添乗員時代から通算すると、
お客様をご案内する仕事を始めて今年で13年目。
お客様とは一期一会、旅行中だけのご縁で終わるケースがほとんどなのですが、それでも年に数回、
昔ご一緒したお客様と偶然にもばったり!なんてことが起こります。
(過去ブログ:
私を知るお客様/
7年前の「私」に出会う)
先週ご一緒したグループさんの中にも、
どこかでお見かけしたお顔が。
どこでご一緒だったかは思い出せないのですが、確かお名前はY様ではなかったかしら…と思い、違ったら失礼なのを承知でうかがってみることに。
「あの、失礼ですが、どこかでお目にかかったことがあるかと思うのですが…」お客様の方は一瞬きょと~んとなさったのですが、次の瞬間、お互いの記憶が「あ~!」と一挙によみがえり、
「あ~、あの時の…!」と手を取り合って驚き、再会を喜び合ったのでした。
なんとこのY様、
今から12年前、私の父が添乗中に亡くなった時にご一緒していたお客様のひとりだったのです。
忘れもしない12年前の6月、
フランスのボルドーで父の死の知らせを聞きました。
「パパが亡くなりました。会社のご好意に甘えて、すぐに帰ってきてください」との母からの手紙。それを持って日本から飛んできた同僚の添乗員に急遽ツアーを引き継ぎ、私は
ボルドー空港から緊急帰国することに。
父の死のことは特に言わずに、やむ終えない事情で添乗員が変わります、とだけお話してツアー・バスを降りたのですが、事情を察したお客様が、
「頑張ってね」
「気をつけてね」と涙ぐみながら声をかけてくださり、振り返ると、
バスの窓から皆さんが白いハンカチを振って見送ってくださっていました。
あの時の光景は、決して忘れることができません。
そんな私の添乗員時代、しかもあの時のことを知っている方とここで再会しようとは…!
Y様にお会いし、一連の記憶がうわ~とよみがえてってきて思わず涙ぐんでしまったのですが、
それは亡くなった父のことを思い出したからではなくて、あの時のお客様のご理解と優しさに今さらながら胸がいっぱいになったからでした。
実はY様とは、その後もオランダ・ベルギーのツアーでご一緒したので、
添乗員として2回、現地ガイドとして1回、計3回も偶然、ご一緒させていただいたことになります。
2度までならまだしも、このアイルランドで3度目があろうとは…よほど深い縁があるのでしょう。

ドゥーン・エンガス(アラン諸島)にてY様(左)と記念写真
そんなY様、いつも奥様とご一緒にご旅行に参加されていたのに、今回はお一人…?といぶかしく思っていたところ、
「昨年、家内が死んじゃったんだよ」とぽつりとおっしゃられました。
ご夫妻の仲睦まじいお姿が記憶にあっただけに、
おひとりぼっちのY様はなんだか身が半分に小さくなってしまったような感じ…。
私の父と同じく6月に亡くなられたという奥様。ご存命中には、時折、
「ナオコさん、お元気かしら~」と私のことを気にかけていてくださったそうです。
「家内がいたら、ナオコさんとの再会を喜んだだろうに…」と残念そうなY様。この場にはいらしゃらなくとも、奥様はきっと天国から見ていてくださったことでしょう。
私の父も今年で早13回忌、月日の経つのは本当に早いものです。
私がY様とアイルランドを旅している間、うちの父とY様の奥様も、天国でばったり、こんにちは、あらお宅のお嬢さん知ってますよ~なんてことになっていたりして…!
思いがけず再会した私とY様は、
旅行のこと、亡くなられた奥様のこと、私が添乗員だった若かりし日のことなど、さまざまな思い出話に花を咲かせたのでした。
これも、天国の住人となった人々からの、
たまにはちょっと立ち止まって過去のことを思い出すように、そして今あることに感謝するように、とのメッセージだったのかもしれないな…と思うのです。
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コメント
Uisce
2007/05/18 URL 編集
naokoguide
妹さんの早世、お気持ちお察しいたします。
アイルランドはよく言う「癒し」ということが、特別なことではなく、日常的に行われている土地かもしれませんね。
2007/05/18 URL 編集