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絶滅危惧種の動物がいっぱい!ダブリン動物園

しばらく前に日本からダブリン動物園(Dublin Zoo、The Phoenix Park, Dublin 8)を取材したいとの依頼があり、取材自体は結局成立しなかったのですが、動物園のウェブサイトを見ていたらなんだかとても楽しそう。
以前に行ったのは10数年前、「アフリカン・サバンナ」がオープンしたばかりの頃でした。その後、「森の中のオオカミ」、「ゴリラの熱帯雨林」など新しいセクションもでき、アニマルウェルフェア(動物福祉)により配慮した施設として再評価されていると聞きます。一度ちゃんと見物しておかなくては…と思い、先週友人を誘って行ってきました。

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素晴らしい秋晴れの日。ハロウィーン休暇に向けた夜のライトアップ・イベントが行われており、植物や動物になぞらえた飾りも見事でした

1830年設立、1831年開園という、ウィーン、パリ、ロンドンに続き世界で4番目に古い歴史ある動物園。広大なフェニックス・パークの一画にあり、現在約600頭の動物が飼育されています。
年間100万人が来園する人気のアトラクションであると同時に、近年、絶滅危惧種の保護や繁殖に力を入れていることでも知られ、「欧州絶滅危惧種プログラム(EEP)」のメンバーとして世界の動物園と協力して地球上の絶滅危惧種の保護に貢献しているそう。

それぞれの動物に適した自然環境が再現されていて、動物園でありながら植物園のような一面も。高地、森、熱帯雨林、草原、湿原…など、園内を歩くにつれ、木々の匂いが変わっていくのです。
単に動物を見るだけでなく、動物の生息環境を丸ごと目撃しているかのような臨場感がありました。

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まずは大物、ライオンから。ここにいるのはインドライオン(Asian Lion)で、アフリカライオンより体は小さ目。ガラス板1枚隔ててすぐ近くで見られるので迫力満点。たてがみのあるオスはちょっと遠くにいました

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野生には500頭しか残されていないというアムール・トラ(Amur Tiger)。ガラス板ぎりぎりまで来てガォ~と吠えるので、見物客は大盛り上がり

そう言えば、ダブリン動物園は古くからライオン飼育に定評のある動物園でした。
1857年、世界でいち早くライオンの繁殖に成功したこともあり、ダブリンで生まれるライオンは丈夫で健康であると世界中の動物園やディーラーから人気だったと言います。
有名なのは、アメリカのMGMという映画会社のマスコット・ライオン。MGM社の映画を見ると、始まる前にスクリーンの真ん中で首を振ってガォ~と吠えるライオンがいますよね。あの初代&現在のライオンはダブリン動物園生まれなんです。
初代は1919年生まれのスラッツ(Slats)で、1924~28年の4年間、ロゴとして使用されました。古い白黒映画を見る機会があれば、スラッツに会えるかもしれません。
そして、現在使用されているのは8代目ライオンのレオ(Leo)で、1956年生まれ。1957年、1歳のときに撮影され(歴代のマスコットで最年少!)、その後枠の文字やデザインは変わってもレオは変わらず。今ではロゴはアニメーション化されましたが、やはりレオをモデルにしています。
今後MGM社の映画を見たら、ぜひ「あのライオンはダブリン動物園出身!」って思って見てください。(笑)

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次は霊長類。それぞれの動物について保護の観点から分かりやすい説明があるのがいい。こちらはクロザル(Celebes Crested Macaque)の説明で、1970年代から80%減少しており「絶滅寸前(Critically Endangered)」にカテゴライズされているそう

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ボルネオ・オラウータン(Bornean Orangutan)は家の中に。ガラスにへばりついて、ぼぉ~っとしたまま動かないので、もしや心を病んでいるのでは…と心配しましたが、帰りに通ったときは「オラウータンの森」で動き回っていたので大丈夫そう、ほっ…

いよいよ私が楽しみにしていた、「森の中のオオカミ」。2019年8月にオープンした、ダブリン動物園でもっとも新しいセクションのひとつです。

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あれがハイイロオオカミ(Grey Wolves)!群れでウロウロ、ぱっと見は大型犬のよう

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フェンス越しに目が合った!🐺

2020年公開のアイルランド制作のアニメーション映画『ウルフウォーカー』をご覧になった方は、アイルランドがかつてオオカミの楽園で、「ウルフランド」と呼ばれるほどであったことをご存知でしょう。(過去ブログ参照→9か月ぶりの映画館、『ウルフウォーカー』を観ました
イギリス支配のもとで人間や家畜に脅威を与えると敵視され、大々的なオオカミ狩りが行われた結果、1700年代末までにはアイルランド島からも絶滅してしまったオオカミ。それが今、こうして目の前にいることに胸躍りました。

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オオカミについて、そして、アイルランドとオオカミについての興味深い説明がたくさん。オオカミはアイルランドに3万年以上前にやって来て氷河時代を生き延びたそう。『ケルズの書』にもオオカミが登場しています

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次は「ヒマラヤの丘」でユキヒョウ(Snow Leopard)に対面。岩と同化しており、見つけるのに時間がかかりました(笑)

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めちゃめちゃ可愛かったレッサーパンダ(Red Panada)!まるでぬいぐるみのよう~💓

各所にコーヒーやおやつを売っている売店があり、私たちも休憩しながら、園内のかなりの敷地を占める「アフリカン・サバンナ」に到達。

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ロスチャイルド・キリン(Rothschild's Giraffe)、サバンナ・シマウマ(Grant's Zebra)、シロ・オリックス(Scimitar-Horned Oryx)が肉食動物に襲われる心配もなく、ほのぼのと群れていました。生存本能を刺激されなくとも大丈夫なのかな、といらぬ心配をしたりして…

野球の球団のオリックスって、コレのことだったんですね。シロ・オリックスは90年代以降野生で見られなくなり、「野生絶滅種(Extinct in the wild)」という「絶滅」ひとつ手前の危惧種にカテゴライズされてしまったそう。
動物園にもいなくなったら、本当にいなくなっちゃう!

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キリンの目が可愛くて、見飽きがありません。かなり長い時間ここでサバンナを眺めていました

ちょっと離れたところにミナミシロサイ(Southern White Rhinoceros)と、カバ(Common Hippopotamus)がいましたが、いずれも岩のようにデカく動きがほとんどありませんでした。

次は、コンゴの森を再現したという「ゴリラの熱帯雨林」へ。近づくと、かつてコスタリカで訪れた高地の熱帯雨林を思わせる匂いがしてきて驚きました。きっと熱帯に生息する同種の木々があったのでしょう。
環境作りが徹底していてスゴイ。

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草や木の陰にいて見つけるのが大変でしたが、しばしポーズをとってくれたゴリラ。ゴリラの減少は人間によるゴリラ狩りだけでなく、エボラ熱のせいでもあったことをここでの説明で知りました。ゴリラもかかるんですね

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「カジランガ・フォレストトレイル」(インドのカジランガ国立公園にちなむ)にいたアジアゾウ(Asian Elephant)。確かアフリカゾウより小柄で耳が小さく、額が丸みを帯びているんですよね。添乗員時代に覚えた両者の見分け方が記憶の底からふいに出てきた(笑)。ゾウは大人子ども合わせて何頭もいて、名前の見分け方が貼り出されているのですが、結局この子の名前が何か判別できず…

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帰り道にフラミンゴ(Chilean Flamingo)を見て…

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フンボルト・ペンギン(Humboldt Penguin)で見納めしました

いや~、思っていた以上に見ごたえありました。ここでご紹介した1.5倍くらいの種類の動物を見たと思います。
以前に来た時には友人のお子さんが一緒で、動物も見たけれど、プレイグラウンドで遊ばせている時間の方が長かったような。当時に比べ動物の種類も数も増えているので、今やプレイグラウンドなど目につきませんでしたし、子どももそんな暇はないかも(笑)。
あまりに楽しく勉強になったので、年間パスを買うのはどうか…と友人と真剣に話し合ってしまったほどでした。(本当に買うかもしれません・笑)

ダブリン動物園は我が家から徒歩圏内、ほんの2~3キロという距離。この日も歩いて行きました。
そう考えると、ライオンとかトラとかゾウと、私、ご近所さんなんですね!オオカミとも(笑)。
我が家の立地がとたんに素晴らしく思えてきた!オオカミとご近所なんて素敵♪
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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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