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実はアメリカから逆輸入?セント・パトリックス・デーのパレード in ダブリン

Lá fhéile Pádraig sona dhuit! ☘☘☘
(アイルランド語で「ハッピー・セント・パトリックス・デー・トゥー・ユー!」)

本日3月17日はアイルランドの守護聖人パトリックの日。アイルランド島内各地はもちろん、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、ロンドンなど世界各地でパレードが行われ、皆さんそれぞれの場所で楽しまれたことと思います。(東京や横浜のパレードは先週末でしたね)
過去数年、私のセント・パトリックス・デーは西海岸でサーフィンか、国外でスキー…というパターンでしたが、今年は前後に仕事があり出かけられず。せっかくなので街へ出て、2017年以来、実に6年ぶりにダブリンのパレードを見物しました。

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街に近づくにつれ、ナショナルカラーのグリーンや国旗色をまとった人たちがいっぱい。街頭にグッズも販売

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年に一度この日にだけお目見えするシャムロック柄のタイツで、いざ街へ!☘☘☘

セント・パトリックス・デーのパレードはアイルランド系住民の多いアメリカのニューヨーク発祥で、今でも世界一の規模のパレードはニューヨークの五番街です。貧しかったアイルランドでは組織だったイベントは行われておらず、単に国民の祝日というだけでした。
行政主導の大がかりなパレードが行われるようになったのは、経済が上向きになり始めた90年代の終わり頃から。首都ダブリンで始まり、今や島内津々浦々で行われるようになりましたが、そもそもアイルランド移民が伝えた聖人の日がパレードというイベント性を備えて逆輸入されたもので、アイルランド国内では近年のトレンドなのです。

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ダブリンのパレードの参加の半数はアイルランド系住民の多いアメリカから。ブラスバンドやバトンなどの団体はほとんどがアメリカの学生さんたちで、そのファミリーが総出で見物に来るのがお決まり

ダブリンのパレードのスタートは毎年決まって正午。パーネル・スクエアから聖パトリック大聖堂まで約2.5キロのルートを2時間程かけて移動します。
ルート後半の沿道にいた私たちのところへ先頭が姿を現したのは、スタートから約1時間後の13時過ぎ。雨がやんでいて良かった(笑)。
パレードの写真はすべて、一緒に見物した友人のタカシさん&ミナコさんが撮影してくださいました。まあまあ早めに行って場所取りをしたつもりではありましたが、沿道は大変な人垣で、背の低い私に見えるはずもなし。長身のお2人が上手に撮影してくれて感謝。

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ディズニー100周年記念のグループ、よく見ると皆ミッキーの耳をつけています!写真には写っていませんが、オープンカーに乗ったミッキー&ミニー、ドナルド&デイジーもいました。ちなみにウォルト・ディズニーもひいおじいさんがアイルランドから移民したアイルランド系アメリカ人です(「ミッキー」とはアイルランド人の別称で、自虐的にキャラクター名に用いたと言われています)

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魚に扮したのは海の環境保全のチャリティー団体。こういうハリボテのアート系はたいていアイルランド人の団体です

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カナダから来たブラスバンド。トランペットにメイプルリーフ模様が🍁

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エイリアンに扮したのは南東部ウォーターフォードから参加のグループ

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高さ4メートルのグリーンのエイリアンも!

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向かいのホテルの窓にはレプラコーンが(笑)

セント・パトリックス・デーは世界にアイルランドをアピールする絶好のチャンスでもあり、ダブリンのパレード見物に国外から多くの人がやって来る一方で、アイルランド政府の要人たちは、シャムロックの鉢を手に国外へ外交に出かけます。
首相は決まってワシントンへ出向き、ホワイトハウスでアメリカ大統領と会談。その昔、アイルランドが貧しかった時代に多くの移民を受け入れてくれてありがとう、と、お礼参りに行くのです。
今年もレオ・バラッカー首相がホワイトハウスを訪ね、ハリス副大統領とのブレックファースト・ミーティングに続きバイデン大統領と会談。アイルランド製ウォーターフォードクリスタルのボウル入りのシャムロックを渡し、2人そろってグリーンのネクタイをつけてお目見えするのも毎年の習わしです。



アイルランド系アメリカ人としてご自身のルーツを誇りにしている、アイルランドびいきのバイデン大統領ですが、北アイルランド和平樹立25周年の今年、アイルランドを訪問することが期待されています。今日の会談でも記者からの「いつ、アイルランドを訪問するんですか?」という質問に、「Soon!(すぐに)」と答えていました。

それにしても、セント・パトリックス・デーって不思議な日ですよね。国をまたいで一斉に祝う日なんて、クリスマスを除いてはほかに類を見ないのではないでしょうか。
しかも何を祝うのか漠然としている。クリスマスはイエスキリストのバースデーですが、セント・パトリックス・デーは聖人パトリックの誕生日なのか命日なのか、移民した先祖をたたえる日なのか、アイルランドゆかりの人たちが集う口実なのか。
そもそも聖パトリックはアイルランド人ではなくウェールズ出身だし、本国のパレードはアメリカの真似事だし。でもすっかりちゃっかり「アイルランドの日」として認知されていて、目的はともかく、みんなでグリーンを身に着けてギネスを飲み、歌ったり踊ったりしてるのがよくよく考えると可笑しいのですが、その曖昧さ、おおらかさがアイルランドらしくていいのかもしれませんね。😉

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パレード前に立ち寄ったカフェにて。キャロットケーキもブラウニーもマフィンも今日は全部、グリーン!
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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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