先月のことですが、久しぶりにモーン・テキスタイルズ(
Mourne Texitles, Co. Down, Northern Ireland)の工房を訪れました。
北アイルランドのモーン山脈のふもとにある、1949年創業のテキスタイル・ブランド。2012年に家業を引き継いだ3代目オーナーのマリオさんによりブランド再生が図られ、近年注目されるようになった、知る人ぞ知るモーン山脈のふもとの工房。良質で洗練されたデザインの手織りスカーフ(マフラー)をはじめ、クッション・カバー、ラグ、壁紙などインテリアも手がけています。
4年ほど前、オーナーのマリオさんにお願いして特別に工房を見学させていただいたことがあります。
マリオのお祖母さんにあたる創業者のテキスタイル・デザイナー、ジャード・ヘイエディ(Gerd Hay-Edie)さんの貴重なスウォッチ・ブック(布の見本帳)を見せていただくなど、忘れがたい体験でした。
そのときのこと、ブランドの詳しいことは当時のブログ参照。→
モーン・テキスタイルズの工房を訪ねる(2019年2月)
今年になって、工房の一般見学が可能になったとの連絡をいただき、お客様をご案内するチャンスがあるといいなあと思っていたところ、静岡の
ジャックノザワヤさんでモーン・テキスタイルズのマフラーを購入し、すっかりファンになったというお客様にご依頼をいただき、喜び勇んでお連れしました。

山のふもとの細い道をくねくね登っていったところにある、モーン・テキスタイルズの工房。先月はお天気が良かったので、この日も抜けるような青空!以前訪れたときは冬の曇り空だったのでまるで別の場所かのようです
決まった見学時間は一応定められているものの、ひっきりなしにお客さんが来るというわけではないので、事前にオープンしているか確認していくのがベター。
マリオさんはお忙しいので、直接ご連絡するのも申し訳なく思い、一般の窓口に電話して訪問を伝えていたところ、ちょうどタイミング良く工房にいらしたマリオさんご本人が出迎え下さり感激。
「おお、ナオコだったのか~!」と覚えていて下さり、マリオさん自らが工房をご案内くださいました。

忙しいであろうマリオさんですが、丁寧に詳しくご案内くださいました。今も現役で使用中の、貴重な古いボビン作り機
2階の工房には、アンティーク・ピースとも言えるような珍しい機織り機がいっぱい。創業者ジャード・ヘイエディさんが50年代、60年代にアジアの国から持ち帰ったものや、オーダーメイドした特別な織機も。それらがすべて、現役で使われているというのがスゴイ。
ご案内したお客様はテキスタイルアートのプロの方でしたので、機織りにもお詳しく、専門的な話もマリオさんとよく通じていました。

この日は作業している職人さんはいらっしゃらなかったのですが、糸がかかった状態の作業中の織機がところ狭しと

マリオさん自らが機織りを実演してくださいました
併設されたファクトリー・ショップがこれまた素敵。モーン・テキスタイルズの商品をオンラインではなく、手に取って購入できる店はそれほど多くありません。ダブリンではクレオ(
Cleo, Kildare Street, Dublin 2)、日本では前述の静岡のジャックノザワヤさん。そのほか、良い商品を集めたセレクトショップなどに限られた商品が置かれていることはあるのでしょうが、ここまでズラリと並んでいるのを見ることは展示会以外ではまずないので、とても感激しました。

美しい色合いの商品がずらり。見れば見るほど、触れば触るほど欲しくなります

マフラーは色味だけでなく、厚さや長さにもバリエーションあり。ディスプレイも素敵です
小売りは大規模に展開しすぎず、商品の良さを分かって買って下さるお客様を大切にしていることがよくわかります。
この日ご案内したお客様は、ご家族皆さんの分をお土産に購入しておられました。日本で購入することを思えば、ファクトリー価格なのでかなりお安い。
インテリア関係の大きな仕事をたくさん手がけておられ、おそらく目が回るほど忙しいであろうマリオさんに自らご案内いただけたことはラッキーでした。彼の情熱とお人柄が、このブランドのひとつの付加価値になっていることをあらためて実感。
4年前の訪問時、まだファクトリーショップもないときに在庫から購入させていただいたマフラーが大のお気に入りで、今も大切に身に着けていますが、秋風が吹くころになったらもうひとつ別の色を買いに来たいなあ、などと思いながら、工房を後にしました。

工房入り口のサイン。創業時から変わらないブランド・ロゴの子ヤギのサインは、創業者のヘイエディさんのペットの子ヤギがモデル。肉屋で殺されそうになっていた子を可哀そうに思い、もらってきてペットにしていたそうです
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