以前より複数のお客様から「面白いですよ~」と評判をうかがっていたアイルランド発のこのドラマ、ついに観ました!
RTE(アイルランド公共放送)で、2021年より放送されていたサスペンスドラマ、『スマザー(Smother)』。日本でも『
息詰まる愛 なぜ夫は殺されたのか?』のタイトルで日本語字幕版がアマゾンプライム等で配信されており、アイルランド好き、海外ドラマ好きの皆さんの間で話題になっていたようですね。

主人公のヴァル役のダヴァラ・キーワン(Dervla Kirwan)さんはアイルランドでは有名な俳優さん。全3シーズンありますが、日本のアマゾンプライムでは今のところシーズン1のみの配信のよう。完結編のシーズン3は先日放送されたばかりで、アイルランドでは
RTE Playerで全シーズン視聴できます
サスペンス・ドラマですが、韓国ドラマも顔負けの家庭内・身内内のドロドロ劇。うわ、この人が絶対怪しい!って思うと犯人はその人でなかったり、まさかこの人が…って人が実は悪人だったり。しかも、シーズンを追うごとに怪しげな登場人物がひとり、ふたりと増えていき、予想が裏切られる度合いも増していき…。
2年間も観ずにいたのに、ほんの2日間ほどで1話50分X3シーズンをいっきに観てしまい、いっきに盛り上がって、いっきにロスに…(笑)。
内容もさることながら、注目すべきはロケ地でして、私がしょっちゅうサーフィンをしに行くカウンティー・クレアのラヒンチ(Lahinch, Co. Clare)と、これまたしょっちゅう観光ツアーでお客様をご案内する、石灰岩の大地が広がるバレン(Burren. Co. Clare)やその周辺。オープニングタイトルには、モハーの断崖(Cliffs of Moher, Co. Clare)も登場しています。
それこそ映る景色はどこも、ひと目でココだ!とわかる私の「庭」的な場所ばかり。ビーチも、砂州も、ぽつんとある岩も、崖も、岩盤も、岩場の中の道も、滝も、波止場(ラヒンチには波止場はないのでLiscannorです)も。
きわめつけはアハーン家の屋敷で、なんと、モイ・ハウス(Moy House, Co. Clare)ではないですか。コロナ禍前までは隠れ家的ホテルとして営業していた18世紀の館で、過去に2度ほど宿泊したことがあります。
最後に行ったのは2010年7月。そのときの写真があるはずなのですが、この頃すごく忙しかったせいかブログにも書いておらず(忙しすぎて、モイ・ハウスに宿泊したツアーのあと、
声がでなくなった!)、当時の写真が保存されているディスクもなぜか開けない。さすが、サスペンスドラマのロケ地、証拠が隠滅されてる!(笑)

全シリーズ通してしばしば登場する、ラヒンチのプロムナード

サーファーで常ににぎわっているラヒンチのビーチ。このビーチも背景として映っていますが、ビーチのシーンはモイ・ハウス付近やドゥーンべグ(Doonbeg)が多いように見えます

登場人物たちが闊歩する、ラヒンチ村のメイン・ストリート

石灰岩の大地が広がるバレン。巨石がポツンとあるこの場所、よく出てきますよね!

そして、デニスが落ちた崖はここではないけれど、こんな感じのところです(手元に写真はないけれど、おそらくこの崖かな…って思い当たるスポットあり)

エニシュタイモン(Ennistymon, Co. Clare)の滝もよく出てきますね。この滝を見晴らすフォールズ・ホテル(
Falls Hotel)が、シーズン3のモリエッドのバースデー・ランチのレストラン

本編には登場していないけれど、オープンニングタイトルに出てくるモハーの断崖
このドラマ、私が観るのが遅かっただけで、当地でも製作段階から話題にはなってはいたのです。RTEが初めてBBCに制作依頼したという、アイルランド・英国合作ドラマで、コロナ禍で撮影が中断されつつもシーズン3まで続いたということはなかなかの高視聴率だったのでしょう。
思えば2019年、サーフ仲間から、RTEがラヒンチでサーファーのエキストラを探しているとの情報がまわってきたことがありました。てっきりサーフ・ドラマを制作するのかと思っていましたが、今考えるとあれも『スマザー』だったのでした。
ドラマの内容とサーフィンは直接は関係ありませんが、ラヒンチはサーファーの町ですから、背後にサーフィンしている人たちがたくさん映る必要があったのですね。
そして、これも今思えば…なんですが、2020年2月のこと。ラヒンチでこのドラマのロケ現場に遭遇したのです。しかも、日本からのグループツアーのお客様とご一緒に。(忘れもしない、すさまじいお天気で、モハーの断崖で飛んでいった帽子が戻ってきたほどの強風に見舞われた、この日です!笑→
雪、強風、そしてレインボー!)
バレンやモハーの断崖の観光後、ラヒンチの村のホテルでランチをして、ビーチ沿いのプロムナードに停めてあった大型バスに乗り込んだとたん、目の前で撮影が始まってしまって…。バスを発車するのを待ってください、と言われ、ほんの10分程でしたが車窓から眺めていました。
プロムナードにあるショップを女性が激しい様子でノックし、これまた激しい様子で出入りするような場面でしたが、シーズン1でグレイスが働くカフェをヴァルが訪ねるシーンがそれだと思います。ということは、あのとき演じていた女性は、ダヴァラ・キーワンだったのか!

グレイスが働くカフェ(モリエッドがオーナー?)は撮影当時からショップフロントが変わり、今はアイスクリーム屋さん。そこで買ってビーチで食べるアイスクリームは、Deliciousの文字通り、デリシャス♪
さらにもうひとつ思い当たることが。シーズン2にラヒンチを海の方から空撮したシーンがあり、海上にサーファーたちが複数映っているのですが…。
2021年の夏のはじめ、ラヒンチでサーフィンをしていたときのこと。頭上をドローンが何度も行ったり来たりしていたのですが、あれがそのシーンの撮影だったのかも。ってことは、私、映ってる!?
動画を止めて目を皿のようにして見てみましたが、サーファーはみな黒いウェットスーツ姿なのでいったい誰が誰やら(笑)。コロナ禍の移動制限が解除され始めた頃で、久しぶりのサーフィンに浮かれていた私たちは頭上のドローンに思い切り手を振ってしまったので、おそらくカットされたと思う。あ~、TVに映り損ねた~(笑)。
ちなみに、タイトルの「smother」とは「息苦しくさせる」という意味ですが、愛情を注ぎ過ぎて「息苦しくさせる」という場合にも使われるので、「息詰まる愛」との邦題はかなりいい線言っていると思います。(「夫はなぜ殺されたのか?」と、先回りして説明をつけるのはどうかと思いますが、日本ではこのくらい直接的にしないと視聴者の目を引かないのでしょうか。ドラマ開始の時点では夫は生きているで、この人、殺されちゃうんだ、ってタイトルでネタバレしているけどいいのかな?)
「smother」には、「(事実を)隠す」とか、「窒息死させる」という意味もあり、シーズン3まで見るとそれがすべて腑に落ちます。タイトルがこっそり伏線になっているというスゴイ仕掛け。
そして、サスペンスの形式を取りながらも大きなテーマは「母親」なので、「mother」とかけているのかな?
さすが人気脚本家のケイト・オリオンダン(Kate O'Riordan)さん、このタイトルありきでストーリーを展開したのではないかと思うほどです。
人間関係が複雑で少々あやふやな部分があるので、もう一度シーズン1に戻って観直したいのですが、また観始めると止まらなくなりそうなので、只今じっと我慢中です(笑)。
いずれにしても、内容は好き好きでしょうが(←個人的にはすごく面白い!)、アイルランド西海岸の荒々しくも美しい景色が全編にわたって見られるドラマとしてお勧めです♪
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