アイルランド伝統音楽の祭典フラー・キョール(
Fleadh Cheoil)に出場するため、ご両親とともにはるばる来て下さった11歳のミュージシャン、莉愛(りあ)ちゃん。
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タラの丘にハープと笛の音が鳴り響く!(2022年8月3日)
ついに莉愛ちゃんが出場する大会当日となり、昨日は朝早くから開催地のマリンガ―(Mullingar, Co. Westmeath)へご案内。
午前中はハープ2種目、午後はティンホイッスル1種目に出場し、地元アイルランドの子供たちはもちろん、おそらくアイルランド系と思われるアメリカ、イギリスからの出場者と肩を並べて堂々と演奏しきりました。

会場となった小さな小学校の講堂にて。ハープがずらり並ぶ様子は壮観
12歳以下の部に出場した日本人は莉愛ちゃん一人。演奏前後に見ている人の方を向いてお辞儀をしたのも莉愛ちゃん一人で、その仕草に同じ日本人としてなんだかじーんときてしまいました。
アイルランド各地はもちろん、イギリス、アメリカからも出場者が集い、本当にこれが12歳以下?と思われるようなハイレベルな演奏が繰り広げられる一方で、緊張のあまり指が止まりそうになったり、泣き出してしまう子も。
そうですよね、審査員の目の前で演奏するなんて、大人でもドキドキする。どの子もこの日のために情熱を傾け、練習を積んできたことでしょう。大きなハープの弦を操る莉愛ちゃんの小さな手がなんとも健気で、それを見ているだけで感動して泣けてきました。
各部門上位3名がメダルを受賞しますが、日本一の腕前の莉愛ちゃんでさえ残念ながら入賞には及ばず。
でも、初めての海外での大会、しかも本場のフラーで堂々と実力を出し切ることが出来たことが何よりの収穫。思えば日本での予選通過からの数ヶ月、ご家族にとっても長く緊張の多いプロセスだったことでしょう。コロナ禍での渡航、当地での宿泊場所、ハープの輸送やレンタルなど、ご家族一丸となってひとつづつクリアーしてここまで到達した莉愛ちゃんファミリーにも拍手喝采!👏👏👏
その一連のプロセスをサポートさせていただき、ご一緒に感動を味わわせていただけて光栄でした。

演奏終了後、緊張から解き放たれた莉愛ちゃん。大会で演奏したと同じキラーニーハープを手にして笑顔

町のショッピングモールに伝統楽器のポップアップショップが複数出ていて、演奏者が見て触ったり、演奏したりと大賑わい
フラー・キョールと言えば、前回2019年はドロヘダ(Drogheda, Co. Louth) で開催され、
我が故郷の「義民太鼓」チームがジグ・リグ(Gig Rig/審査対象にはならない余興のステージ)部門に出場しました。懐かしい。
フラーの開催地は1~2年ごとに変わり、アイルランド各地の地方自治体が持ち回りでホストするシステム。マリンガ―は1951年の初回開催地で、コロナ禍で3年ぶりとなった本大会は記念すべき「ホームカミング」のフラーでもありました。

開催中、街の中心部は全面歩行者天国に。屋内外含めて街全体がお祭り会場になります
ドロヘダのときは街へ行くまでに大渋滞に巻き込まれ、車両を降りてから会場まで楽器を持って歩くのに時間がかかり、余裕を持って行ったつもりが時間ギリギリになり冷や汗ものでしたが、今回はスムーズにいって良かった。人出はそれなりでしたが、たまたま時間帯が良かったのか、マリンガ―の街のレイアウトのせいなのか。

フラー中の街はバスキング天国。老いも若きも小銭稼ぎを兼ねて腕自慢

姉妹と思われる可愛い2人組。右の子がかかえているバンジョーがやけに大きく見える(笑)。左の子はアコーディオンのほかにティンホイッスルも演奏していました

フラーのオフィシャル・ウェアの店の前でフィドルを演奏する少女たち
アイルランド伝統音楽はこうして草の根レベルで受け継がれ、世界に広がっているんですね。
マリンガ―の街を歩いていると、ほかにも日本からの出場者、見学者がちらほら。演奏者同士、それぞれ顔見知りだったりするようで、音楽がつなぐ輪が幾重にもなって海の向こうへ広がっていることを実感したのでした。

大会前日の、ぱとりさんと莉愛ちゃんの子弟コンビの青空セッション。ダブリンのセント・スティーブンズ・グリーン(St. Stephen's Green, Dublin 2)にて
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コメント
sima-s
若いっていいな、無限の未来があって…とちょっぴりジェラシー感じてしまったのも正直なところでした(^^)。
2022/08/07 URL 編集
naokoguide
すごいですよね、11歳で大人顔負けの演奏で、しかも海外で堂々と弾ききるなんて。
このところ若い方たちのサポートをさせていただく機会が多く、若いっていいなあ、って本当に思います。みんな本当に可愛い💓
自分もいつまでも渦中にいるような気がしていたけれど、いつの間にかそれを見つめる世代になっていてびっくり(笑)。
ただ、好きなことに向かっていくエネルギーや情熱は、生物学的な年齢にはあまり関係ないものだなあ、とも思います。そして無限の未来もいいけれど、これまで積み重ねたたくさんの思い出を反芻しながら生きていくのもなかなか楽しいものだなあ、って思ったりして♪
2022/08/08 URL 編集