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サンティアゴ・デ・コンポステーラで修道院のケーキを食す(北スペインの週末②)

最果ての岬、フィステーラで一泊したあと、ローカル・バスでサンティアゴ・デ・コンポステーラへ。
ここは添乗員をしていた90年代後半によく来ていた街。北スペイン周遊ツアーの最終地点だったり、国境を越えてポルトガルまで行くツアーの中継地だったり。
旧市街のレストランでお客様と一緒に食べたホタテ貝の貝殻(サンティアゴ巡礼のしるし)は、今も我が家のバスルームで石鹸置きとして活躍しています。(笑)

当時はひなびた門前町といった風情で、サンティアゴ巡礼も今ほどさかんではなく、中世から続く巡礼路を歩いてこの街に到達する人が今もいるんですよ…程度の話だったかと思います。
20余年ぶりに再訪してみると、旧市街は人、人、人。飲食店も土産物屋も数が増え、巡礼者や観光客であふれんばかりのにぎやかさでした。

今回、巡礼路を歩かずしてサンティアゴ詣でに来てしまった私ですが、一応、この街でしたいことが2つありました。そのひとつが、当時ここへ来るといつもお客様と買いに行っていた、修道院のケーキを買うこと。
パンデミック中のマイ・ベイキング・ブームで、20余年の歳月を経て私の記憶によみがえった懐かしのサンティアゴ・ケーキこと、タルタ・デ・サンティアゴです。
※過去関連ブログ→小麦粉なしの簡単ベイキング、サンティアゴ・ケーキ(2021年4月)

聖パイオ修道院(Monasterio de San Paio de Antealtares)の窓口で販売されている、修道女さん手作りのアーモンド粉のケーキ。販売時間が決められているので、その時間を外さないように細い路地裏の修道院を訪ねたものです。
今回のサンティアゴ再訪で同様のケーキが街の商店でもさかんに売られていることに気が付きましたが、当時は市販のものはなく、修道院に行かないと買えなかったのでしょうか。それとも、市販のものもすでにあったけれど、やはり修道女さん手作りの元祖サンティアゴ・ケーキ出ないとダメ!と思っていたのでしょうか。
いずれにしても、サンティアゴ・デ・コンポステーラに来たらこのケーキを買わなきゃ!といつも意気込んでいたものです。

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聖パイオ修道院の入り口。私の記憶では薄暗い路地裏…だったのですが、結構な人通りがあり明るい雰囲気だったので、初めはここではないのかと思い周囲をウロウロしてしまいました

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呼び鈴を押すと、この鉄格子の奥の窓が開いて修道女さんが顔を出してくれます

この、なんだか懺悔をしなくてはならないかような気持ちにさせるミステリアスな小窓から修道女さんのお顔を拝み、貴重な手作りケーキを修道女さん直々に手渡してもらう…という経験を、20余年ぶりにまたしてみたかったのです!
呼び鈴を押してまもなく、小柄な修道女さんが顔を出して下さいました。そのにこやかな笑みを浮かべたお顔の神々しいことと言ったら!
黒いベールの下からのぞく白髪から、年の頃は60歳をくだらないとお見受けしましたが、瞳は星のようにキラキラ輝き、お肌はピッカピカ。シワひとつない額は白くツヤツヤで、これこそまさしく『赤毛のアン』に出てくる「アラバスター(雪花石膏)の額」!
俗世を離れ神にお仕えしていると、こういうお顔になるのでしょうか。

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修道女さんが鉄格子の下から渡してくださったタルタ・デ・サンティアゴ、12ユーロ也。ほかにクッキーやアーモンドのお菓子もありましたが、訪ねたのが午後だったせいかケーキ以外は売り切れ。透き通るようなお声で「マニャーナ」と言われました

サンティアゴ・デ・コンポステーラ独特の十字架が粉砂糖で描かれたケーキ。(街の店で売られているものは十字架の型抜きですが、こちらは十字架部分が砂糖になっています)
滞在したアパートメントに持ち帰り、トモコさんと一緒にいただきました。記憶の中のサンティアゴ・ケーキより周囲が固めで、内側はやわらかい。素朴な美味しさに感激しながら、2日間かけて2人で半分食べ、残りは持ち帰ることにしました。

ほかにも美味しいもの満載で、あれもこれも買って帰りたい衝動に駆られていますが、今回はリュックひとつで来たので、必死でお腹につめています(笑)。

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イカ、ザンプリーニャ(ホタテに似た貝)、牡蠣、マテ貝、イワシ、ロブスター入りのアロス・メロット(リゾットみたいな米料理)、タコのエンパナーダ(パイ)…と、これでもかというほど美味しいシーフードを食していますが、やはり私がいちばん好きなのは昔も今もタコのガリシア風!

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サンティアゴ・ケーキ同様、私の食にまつわるノスタルジックな思い出のひとつがこのガリシア地方名物のカルド・ガジェゴ。具沢山のスープで、20数年前にはじめて食べた時にはお味噌汁かと思った(笑)。作る人の数だけバリエーションがあり、具材もそれぞれですが、必ず入っているのがケールのようなキャベツ。こちらはチョリソ入り

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スペインに来たら必ず食べたいデザートがフラン、日本のプリンです。アイルランドでは自分で作らないないので、レストランのデザートでいただけて嬉しい。手作り感満載の濃厚プリン、カラメルのほろ苦さがたまらない♪

そのほかチーズ、ワインはもちろんのこと、定番のピミエントス・デ・パドロン(シシトウみたな野菜をオリーブで炒めて岩塩をかけたもの)、骨付きビーフのリブアイ、スーパーで買ったまるでシャインマスカットかと思うような立派なブドウも美味しかったなあ。
お腹いっぱい、胸いっぱいで、そろそろダブリンに帰ります。すっかり食べ物の話に脱線してしまったので(!)、サンティアゴでもうひとつ私がしたかったことについては、後日また。
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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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