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『マリゴールドの魔法』に出てくる逆様ケーキ

今日は『赤毛のアン』仲間とのオンライン読書会。
パンデミック中の2020年に始まり、今回で34回目!はじめは週いちだったのが2週間に一度になり、1ヶ月に一度になり、今は2ヶ月に一度…と頻度は少なくなりましたが、かれこれ3年以上もモンゴメリ作品を毎回1冊づつ読み、読後の感想や疑問点などをみなでシェアし合うということを続けています。

今回のお題は『マリゴールドの魔法(Magic for Marigold)』(1929)。エミリー・シリーズのあと、パット・シリーズの前に出版されたもので、モンゴメリの筆がノリに乗っていた50代の頃の作品です。
すでに発表済みだった4つの短編をつなげて加筆したものらしく、オムニバスっぽい構成。アイルランド・ネタもいくつかあって、主人公マリゴールドのひいお祖母さんはアイルランド出身という設定。レプラコーンも出てくるし、マリゴールドが暮らす「えぞ松屋敷」では北アイルランドのディクソン園芸所でつくられた「キラーニーばら」が大切に育てられています。

モンゴメリのほかの作品同様、おいしそうなお菓子がたくさん出てくるのも読んでいて楽しく、私の大好きな「逆様(さかさま)ケーキ」も登場。
英語では「アップサイド・ダウン・ケーキ(Upside Down Cake)」と呼ばれ、焼き上がったらひっくり返して、「逆様=アップサイド・ダウン」にして出されることからこの名がついたのでしょう。メアリー・ポピンズにも出てくるようですね。

アイルランドでも知られているケーキで、こちらに来たばかりの頃、偶然立ち寄ったカフェで食べてそのおいしさに感激した覚えがあります。
最近はあまり見かけなくなり、どうやら昔懐かしいケーキの部類に入ったよう。おばあちゃんのキッチン風なカフェに今でもはあるのかもしれませんが、ダブリンのおしゃれなカフェではまずお目にかかることはなく、もう長いこと食べていない…。

『マリゴールドの魔法』では、マーシャおばさんというマリゴールドのおばさんのひとりがこのケーキを作る名人で、おいしく作る秘訣を知る者は一族にほかに誰もいない、と書かれています。食べたマリゴールドの感想は、「想像以上にすてきだった」!(第19章)
そんなことを言われたら食べずにはいられませんよね。読書会当日の今朝、スーパーマーケットが開くのを待って足りない材料を買いに走り、作ってみました。
レシピはマーシャおばさん秘伝…ではないけれど、検索していちばんおいしそう&作りやすそうだった、こちらを参照。→パイナップル缶で簡単!アップサイドダウンケーキの作り方

ケーキ型の底に缶詰のパイナップルを敷きつめますが、桃の缶詰でも、カラメライズしたリンゴでもOK。
マーシャおばさんが何のフルーツを使ったのかは、物語には書かれていません。今から100年近く前、カナダの片田舎でパイナップル缶が手軽に手に入ったとは思えないので、もしかしたら身近にあるリンゴか何かだったかもしれませんね。

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焼き上がりはこんな感じ。これを「逆様=アップサイド・ダウン」にして、底にしいたパイナップルがケーキの上になるようにするのです

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じゃ~ん、こうなります。オーブンの温度が高すぎたみたいでカラメルが焦げてしまいましたが…

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モンゴメリ・ファンには思い入れの深い、ブルーウィローのお皿(『アンの青春』参照)で。「キラーニーばら」ではないけれど、同じピンク色の咲きかけのメアリー・ローズを添えて

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ひと切れ味見してみたら、我ながら「想像以上にすてきだった」!

しっとりしていて甘すぎず、素朴なおいしさ。焦げたカラメルも香ばしくて悪くない。こんなに簡単に出来るなんて!リピート間違いなしです。
オンライン読書会なので、皆さんと一緒に食べられないことだけが残念。このまま家に置いておくとひとりで食べてしまいそうでコワイので(笑)、読書会終了後に友人宅へ持参し、一緒にティータイムを楽しみました♪
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コメント

Pearl

本当に美味しそう!
読書会、楽しかったわね。
想像以上の素敵なお味がどんなか気になる〜♪
いつか私がアイルランドに行った時にでも作ってね、なんて。

ところで、キラーニーばらですが、苗が手に入りそうなので育ててみようかと思っています。黄色いバラが欲しいと言いつつまたまた我が家にピンクのバラが増えることになりますが(笑)。
モンゴメリ作品にゆかりの植物が身近にあると私も嬉しいので今から楽しみです。

naokoguide

Re: 本当に美味しそう!
Pearlさん、とっても楽しい読書会でしたね。マリゴールドから脱線したおしゃべりも楽しかった(笑)
はい、もちろん、作りますよー、様様ケーキ♪
またいつか来てくださいね💓

うわ~、キラーニーばらが手に入りそうなんてうらやましい!
キラーニーばらも、例のミセスエーロンワードも、北アイルランドのディクソン園芸所発のバラなのに、古い種類でこちらでは手に入りにくい…。日本にはディクソンのバラが結構出回っているので、日本の方が手に入りやすいのかもしれませんね。
Pearlさんちにキラーニーばらが咲くのを楽しみにしています!

アンナム

すばらしい!
直子さんの行動力、素晴らしい!!
本に出てくるケーキを作ってみようとするなんて、
私は考えたこともないです。
作り方を見たら簡単だと言ってましたが、結構手がかかっていましたね。
直子さんのこの読書の姿勢は生きる姿勢でもありますね。

naokoguide

Re: すばらしい!
いやいや、お料理のプロのアンナムさんにはお見せするのもお恥ずかしいのようなシロモノで…。
行動力…って言うより、ただの食いしん坊?
物語においしそうなものが出てくると、すぐ同じものを食べたくなっちゃうんです。
でも、このケーキ、見た目はそこそこですが、とっても美味しかったんです。とくに次の日、味がしみてよりしっとりとなったときが絶品でした♪
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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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