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「ピーターラビット」や「アン」にも出てくる、「ナルニア国」のローリー・ポーリー・プディング

「文学ゆかりの地で歩くアイルランド」のオンライン講座の第2弾、3月4日(土)配信の「C.S.ルイスの故郷ベルファーストと「ナルニア国」」に向けて、今週は『ナルニア国ものがたり(The Chronicles of Narnia)』全7巻を読みかえしていますが、いや~、面白い。
新訳も出ていますが、やはり岩波少年文庫の瀬田貞二さんの名訳が昔も今もツボ。気になる部分は原文を参照しつつも、瀬田さんの昔話調、時代劇調な日本語の小気味良さがたまりません。(オリジナルのポーリン・べインズの挿絵が使われているのも岩波だけ)
子どもの頃に夢中になった以上に楽しんでいるかもしれず、作者のC.S.ルイスが、「成長することによって童心(想像力)を回復した人は、大人になってもファンタジー(児童文学)と再会できる」と言った、その意味はまさにこのことだったのか、と実感しています。

ところで、「ナルニア」には食べ物の描写も多く、お腹がすいているときに読むと大変です(笑)。
瀬田さんが「プリン」としたことで有名なエドモンドの好物ターキッシュデライトをはじめ、オートミールのお菓子(フラップジャックみたいなもの?)、釣りたての川魚のフライ、バターをたっぷりつけていただく茹でたジャガイモ、シカやヒツジやクジャク(!)のコールドミート、ウナギのシチュー、イチゴのアイスクリーム、アツアツのココア…。
ルーシーがオムレツを食べるシーンでは、思わず読書の手をとめてキッチンへ行き、私もオムレツを作って食べずにはいられませんでした!ルーシーみたいに、魔法で出してもらうというわけにはいきませんでしたが。

そんな、おいしそうなものいろいろの中で気になったのが、第1巻の『ライオンと魔女(The Lion, the Witch and the Wardrobe)』に出てくる、ビーバーさんの奥さんが食後にサプライズでオーブンから取り出すお菓子。「やきたての湯気をほかほかたてて」いる、「すてきにねとねとするマーマレード菓子」…って、めちゃくちゃ美味しそうではないですか。
このお菓子はいったい何なのでしょう。原文は「スティッキー・マーマレード・ロール」(a great and gloriously sticky marmalade roll)なのでロール菓子ということでしょうが、それってもしかして、ローリー・ポーリー・プディング(roly-poly pudding)では?と思い至ったのでした。

ローリー・ポーリー・プディングと言えば、物語に出てくるお菓子としてはちょっと有名。そう、「ピーター・ラビット」の『ひげのサムエルのおはなし(The Tale of Samuel Whiskers or, The Roly-Poly Pudding)』に登場する、「ねこまき団子」がそれです。
いたずらな子猫のトムがネズミ夫妻に捕まり、お菓子の生地に巻かれてしまうというシュールなお話。「ねこまき団子」という石井桃子さんの日本語訳も強烈ですが、ネコがネズミにめん棒で巻かれて、うぎゃ~って顔してる、ビアトリクス・ポターの絵のブラックなことと言ったら…笑。見たい方はぜひこちらを→ひげのサムエルのおはなし(福音館書店)
(ちなみに、マグレガーさんにウサギ・パイにされちゃったピーターのお父さんのエピソードもかなりブラックですよね…)

そして、モンゴメリ・ファンの皆さんには、このお菓子はスーザンの「ジャム巻きプディング」としてお馴染かと思います。『炉辺荘のアン(Anne of Ingleside)』で、アンが肺炎にかかり危篤状態から生還したときにスーザンが作るお菓子で、原文はやはりローリー・ポーリー・プディング。
ちなみに「ローリー・ポーリー」には「plump(丸々した、ぽっちゃりした)」の意味もあり、まだ小さかったアンの末娘リラが「お団子ちゃん」(ローリー・ポーリー)って呼ばれてましたよね。(そう呼んだのは、将来リラと結ばれることになるケンだった、という伏線が好き)

ローリー・ポーリー・プディングは(アイルランドやカナダを含む)英国圏の伝統菓子ですが、今となっては少々古めかしいデザートなのでしょう。名前は誰もが知っているけれど、作ったり食べたりしているのはあまり見かけません。
でも、「すてきにねとねとする」なんて言われたら食べてみないわけにはいかず、そう言えば、テリー神川さんの「『赤毛のアン』のお料理BOOK』」に「ジャム巻きプディング」のレシピがあったなあ、と思い出し、そちらを参考に作ってみました。
テリーさんのレシピは蒸し器で蒸す方法ですが、「ナルニア」のビーバーさんの奥さんはオーブンから出していたので、オーブンで「蒸し焼き」したのだと仮定して私もそうしました。

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分量はテリーさんの半分で、「蒸し焼き」方法や時間はネットであれこれ検索。1時間後、こうなって出てきました、ど~ん

このカタチ、ネコが巻かれていないだけで、「ねこまき団子」にそっくり。子猫のトムが、中からうぎゃ~って出てきそうだ…🙀

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切り分けてみると、マーマレードの色が生地に同化して映えないものの、一応それらしいかな?(ちなみにお皿は、最近お友達のお母さんにゆずっていただいたブルーウィロー♪)

「蒸し焼き」があまりうまくいかなかったようで、生地の食感はまるで焼き菓子。ロール状のスコーンを食べている感じでしたが、これはこれで美味しかったのでまあ良しとしましょう。
ただ、はみ出ることを懸念してマーマレードを控えめにぬったせいか、「すてきにねとねと」はしておらず、さらにマーマレードをトッピングして無理やり「ねとねと」させました(笑)。
(本来はカスタードソースなどを作って添えるようですが、甘すぎてしまうので、あえて作りませんでした)

材料も常備しているもので出来て、とっても簡単。中身もネコでもいいくらいですから、何でもいいようで、あずきペーストにしたら和風デザートになりそうですね。
次回はもうちょっと「プディング(蒸し菓子/茹で菓子)」っぽい食感を目指して、蒸し器で作ってみようと思います。
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コメント

さえのパートナー

瀬田貞二賛
いまさらですが。
ナルニアより完全に指輪派の68歳です。瀬田訳をお褒めいただき、思わず返信いたしました。「ああ、なんちゅう誉れ!なんちゅう幸せ!」
もちろんイニシェリンは見ました。
自慢はヴァレンティア島のウオッチタワーまで登って、スケリッグマイケルを遠望したことです。

naokoguide

Re: 瀬田貞二賛
さえのパートナーさん、こんにちは。
いや~、瀬田さんすごいですよね。泥足にがえもん、などなど、絶妙なセンス!
Valentia島のウォッチタワーにのぼられたのは自慢できると思います!私の自慢は、同じくValentiaで世界最古のテトラポッド(四肢動物)の足跡を見たことです!笑
イニシェリン、良い作品でしたね。
非公開コメント

naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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