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アイルランドに朝顔が咲かない理由

5月に種を蒔いた朝顔が、5ヶ月半かかってようやく最初の花を咲かせてくれました!

【5月】種をまいて一週間後の写真アリ→我が家の軒先ガーデン、バラの一番花が花盛り
【8月】順調にツルを伸ばしはじめた頃の写真アリ→夏の名残りの軒先ガーデン

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夜明け前に仕事へ出たので朝は暗くて花の写真が撮れず、きっとしぼんでしまっているだろうなあ…と午後4時過ぎに帰宅したら、まだまだ開いて待っていてくれました!朝は咲いていなかった2つ目の花も開きかけて…♪

日本では夏の花の代表とも言える朝顔ですが、アイルランドではほとんど見かけることがありません。
ダブリンの我が家の窓辺を懐かしい朝顔の花で飾りたい!と思い、小学校1年生の時以来初めて育ててみたものの、低温のせいかとにかく生育が遅くて…。それでもなんとか芽が出て、双葉から本葉になり、植え替えて窓辺に置き、ようやくツルが伸び始めたと思ったらもう8月。いっこうに花芽をつける気配がないので、このままじゃ夏が終わっちゃう!と焦ってあれこれ調べたところ、朝顔の花にまつわる衝撃の事実を知ることに…。
なんと、朝顔って短日植物だったんですね!びっくり~。

つまりは、クリスマス時期にさかんに出まわるポインセチアと同じで、「短日=長い夜」が必要な植物だったんです。ポインセチアが夜が12時間以上ないと赤くならないように、朝顔も夜が9時間以上ないと花芽をつけないのだそう。知らなかった~。
朝顔(英語名はMorning glory=「朝の栄光」)って言うくらいですから、てっきり、朝の光を受けて花芽をつけ、開花するのだとばっかり…。夜の長さが関係するとは思ってもみませんでした。
日本は夏でも夜が普通に9時間以上あるのでしょうが、日の長いアイルランドの夏は夜がとにかく短く、「短日」には程遠い環境。花芽がつくわけがありません。
どうりでアイルランドで朝顔を見かけないわけだ!😂

このことに気が付いたのが8月半ば。夜はまだまだ8時間程しかなかったので、それじゃあ夜を作ってあげましょう、と「短日」作戦を決行。
日の入りを待たずに朝顔全体にアルミホイルをかけて日を遮断し、10~11時間の「長い夜」を1週間ほど体験してもらったところ、ものの見事に花芽がついたのでした。作戦、大成功♪

葉が枯れて落ちてしまう前に花を咲かせてくれて良かった。
秋分も過ぎ、すっかり「短日」となった今、3つ目、4つ目、5つ目…と次々に花芽をふくらませてくれています。このところ気温が下がってきたので、数日前から夜は家の中に入れていますが、間違っても電気のついた部屋には置かないように気をつけています!(笑)

以下、朝顔について知った衝撃の事実いろいろ。備忘録として。

●夜が9時間以上ないと花芽をつけない。(玄関などの外灯の明りにも注意)
●日没から9時間後に開花するので(←朝日を浴びて開花するわけじゃなかった!)、夜が長くなると夜明けを待たずに咲く。
●30度を超えるような高温より、15度くらいの低温の方が花は咲きやすい。(←ってことは、花芽さえつければ、開花にはアイルランドの気候は最適?)
●日が高くなるにつれて花がしぼむのは、水分が蒸発するから。よって、強い日差しを受けることがなければ(水分が花にいきわたっていれば)日中も咲き続ける。(←今日のダブリンは曇天でした。だから、しぼむことなく一日中咲いてくれていたんですね)

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それにしても、なんとも季節感のない我が家の窓辺…。赤いゼラニウムは良いとして、白いシクラメンと朝顔が同居。夏と冬が混ぜ混ぜになったような…笑
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コメント

sima-s

えええそうだったのですかあ
お花にはとんと無知な私も、「朝の顔」というくらいなのだし「朝日を浴びて開く」ものと思っていました!長い夜が必要だったとは「目からウロコ」、びっくりです。
今合唱団で歌っている(昨年から日本の合唱界はマスクをして練習や演奏会を再開しています。)曲の中に、星野富弘作詞の「悲しみの意味」がありまして(色々な人が曲を付けていますが、私たちのは千原英喜作曲です。)

冬があり/夏があり/昼と夜があり/晴れた日と雨の日があって/ひとつの花が咲くように/悲しみも苦しみもあって/私が私になってゆく

悲しみで生きる意味を見失いそうなとき、花が咲くのにも昼だけでなく夜も必要なように、幸せだけでなく悲しみも私らしく生きるのに必要なのだと、自分を支えようとしている日との気持ちだと思います。
星野富弘さんはきっと朝顔のこともご存じだったかな、などとも思いました。

naokoguide

Re: えええそうだったのですかあ
sima-sさんへ
いつも素敵なコメントをありがとうございます♪
星野さんの詩、とても素敵ですね。ご紹介ありがとうございます。
まさにそのとおり、はつらつとして「朝の顔」になるためには長くて暗い夜が必要なように、幸せも悲しみがあってこそ。これから朝顔を見るたびに、いつもこのことを思い出すと思います。

昔、国語の教科書にあった、大岡信さんの『言葉の力』に書かれていたことを思い出しました。
染織家の志村ふくみさんとの会話から、美しいピンクの桜色は、花びらではなく幹から抽出されることを知るくだり。見た目の美しさがその木全体のほんの一部でしかないのと同じで、人の人生も良いところ/悪いところトータルで出来上がっているんですよね。
非公開コメント

naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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