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アイルランドが出てくる韓国ドラマ『あなたに似た人』

先日ご案内したお客様は、韓国ドラマを観てアイルランドにご興味を持たれたというご夫妻。
『あなたに似た人』(英語タイトル「Reflection of You」)という2021年よりネットフリックスで配信されているドラマで、ドラマに出てくるモハーの断崖(Cliffs of Moher, Co. Clare)へぜひ行きたい!とのことではるばる来てくださいました。

お客様がいらっしゃるのに合わせて私もドラマを見ておこう、と思ったものの、予告を見たらなんだか暗そうな内容。ドロドロの愛憎劇+ちょっぴりサスペンス、しかも全16話もある!
ちょうどその頃忙しかったこともあり、これは見始めたら大変なことに…と躊躇してしまい、結局、ご案内後の今になってやっと観たところ…とても面白かったのです!

ReflectionofYou
境遇の異なる2人の女性がメインのキャラクター。ひとことで言えばひとりの男性をめぐってのバトルなんですが、家族やキャリア、過去の因縁も絡んでドロドロに…

始めは登場人物の誰にも感情移入できず、う~ん、あまり好みじゃないなあ…と途中早送りしたりして、ただただアイルランドが出てくる部分だけを追うように観ていたのですが…。10話を過ぎたくらいからだったでしょうか、ぐいぐい引き込まれ、食い入るようにいっきに観てしまいました!
結末は予想を裏切って二転三転、え~、ウソ~、あり得ない~とツッコミを入れながらも、あれやこれやが終盤でいっきに大展開。バラバラだった話がひとつのテーマに落とし込まれていき、ある意味、爽快な終わり方でした。

肝心のアイルランドですが、主人公ヒジュが過去に暮らした場所として登場。
第3話くらいでやっと「スライゴ総合病院」とか「アイルランド大学」(日本語字幕はそうなってましたが、「トリニティー」と聞こえました)とかいったワードが出てきて、以降、要所要所に回想シーンとしてアイルランドが出てくるのですが、どう見てもこれはアイルランドの映像ではないでしょ、といった場面も多く、ロケ地をすぐに言い当ててしまう観光ガイド病(!)の私は、かえって混乱しきり。ヒジュはアイルランドとは別に、ほかの国にも滞在したの?と誤解したほど(笑)。

例えば、ヒジュが暮らしたアイルランドの家は、周りの景色も含めてどう見てもアイルランドじゃない。(第6話で急ごしらえしたような標識が映ったのですが、アイルランド語の併記がありませんでした)
10話に出てくる「スライゴ・グランド・ホテル」も架空のものだし、スライゴとして映し出された夜景はどこだったのでしょう?(ダブリンかな、とも思いましたが確証なし)
思い出の場所として出てくるパブの名が「アイリッシュ・パブ」ってのも笑える。アイルランドには「アイリッシュ・パブ」なんて名前のパブはない~!(笑)
極めつけはヒースが咲き乱れる草原。ヒースは(少なくともアイルランドでは)草原には咲きません。泥炭地とか湿地・荒地に咲く花なので、ドラマに出てきた景色はアイルランドにはありそうでないのです。

とは言え、実際のアイルランドの映像をうまく織り交ぜて、まるでアイルランドでロケをしたかのように見せているのはあっぱれでした。
ホンモノのアイルランドの映像で印象的だったのは、12話で映るモハーの断崖の壮大な景観。きっとお客様も、このシーンを見てここへ行きたい!って思ってくださったのでしょう。この場面は回想ではなく、とある登場人物が実際にアイルランドを訪れ、断崖絶壁にたたずむシーンでした。

ReflectionofYoucliffsofmoher
ある日のモハーの断崖。ああ、絶景!(2018年9月撮影)

俳優さんたちが当地に来てのロケは行われていないので、顔を正面から映した映像は別撮りして編集したのでしょう。
撮影期間がパンデミックで海外ロケができなかった時期であることを思うと、当初予定していたロケが制限されてしまい、このような方法を取らざるを得なかったのかもしれませんね。
ちなみにこの回でスライゴとして映ったのは、ゴールウェイの街並みでした。(笑)

ヒジュが住んでいたのがダブリンでもゴールウェイでもなく、地方の小さな町スライゴというのがなかなかマニアックな感じがしますが、韓国の人たちにはスライゴは馴染みのある地名なのかもしれません。
というのも、その昔、スライゴには韓国のビデオテープ製造会社があり、韓国人コミュニティーがあったらしいのです。会社がなくなった今もそのままスライゴに住み続けている韓国人の方もいらっしゃるので、つながりが深いのかもしれませんね。

そんなスライゴの地元の伝説、スライゴ・アビーの鐘にまつわる言い伝えが物語に効果的に使われていたことにも驚き、嬉しく思いました。
スライゴの町に今も廃墟として残るスライゴ・アビー。そこにはかつて、立派な銀の鐘がありました。17世紀、クロムウェルの軍隊が攻めてくるというとき、町の人たちがこの鐘だけは取られてはなるまい!と侵攻の前の晩に近くのギル湖へ運び、湖の底へ沈めたと伝えられています。
鐘は今もギル湖の底で鳴り続け、その音が聞こえるのは心に罪のない人だけ…とか。
この伝説が結末への伏線、ないしは物語のテーマへの匂わせ…として用いられていたことは興味深く感じました。

ReflectionofYousligo
最終回の最後に、撮影中の和気あいあいとした「behind the scenes」の写真が公開されていました。スタッフの皆さんはマスク着用、パンデミック中の撮影でいろいろ大変だっただけに感慨深いものがあったのでしょうね。こちらはスライゴ・ロケの写真、ベンブルベンのふもとで撮影したようですが、当地のアイルランド人クルーのみで行われたようです

ちなみに、文学好きの方ならピーンと来ることでしょうが、もしやこのドラマ、『嵐が丘』のオマージュでは?
ヒースの花、ヒースクリフとキャサリンのような激しい愛憎…。『嵐が丘』の小説も実際にちょこっと出てきましたしね。

そして、なんと!私は見逃しませんでしたよ、『アンの夢の家(Anne's House of Dreams)』を!
第2話で、ヒジュの中学生の娘リサが読んでいたのがそれでした。リサは留学経験があり英語ができるので、韓国語版ではなく、英語版を読んでいました。しかも、授業中に!(笑)
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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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