数日前のことですが、拙著の最新改訂版の取材を兼ねて、久しぶりにラスボロ・ハウス(
Russborough House, Co. Wicklow)へ。
ダブリン近郊に無数にあるかつての貴族の館のひとつで、知名度のわりには観光客が少ない、おすすめの「Hidden Gem(隠れた名所)」のひとつです。

18世紀の左右対称が典型的なパレーディアン・スタイルの屋敷。同じくウィックロウにある有名なパワーズコート(
Powerscourt)、現在は5つ星高級ホテルのカートンハウス(
Carton House)、ダブリンの現・国会議事堂レンスターハウスなどを手がけた当時の人気建築家リチャード・キャッスルの傑作のひとつ
ダブリンのリーソン・ストリートの名の由来となったリーソン家のお屋敷として建てられたものですが、もっとも有名&最後の持ち主はアイルランド国立美術館に多くの絵画を寄贈し、ギャラリー内「バイト・ウィング」の名の由来となったサー・アルフレッド・バイト男爵(Sir Alfred Beit, 1903~1994)。
1986年5月、悪名高き大泥棒マーティン・カヒルとその一味が忍び込み、フェルメールの名画「手紙を書く女性と召使」が盗みだされたのがこの屋敷でした。その後7年かけて、アイルランド&イギリスの警察庁合同のおとり捜査で絵は奪還され、現在は国立美術館いちの目玉となっていますが、マーティンはこの絵の盗難がきっかけでIRAに暗殺されたので、大泥棒の終焉にもなった歴史に残る大事件の発端となった場所でもあります。
※過去関連ブログ→
フェルメール「手紙を書く女性と召使」の盗難事件 NHKドキュメンタリー(2018年6月)
屋敷は男爵夫妻がお住まいの頃から一般公開されていましたが(マーティン・カヒルはツーリストをよそおって事前に訪問、下見をしていた!)、男爵の死後、未亡人となったバイト夫人が2005年に亡くなられ、現在は歴史遺産、観光名所、近隣に人々の散歩コースに。屋敷内部の見学、森の散歩、2キロの巨大メイズ(迷路)、フェアリー・トレイルに加え、なかなかおしゃれなカフェ&ショップもあり、ちょっと立ち寄るにも、じっくり見学するにも良い場所です。
この日の目的はフェアリー・トレイルだったので屋敷内部は見なかったのですが、以前にガイド付きツアーで見学したときの写真がありましたので、せっかくですからシェアしますね。なんと7年前、2016年7月の写真ですが、内部はほとんど変わりないことと思います。




それぞれの部屋の説明を記憶していませんが、壁や天井のロココ様式の装飾が見事だったことを写真を見ながら思い出しました。
園内には2つのトレイルがあり、全部歩いても4.4キロと手軽。この日は「妖精村」(フェアリー・トレイルのこと!)のチェックに行ったまででそこまで時間がありませんでしたが、カフェでしっかりお茶はしてきました。

カフェのクッションが屋敷が所有していた絵画!この写真には写っていませんがフェルメールもありました。地元ベイカリーで作っているらしいバスク風チョコレート・チーズケーキが美味
超~かわいいフェアリー・トレイルについては、記事を分けてご紹介します。

フェアリー・トレイルのある「レイク・ウォーク(Lake Walk)」からヒツジ越しに屋敷を見晴らす。なんとのどかな風景!
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