数日前のことですが、雨間をぬって北アイルランドのカウンティー・ダウン(Co. Down)へ。
NHK文化センターさんで2月よりシリーズでおこなっている「文学ゆかりの地で歩くアイルランド」の最終回が間もなくなので、そこで取り上げるブロンテ姉妹の父の故郷をもう一度見ておきたくて、空港で仕事が終了したその足でさくっと車を走らせて行ってきました。
バンブリッジ(Banbridge, Co. Down)近くにあるブロンテ父ゆかりの地については4月1日(土)のオンライン講座でご紹介するとして、それとは別に、以前からひと目見たいと思っていた同エリアにある新石器時代の巨石墓(portal tomb)、レガナニー・ドルメン(
Legananny Dolmen, Castlewellan, Co. Down)を訪ねました。
ダブリン方面から、国境を越えてさらに車で30分ほどだったでしょうか。北アイルランドでもっとも有名、かつ、もっともフォトジェニックなドルメンと言われるものですが、主要幹線道路から離れているせいか、これまでなかなか訪れる機会がありませんでした。

普通乗用車がやっと3台停められるくらいの道沿いの駐車スペースから、牧草地の間の道を歩いてのぼること2~3分。写真で見ていたとおりのカッコいいドルメンが現れました!
ドルメンとは北フランスのケルト語であるブリトン語で「石のテーブル」の意味。新石器時代(紀元前4000~2500年)に建造され、アイルランド全土に約200現存しています。
キャップストーン(cap stone)と呼ばれる巨石を、テーブルの脚にあたる5本の石柱で支えているのが普通ですが、このドルメンは石柱が3本しかありません。どうやらこの地域で発見されているドルメンは多くが3本脚らしいです。
そして、上の写真の手前左側の石柱には切れ込みが見られますが、これも、このエリアのドルメンにしばしば見られる特徴だとか。

横から見るとこんな感じ。左側(南側)が入口で、いちばん背の高い石柱は高さ2メートル、キャップストーンは長さ3メートル。火葬した死者の骨や灰の一部を内部に安置し、盛り土で全体を覆っていた可能性が高いと言われますが、諸説あり

小雨が降ってきたのでしばし墳墓内で雨宿り。身長155センチの私がすっぽり入れるサイズ

ドルメンから見晴らすモーン山脈と緑の丘が美しい!ドルメンの巨石は、モーン山脈を形成していると同じ花崗岩石です
先日のオンライン講座で「ナルニア国ものがたり」を取り上げましたが、ここカウンティー・ダウンはまさにナルニア・カントリー。ベルファースト生まれの作者C.S.ルイスが愛し、ナルニアのイメージとした場所です。
オンライン講座でも触れましたが、このようなドルメンを見ると、ライオンのアスランの石舞台が連想されますよね。
案内板の説明によると、「レガナニー(Legananny)」という名はアイルランド語の「Liagán Áine(アーニャの石柱)」に由来するとのこと。アーニャ(Áine、発音によってオーニャと聞こえることも)はアイルランド語の女性名で、古代アイルランドの夏の女神です。
レガナニー・ドルメンの入り口が南を向いているのは、そのせいなのかな、と思いました。
(もしくは、古代アイルランドでは死と関係する方角は南西だったから?)
このエリアはドルメン天国で、20キロ四方に7つのドルメンが点在しています。この日は時間がなく、ほかのドルメンへ足をのばすことはできませんでしたが、日をあらためてまた見に行こうと思います。

駐車スペース近くの農家さんのゲートが三つ脚ドルメンのデザインだった!
- 関連記事
-
コメント