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徒歩で越境、リヒテンシュタインへ!(ハイジの舞台を訪ねて・番外編2)

「ハイジ」の舞台を訪ねるスイスの旅、番外編その2です。(スイスの旅の記録はこれで最後です)

今回訪れた『ハイジ』の舞台マイエンフェルトは、スイス北東部の、隣国リヒテンシュタインとの国境に近いエリア。マイエンフェルト滞在中に「ハイジの泉」を訪れたとき、目の前の道路がリヒテンシュタインの首都ファドーツへ続く道であることに気がつき、あらためて地図を見ると国境までほんの7キロ程であることが分かりました。
天気もいいし、時間もたっぷりある。このまま歩いて越境してみよう!と思い立ち、泉を訪れたその足でリヒテンシュタインへ向かって歩いてみたのでした。

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マイエンフェルトの背後にそびえる『ハイジ』にも出てくるフェルクニス山。この山の向こうがリヒテンシュタイン

リヒテンシュタインには添乗員時代に一度行ったことがあります。チューリッヒ空港からオーストリアへ陸路で移動するときに、たまたま通過したのだと思う。
めったに来る国ではないから…と、ファドーツで観光バスを止めてもらい、ファドーツ城を写真に収め、お客様を引き連れてオフィスで記念にスタンプを押してもらったような記憶が。かれこれ25年ほど前のことです。
ファドーツもポストパスに乗れば十分日帰りできる距離ではありましたが、今回は「歩いて越境する」ことにポイントを置くことにし、国境沿いのバルザース(Balzers)という町を目指しました。

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道はゆるやかな登り坂で、どうやらザンクト・ルツィシュタイク峠(St. Luzisteig Pass)という峠越えの道だったよう。左からEU、スイス、グラウビュンデン州の旗

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スイス軍の施設らしき建物や、山の上の要塞、そして道路沿いには車が一台やっと通れるだけのこんなゲートも。いよいよ国境近し…といった雰囲気

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メインの道路をそれてフットパスへ。行く手には、ハイジの山小屋からも見えたマッターホルンのような山がそびえています

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牧場の柵沿いにずっと私についてきた牛。でも、牛以上に驚いたのが背後の岩山で、我が故郷・信州上田の岩鼻と呼ばれる岩山にそっくりではないですか!まるで故郷に帰ってきたのかと錯覚、こういう牛はいないけど(笑)

こうして思いがけず、ヨーロッパのど真ん中をテクテク歩いてみて感じたことは、大陸で暮らすのと、島で暮らすのでは、ずいぶん開放感が違うなあ、ということ。
こんなふうに隣国がすぐそばにあって、その先にはまた別の国が陸づいたにあって…なんて想像するだけで、アイルランドのような海に囲まれた島国に住む私には、今やちょっと閉塞感…。ダブリンの我が家から7キロ歩いたらアイリッシュ海なのに、ここではこうしてまだまだ陸が続くのですから。しかも、高い山、山、山。
日本も島国ですが、私が育った信州・上田はここと同じように360度すべて山、山、山。よく似た景色に心落ち着く半面、この閉塞感も身に覚えアリ。子どもの頃、周囲の山を見回しては、ここから出るにはどうしたらいいのだろうか…と思っていたあの気持ちがよみがえります。(笑)

そして、こうした小国がひしめき合って国境を接していることの何とも言えない危うさ、頼りなさのようなものも感じずにはいられませんでした。
日本やアイルランドのような、周囲を海でがっちりガードされた島国にしか暮らしたことのない私には、感覚的にちょっと落ち着かないものが…。(アイルランド島には北アイルランドがあるので国境線がありますが、状況がちょっと違う)
ホノルルマラソンのTシャツを着てギネスの帽子をかぶった、明らかに土地の者ではありません!って姿の私のような者が、フットパスから思いつきで越境してきて、地元の人の生活圏をフラフラ歩いてしまうのですから。怪しまれないようにしなくちゃ、と思わず襟を正してしまったほど。(襟のないTシャツだったけれど・笑)

そんなことをアレコレ思いながら歩いているうちに、いつの間にかリヒテンシュタインに入っていました。フットパス沿いだったせいもあり、国境には何のサインもありませんでした。(帰りはバスで別の道を行ったので、ライン川が国境。両国の旗が出ていました)

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住宅街を抜け、高台にそびえるバルザース城へ。中世にライン川沿いに築かれた守りの城

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城から見下ろすバルザースの町。城の斜面は一面ブドウ畑で、地元の人たちがさかんに収穫していました

勝手に越境して来て、この国に一銭のお金も落とさずに帰るのもいかがなものか…と思い、この町でランチをしたかったのですが、あいにく日曜日だったこともあり開いているお店を見つけらず。仕方なく足跡だけ残し(笑)、ポストバスと列車を乗り継いで、マイエンフェルトに戻りました。

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途中、ザルガンズ(Sargans)の駅で焼き栗屋さんを発見!アイルランドにはない、秋冬ヨーロッパの風物詩。30年近く前、はじめてヨーロッパに来た時にイタリアの街角で食べて以来、大ファンです🌰

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おいしい栗でした♪栗の入っていた袋が秀逸で、カラ入れ用の空袋を張り付けて二重にしてありました

そんなわけで、「ハイジ」めぐりのほかにも、アルプスの山に登ったり、こうして隣国へ歩いて行っちゃったりと、あれこれ冒険を楽しんだスイスの旅。
当初8月の予定だったのが仕事の都合で10月になり、それだと山の花はあまり見られないだろうなあ、とあきらめていたのですが、意外にも山野草がまだまだたくさん咲き残っていました。
旅の途中に出会った野の花たちをご紹介して、スイスの旅の記録を終えようと思います。花の名前は特に調べませんが、植物に詳しい読者の方がきっと教えてくださることでしょう。

【10/31追記】
こう書いたら、いつも読んでくださっているYamaさんがあっという間に教えてくださいました!さすが、ありがとうございます!
それぞれの花の名前を知りたい方は、コメント欄をご覧ください♪

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標高500~600メートル地点にたくさん見かけた、マツムシソウ

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マツムシソウと一緒によく咲いていました

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牧草地が一面真っ白に

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標高500メートルのマイエンフェルトで多く見かけました

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標高1100メートルのハイジの山小屋周辺に一面に咲いていました

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「ハイジ」のアニメにこういう花、たくさん描かれてましたよね。ペーターの小屋近くにて

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この花は「ハイジ村」で遠くの草むらにポツンと咲いていました。原作に言及されている「ベニバナセンブリ」か?と思いましたが、少し違うよう

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これも「ハイジ村」で一本だけ見ました。きれい♪

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アイルランドでも夏に咲く、シラタマソウ

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リヒテンシュタインへ歩く道沿いで多く咲いていました
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コメント

Yama

名残の花の名前は
こういう調査は嬉しいのです。分かる限りでお答えしますね。
そもそも植物の名前は「学名」が本来のもの。当然その土地において呼ばれる名前も持つので、こんがらがるのです。日本に存在しない植物、または移入された植物は日本名(和名)を付けられることが多いのですが、たまに生育している土地の名前そのもので呼ばれることもあります。
----の仲間の表現で我慢してくださいね。

1番目 薄紫色の花は:お書きになったように「マツムシソウ (松虫草Scabiosa )」マツムシソウ科 マツムシソウ属の越年草・多年草。さまざま改良されてピンクや白の花もあります。

2番目のマルハナバチが止まっている赤紫の花は:
ヤグルマギク キク目キク科の植物 ヤマヤグルマギクかもしれません。
 
3番目の白い花は:ノコギリソウ キク科 葉を見てください、鋸歯をもっています----のこぎりですね。  

4番目の鯉紫色の花は:サルビア シソ科 横になっているのでイメージが変わって見えます。

5番目の黄色い花は:ヒエラキウム キク科で、なんと日本では「ブタナ」と呼ばれます。食用になることからこんな名前をもらいました。縁がギザギザの「根生葉(ロゼット)」を持っているはずです。
 
6番目の紫色の花は:カンパヌラ・トラケルム キキョウ科 本来はすっと立っているのですが、風に吹かれたせいか横たわっていてわかりにくいですね。
 
7番目の赤い花は:シレネ・ディオイカ ナデシコ科 マンテマの仲間  

8番目立ちあがったピンクの花は:ヘディサルム・オブスクルム マメ科 日本のカラフトゲンゲと同じ  

9番目の花はお書きになったように:マンテマ(白玉草) シレネ・プラテンシス 
  
最後のきれいな薄紫の花は:ラクトゥカ・ペレンニス キク科 和名はキクニガナ 野菜のチコリです。

お願い。葉っぱや茎の形が見えるとわかりやすいのですが。
 

naokoguide

Re: 名残の花の名前は
Yamaさん、きっとお花の名前はYamaさんに教えていただけると思っていました!
さすがです、ありがとうございます♪

青い花は以前もYamaさんにチコリって教えていただきましたね。スイスで見たとき、どおりで見たことあるなあ、と思ったわけです。
非公開コメント

naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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