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シックスネーションズ、ホームで初のグランドスラム達成!

セント・パトリックス・デーの週末、アイルランドにとって記念すべき瞬間がまたひとつ生まれました。
一昨日のラグビーシックスネーションズ最終節で、宿敵イングランドをホームに迎えたアイルランドは29—16で勝利。1948年、2009年2018年に続く4度目のグランドスラムを見事達成しました。

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AVIVAスタジアム近くで応援しよう!と意気込んだものもパブはどこも近づけないくらいの人だかりでしたので、穴場のランズタウン・ホテルのバーへ。前庭のバーベキューエリアの人垣を必死にかき分け、奥のバーでスタジアムで観戦する人たちが席を立つのを小一時間待ち、ようやくスクリーン前のシートをゲットしました

過去3回のグランドスラムはすべてアウェイでしたので、ホームのダブリンで地元ファンの大歓声を受けて栄光を手にするのは初めて。
今年のワールドカップ後に引退を表明している愛すべきキャプテン、ジョニー・セクストンの最後のシックスネーションズ、そしてホームのAVIVAスタジアムでの最後の国際試合だったこともあり、アイルランドにとって特別な「絶対に負けられない!」一戦でした。
ついにこの日が来てしまった、と半ば寂しいような気持ちも入り混じって迎えた80分は夢心地で過ぎ、無事に勝利した今は、安堵の気持ちでいっぱいです。

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まるで私が全部飲んだかのようですが、手前のギネス以外はすでに席を立った人たちがあけたグラスです(笑)

序盤から激しいディフェンス戦で、両者とも全身全霊を捧げた死闘のような激しさ。ペナルティーでイングランドに先制点を許し、おそらくプレッシャーからでしょう、ミスも目立ち、前半はなかなかアイルランドのペースに持って行けない感じでしたが、このことろのアイルランドは後半の盛り返しが素晴らしいので、あまり心配はしませんでした。
それでも、セカンドハーフの前に(彫刻顔の!)ダン・シーハン君がトライを決めてくれほっとひと安心。昨シーズンあたりからテストマッチに姿を見せ始めた24歳の若きヒーローは、2番さんなのでラインアウトで投げる人…って思っていましたが、今回の試合で2トライを決めPOMに選ばれるというオールマイティぶり。
試合後に元代表のロブ・カーニーが「シーハンはウィングでもいんじゃないか」と評したほど、体格にも恵まれ、この若さとキレの良さは頼もしい限り。弟さんもレンスターで活躍していますよね。

それにしても、今のアイルランドの選手層の厚さと言ったら!ベテラン、若手が入り乱れてしのぎを削り、怪我で数名欠けてもびくともせず。世界ランキング一の貫禄そのものです。
今回も後半、サブの選手の活躍が光ってましたね。先週のスコットランド戦で負傷したリングローズ君に代わって先発に選ばれたロビー・ヘンショー君もバッチリ仕事をしてくれて、セカンドハーフで最初のトライ。
シーハン君の2トライ目は、先週のスコットランド戦でスコアしたサブのジャック・コーナン君の見事なパス回しのおかげでしたし、残り時間5分を切っての勝利の決定打となったトライは、やはりサブで入ったロブ・ヘリング君でした。
みんなで仕事してる感いっぱいで素晴らしい。

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シーハン君の2度目のトライの瞬間。中央でひとり白いジャージを着た勇気あるイングランドのサポーターさんが顔を覆っています…

そして、ヘリング君のトライで勝利がほぼ確定した瞬間の動画。
この後、ホイッスルが鳴るまでの数分間は、スタジアムでも私たちがいたバーでも、まるで勝利をカウントダウンするかのような「The Fields of Athenry」(ラグビーやサッカーの応援歌として歌われるフォークソング)の大熱唱が続きました。



私のひいきのジェームズ・ロウ君は、今日はトライこそしなかったものの、髪を振り乱してタックルしたり、まるで15番さんのように高いボールをキャッチしては縁の下の力持ちとして頑張ってましたね。(パスのミスもあったけど、次はガンバレ、ロウ君!)
ポニーテールがほどけてしまったスクリーン越しのロウ君に向かって「Take my (hair) bubble!!!(私の髪ゴム使って!)」と大声で叫ぶ私に、一緒に観戦していた友人ニーヴがツッコミを入れるどころか一瞥もくれず、「Come'n Ireland!!!」とひたすら応援し続けていたのが今思い返すと可笑しい。(またナオコ、アホなこと言ってるわ…って思って無視・笑)
そんなことまで叫んでいた私は、翌朝、見事に声が枯れていました。

試合終了後も5万人の観客はスタジアムから立ち去らず、トロフィー授賞式、選手の家族たちがピッチに降りてきて喜び合うシーンを共にに分かち合ったようです。
そんなシーンの動画ですが、1:55あたり、ロウ君、キーナン君たちが面白い(笑)。選手の子どもたちがわらわらと来ては記念写真に一緒におさまる姿も微笑ましい。
そして、基本いつもぶっちょうずらのジョニーの、このままほころびてしまって永久に元に戻らないんじゃないか、ってくらいの満面の笑顔が逆に、これまでのストイックな努力や大きなプレッシャーを物語っているかのようで涙を誘いました。



アイルランドを勝利に導いたアンディ・ファレル監督と、その息子でイングランドのキャプテンのオーエン・ファレルとの試合終了後の抱擁シーンも話題を呼びました。オーエン・ファレルの2人の息子さんを含むご家族は、この週末ダブリンのおじいちゃん宅に宿泊していて、アイルランド代表のトレーニングを見に来たりしていたそうです。(オーエンはそれを後から知ったとか!)
試合当日は、おそらくオーエンの息子さんと思われる男の子2人がイングランドの白ジャージ、甥御さんと思われる男の子がアイルランドの緑ジャージを着てスタジアムに来ていましたが、おじいちゃんとお父さんの父子対決を見守るファレル・ファミリーの心中は幾ばくだったことか。
凡人には想像もできないようなプロフェッショナルなレベルで、試合は試合、ファミリーとしての愛情は愛情…と切り離すことが出来るのでしょうが、ときに複雑な想いもあることでしょう。

この日、はっきりした報道はありませんでしたが、チャーチことキアン・ヒーリーも最後のシックスネーションズ、ホームでの最後の国際試合だったかもしれません。
余談ですが、趣味人の彼は今、ナイフ作りにはまっているそう。チャーチ&タイグ・ファーロンの2人が1番&3番でプレイするのを見るのが好きでした。
そして、今回のトーナメントに召集されながらもついにそのプレイを見ることはなかった、いぶし銀キース・アール様。ダンシング・フィートのアール様のプレイに見ているこちらもいつも小躍りしたものです。一昨日もスクリーンにその姿は見られなかったけれど、スタジアムには来ていたよう。これまでの功績に陰ながら拍手を送らせていただきます。

ちなみにアイルランドは、昨日のU20のシックスネーションズ最終節でもグランドスラムを達成しました。ジョニーは今年で引退してしまうけれど、有望な若手が後続するアイリッシュ・ラグビーの未来はさらに明るいと言えましょう。
さあ、次はワールドカップ。この勢いで目指せ、優勝!🏉🏉🏉
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コメント

Hongnao

バスでAVIVA行って仕事して帰る!
ナオコさん

ジャックコナンみたいな平常心で何事にも取り組みたいものです

GSおめでとう
トリプルクラウン連覇おめでとう

レプラコーンキーナンが前半ぶっ倒れた時は絵文字の冷や汗マークが出ましたが、最後までグランドにいれたようで安堵しました(トロフィーの帽子も被ってましたね)、でもあのシチュエーションはお互いどうしようもない状況だったかなあと、スチュワードも必死によけようとしていて最悪な角度になってしまったって感じかなあ、でも故意か故意でないかは一切考慮せず危険が否かってことでの判断だそうなのでね、やむなしですね。でもあれがレッドなら後半のロスバーンへのリフトこそ完全な故意だからレッドだろうにと思った次第です、なぜあれがイエローなんだろうか。
シーハン君は2本目のトライの時の突き指ならぬ突き腕ですかね、大事ないといいです。POMの名前呼ばれた時のベンチでのいじられ方が実にかわいかったです。
表彰式にリングローズとタイグバーン(杖なしで)が来ていたのはうれしかったです。
けが人みんな早く良くなってねえ!
いぶし銀殿は映ってましたよ、ジョニーが退場するときスタンドでリングローズの隣で拍手してました。彼もあと2つで100cupですが今のバックスの層の厚さを思うとWorld Cupでメンバーに入るのはちょっとしんどいかなあと思います、温情で選ばれちゃうような世界ではないだろうし、それは彼の望む状況ではないだろうし、それに、彼の貢献は誰もが知っています、なにせBODに次ぐトライ数です。
マックハンセンは去年あたりは来たばっかりだったからかチームになじみ切れてない感じで表情も硬いような気がしましたけど今大会は周りの仲間とも打ち解けてほんと伸び伸びと試合を楽しんでいるように感じました、ロウ君とハンセン君、既にアイルランドに欠かせない両ウィングです。
ベストが引退して、シーハン君とケラハー君がほぼ一緒に出てきた頃はケラハーが一番手で、二番手フッカーって感じでしたが、今や堂々の一番手でしょう、彼はほんと走るんです、彼を使ったサインプレーも結構あるし(1本目のトライも)得点にもよく絡んでいるしフットワーク軽快な第一列です!ただ、ケラハーとは年も確か同じで、チームも同じレンスター、チーム内で良きライバルとして高め合えるとは思いますが、出番も半分ずつになってしまう…..カーベリーを例えに使ってはいけませんが、なかなか難しいところだろうと思います。そのカーベリー、フランス戦だったかに給水係として入ってましたね、ちょっと複雑でした(;^_^A クラブでの試合でしっかりアピールしてぜひ代表に戻ってきてほしいです。

オーエンがおとうちゃんとハグした場面はあまりに彼の背中が弱弱しく、抱きしめるアンディがすっかりおとうちゃんの顔だったのが印象的でした。なかなか調子の上がらないチームのキャプテンとして、若いマーカスとのちょっとしたぎこちなさ(どっちも俺様キャラだもん)もあってか連携がうまくいかないこともあったように聞きます、いろいろと苦しいんでいるんだろうなあと思います、今大会は試合中も目力がなくなっていたように感じました。あと半年うまく立てなおしてきてほしいです。
それにしてもiTV!メダルを授与している途中で放送終了しちゃったんですよ!! いかにエゲレスの放送局だからってダメでしょう!?
iTVの解説者は、BODとベストとJonny Wilkinsonです、なかなか豪華でしょ、最近BODはかなりきつ目の遠視(早めの老眼!?)をかけているのですが….ちょっとごっつめのフレームのせいかかなりの違和感であります。
今月末香港ではHong Kong Sevensがあります、アイルランドはそこまで強くないですが、未来の俊足スターがいるかもです。オブライエン君はたしかSevens出身だったかと。





ようはっぱ

待ってました、現地レポ。
なおこさんの現地レポを楽しみにしていました。
詳しいお話をありがとうございました。
私は試合数時間前の夕食ではギネスと緑色のグッズで優勝を祈念していました。

いやー、終わっちゃった。
ライブでは見れなかったので、録画したのをじっくり見ました。
終わるのが悲しくて、寂しくて。
他の2試合は流しっぱなしで見たんですが。
この試合だけは用事で離れる時は止めて、戻ってまた見始めて、と結局何時間もかけて見ました。
優勝後のジョニーのあの満面の笑みに、ほんまやっとやっとなんやなーとうるっとなりました。
そして、ファレル親子のハグにはもう涙ちょちょぎれでした。
私はいつも両チームの試合の時は、オーエンファレルのママでアンディさんの奥さまはどんな心境なのだろうかと想像してます。
私だったら、、、、。

今そちらにいる日本の若きラガーマンたちにはこの優勝は刺激になったことでしょうね。

ますますW杯が楽しみです。

naokoguide

Re: バスでAVIVA行って仕事して帰る!
いや~、Hongnaoさん、今回も渾身のコメントをありがとうございます!
あのレッドカードはその後も議論されていますね。スチュワートは背中を向けるべきだった、と言う人がいれば、いやいやキーナンがよけるべきだった、とか。過去に同じような例がないから判断しようがない、と言う人も。
いぶし銀様が映っていたとの情報、ありがとうございます!Vigin Oneのプレイヤーでその場面を観直しました!はい、いました~!リングローズの横に立ってましたね💓

トミー・ボウが何かのインタビューで、自分はBODやオガラ、ポール・オコンネルらがいたアイルランドの黄金時代にプレイしていたと思っていたけれど、今のアイルランドはレベルが違うよ、って言っているのを聞いて同感。昨晩、トミー・ボウ大活躍だった2009年のグランドスラムを決めた伝説のアイルランドVSウェールズ戦、あの残り時間5分くらいになってジェットコースター展開となり、国民みなが息をのんだ対戦を見てしまいました。(ヒースリップにサインしてもらった私の宝物DVDです)
オガラがウェールズの10番スティーヴン・ジョーンズとジャージを取り替えてセレモニーに臨むのを見て当時も涙したけれど、今見ても泣ける…。そうそう、セレモニーのステージに、怪我人要員として控えていた、若きいぶし銀様も登壇していました。
もしかしたら、あのくらいの試合は今はU20でもやれちゃうかも。スキルもスタミナも、今は別次元だなあ、と思う反面、あのガラガラドキドキも良かったなあ、なんて思ったりしたのでした。

オーエン・ファレルの目力、さすがHongnaoさん、目のつけどころが違いますね。確かに、以前の不敵な視線や笑みが消えてるかも。オーエンはじめ、イングランドの選手たちは勝利したアイルランドに最大に祝辞を送ってくれて、スタジアムでなんとアイルランドのファンたちに手を振ったりして祝福してくれたそうです。素晴らしきスポーツマンシップ&プロフェッショナリズム。

BODのメガネ姿、最近はいつもそうなので私は見慣れちゃいました(笑)。さすが奥さん女優だけあって、スタイリッシュだなあ、と思ったり。余談ですが、アイルランドでは、BOD&Amy(奥さんの名)へ、だけで住所書かなくても手紙が届いちゃうらしいですよ(笑)。
そして、RTEはヒースリップ、Virgin Oneはロブ・カーニーです。VPNを駆使して、iTVのPlayerが見られるか見てみます!

naokoguide

Re: 待ってました、現地レポ。
ようはっぱさん、こんにちは!終わっちゃいましたね~、寂しい~。
ギネス&緑グッズで優勝祈念、さすがです。

そうそう、今、日本の高校生が来ているんですよ。アイルランドがグランドスラム勝利したと同じ日にトリニティーカレッジと試合して勝利したようですね。明日も試合があるようです。
(一部お世話する仕事のオファーをいただきましたが、ほかの仕事予定と重なってお受け出来ませんでした)

4月1日にAVIVAでレンスターVSアルスター戦があるので、観に行こうか思案中。ジョニーは怪我で出ないらしいですが、ロウ君はいるし…。ワールドカップまでは待てなそうなので!笑

fairy

素晴らしかった〜‼️
直子さん!やりましたよね〜!
自宅で観戦でしたが主人と一緒に応援していました!得点が入ったりアイルランドに有利となった時は大騒ぎしますが、基本的には私語厳禁(笑)主人が集中できないって。
本当に選手の皆さん感動をありがとうです。
ちらっと映ったKieth選手を見て主人も私も大興奮しました!
途中から選手交代で何度か出たTom O’Toole 選手、主人の知人の友人の息子さんだと発覚し主人がお母様と最近話をしたばかりだと!
頑張って欲しいです!

naokoguide

Re: 素晴らしかった〜‼️
fairyさん、こんにちは。
やりましたね~、でも終わってしまった…。ワールドカップまで待てないっ!って思って、昔の試合を掘り返して観ています(笑)
そうなんです、最近私もすっかり選手のお母さん気分。友人の息子さんが学校時代にリングローズと一緒にラグビーしていた仲で、彼が出始めた頃にそれを聞き、以来すっかり我が子のような気持ちになってしまって(笑)
あれがうちの息子だったら、心臓いくつあっても足りないわ~って思ったりしています。
みんなそれぞれのRegionalチームに戻ってのプレイが始まりますが、けが人多いので、無理せず休んでワールドカップで万全のコンディションに仕上がるといいですね!
あー、楽しみ💓
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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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