年半で大きくなりましたね。
ラグビー・シックスネーションズ、ダブリンより実況生中継…無事終了!(2020年2月)

試合後のアンディ・ファレル監督の話によると、我らがいぶし銀殿ことキール・アールズ選手も、ついに引退してしまうようです。あ~、寂しい。
ジョニーはすでに引退後の仕事が決まっており、キースもリマリックで自家焙煎コーヒーのカフェを立ち上げています。この2人は年齢も近いせいかピッチの外でも良い友達で、家族ぐるみで仲良しとのこと。昨晩の試合後、ルカ君はキースのそばへも行ってなぐさめ(なぐさめられ?)ていました。

ちなみに、昨晩アイルランドがオールブラックスのハカの前に、8の字を描いて立ちはだかったのを見ましたか?

rugbyworldcupirelandvsallblacksnancyhands10232

あれは、2016年10月に突然死したマンスターのヘッドコーチ、アクセルことアンソニー・フォリー(Axel/Anthony Foley)元アイルランド代表選手への追悼の意をこめたジェスチャーでした。アクセルのポジションが8番だったから。
彼の死の直後、2016年11月にアイルランドがオールブラックスに初勝利したときも、同じように8の字を描いてハカに対峙したんですね。それにあやかっての勝利祈願の意味も込められていたのかも。
昨日は残念ながら勝てなかったけれど、あのすさまじい対戦を最後の最後まで戦い抜く力を天国のアクセルが与えてくれたのかもしれません。

それにしても昨日の対戦は両者とも本当にプロフェッショナルでしたね。試合中も試合後も、ニュージーランドの選手が倒れているアイルランドの選手に手を貸して助け起こす場面が見られ、選手たちは本当に良きライバルであり、国を越えた同志として深くリスペクトし合っていることを感じました。その結果が、あの冷静かつすさまじい対戦だったんだあ、としみじみ思い入ったのでした。
ニュージーランドも必死に戦いアイルランドに正面から向き合ってくれたので、その点においては悔いなし。素晴らしいプレイを見せてくれたニュージーランドにもありがとうと言いたい気持ちです。

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5年前にニュージーランドで買いました、お腹を押すとハカを叫ぶキーウィ。こうなったら残りのワールドカップはオールブラックスを応援しますっ!
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コメント

wada

語り継がれる名勝負
直子さん、こんにちは。
アイルランド対ニュージーランド戦は日本時間の午前4時からでしたが、早起きしてテレビ観戦をしました。
オールブラックスのハカの前に、8の字を描いて立ちはだかったのは、そんな意味があったのですね。
とにかく、試合中は一瞬たりとも目が離せない緊張感があり、素晴らしい戦いでした。
終了間際のアイルランドの37フェーズのパス回しは、攻める側も守る側も魂のぶつかり合いのようで、観ていて涙が出てきました。
結果はとても残念でしたが、きっとラグビーの歴史に語り継がれる名勝負だったのではないでしょうか。

naokoguide

Re: 語り継がれる名勝負
wadaさん、こんにちは!
魂のぶつかり合い…まさにその通りでしたね!wadaさんのその言葉で涙が出ました。
相手が力を出し切れていない状態だったにも関わらず負けたら、それこそファンとしても悔しくて、悔しくて…だったと思いますが、勝利したオールブラックスも試合終了後にへたり込むくらい、もう出すものはこれ以上ありません!ってところまで両者が力と想いをぶつけ合った試合だったので、負けた悲しさの中に清々しいような気持ちも。選手ももうちょっと時が経てば、そんな気持ちになれるかな?なれるといいなあ、と思っています。
私が言うのもなんですが…早朝からの応援、ありがとうございました!☘

fairy

直子さん、コメントをするのにも少し時間がかかった程試合終了後から呆然としていました。
最後の最後まで勝利を信じて願っていました。
ジョニーそしてキースも引退との事で更に悲しみが強くなってしまいましたが本当に素晴らしい試合でした。

私もアイリッシュラグビーを20年近く応援して
きて、どんどん強く素晴らしいチームになっていると誇りに思います。
試合後のジョニーやチームメイトのインタビューにもらい泣きし、アンディーの懐の深さに本当に最高のチームだ〜‼️と熱くなりました。

もうジョニーやキースの姿が見れないのは本当に寂しいですが、次の世代がバトンを受け継いで是非頑張って欲しいです‼️

そして直子さんのラグビー関連の記事をいつも楽しく読ませて頂いています。ありがとうございます♪
世界中から集まってフランスで応援していた
The green army達も素晴らしかったです!
とにかくお疲れ様!感動をありがとう〜‼️

naokoguide

fairyさんへ
私もいまだに信じられない、信じたくない…という気持ちですが、昨晩選手たちがダブリン空港で温かく迎えられたのを見て、ちょっと気持ちが晴れました。
前回の日本大会のときは、こっそり帰国…という感じで空港での出迎えムードはまったくなかったことを思うと、今回は敗北は敗北でも別モノ。あの死闘を闘い抜いた英雄たち…という扱いなので、結果だけ見れば同じだけど、同じじゃないんだ!と思って嬉しかったです。
ほんと、フランスに駆けつけたファンたちもすごかったですよね!スタジアムが毎回、グリーンの海、海、海!
アイルランド人ファンがいなくなってしまうのが寂しい…と言ってくれているフランスの人たちもいるそう。
気持ちを切り替えて、またシックスネーションズを楽しみに待ちたいと思います!

ryohui

naokoguideさま

初めまして! ryohuiと申します。
ここ6年くらいでしかありませんが、アイルランド、そしてセクストン選手の大ファンのものです。
今回の敗戦が、いまだに信じられなくて、悔しくて、もうセクストン選手を見られないのも悲しくて、という気持ちでいっぱいで、
やり場のない気持ちをGoogleにぶつけていたら、こちらのブログに辿り着きました。

ニュージーランドのディフェンシブなラグビーがどうにも許せなかったのですが、
"ニュージーランドも必死に戦いアイルランドに正面から向き合ってくれた"
という文章を読んで、確かにその通りなのかもと思い、なんとなくこの敗戦を消化することができました。

私自身は高校時代にHO/PRをやっていた反動で、華麗なFHを見るのが好きなのですが、セクストン選手は飛び抜けて好きなプレイヤーでした。
ラストワンプレイ、キースアールズ選手がいればと思ったりもしましたが、彼も引退ですか……。
37フェーズ反則なしで守り切ったオールブラックスはやっぱり凄かったんでしょうね。

今後もアイルランドラグビー代表を応援するつもりですので、たまにこちらのブログを覗かせていただきたいと思います。

naokoguide

ryohuiさんへ
ryohuiさん、こんにちは。コメントありがとうございます!
なるほど、私はラグビーの戦術の深いことがよくわからないので、オールブラックスのプレイをそう見ることもできたのだなあ、と勉強になりました。
パブで観戦すると解説が聞こえずわからない部分が多いので、後日解説付きでもう一度試合を見てみたのですが、確かに私もちょっとそんな印象を持ちました。その相手に対してアイルランドはよくあそこまで闘ったなあ、と。

昨晩選手たちがパリから帰って来たのですが、離陸時にジャック・コーナンやバンディがジョニーをからかうアナウンスをしたりして、元気に和やかにホームカミングしました。空港ではファンや家族に温かく出迎えられ、同じ敗北でも前回の日本大会とのときとは大違いでした。
ピーター・オマホニー選手が、負けて悔しいけれど、世界を見ればもっとひどいことがアレコレある、落ち込んでなどいられない、24~48時間たてばふっきれるさ!というようなことを言っていたのを見て、これからもますますアイルランド代表を応援したくなりました。

シックスネーションズが楽しみですね。今後ともよろしくお願いします!

ようはっぱ

何と言ってもいいのかー、、!
こんにちは。
まさかまさか、あんな事になるなんて!
の一言です。
どう、ここにコメントしていいか、わからず。
そして、翌日のフランスv南アの試合ても、フランスファンの友人達の落ち込みようを見て、アルゼンチンファンの私まで沈んでしまいました。
勝負事ですが。勝つチーム、負けるチームがあるのは当然ですけど、、、
まさか!?!?
W杯にはやはり魔物が住んでるんですかね。

naokoguide

Re: 何と言ってもいいのかー、、!
ほんとうに(涙)。魔物がすんでいるとしか思えない結末が続きますね…。
フランスは1点差の敗北、開催国でもあり、悔しかったことでしょうね。

アイルランドの敗北後は私も落ち込みましたが、選手たちが元気で胸を張ってホームカミングし、ファンたちに迎えらる様子を見て、ほっとしなぐさめられました。アイルランドが優勝をねらうことの出来るポジションになるなんて、10年前には思いもしなかったこと。それが今、ここまでのチームになったんですから。
選手たちが家族を喜ばせたい、と戦い、負けて家族になぐさめられる姿を私たちに見せてくれた(←息子とピッチを歩いたジョニーなど)ことで、私たちに自分の家族へ想いを馳せる機会をくれた…と考察するラグビー記者の方の記事を読み、大事なことはそこなのね、と感動し、吹っ切れました!
非公開コメント

naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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