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日本の「コロナ鎖国」に憤るも、アイルランド人は…

アイルランドはヨーロッパでもいち早く、今年3月の時点で入国時のコロナ関連書類の提示義務を全撤廃した国のひとつ。それが追い風となり、この夏はアイルランド人もさかんに海外ホリデーに出かけていますし、観光客もかなり戻ってきています。
ヨーロッパ、アメリカからはすでにツアーが入って来ていますし、夏休みになり、ヨーロッパ諸国から英語学習のためにアイルランドに滞在する中高生の団体も見かけるようになりました。

日本からも観光目的でアイルランドへ渡航される方が少しづついらっしゃるようになりましたが、何せ日本は相変わらずの「コロナ鎖国」状態。日本への出発72時間前のPCR検査、これ、そろそろ何とかならないものでしょうかね…。

さまざまな情報筋から話を聞き及び、7月半ばには撤廃されるのでは…と私は予測していましたが、現状ではその動きはなさそう。そうこうしているうちに、ヨーロッパや北米大陸へ旅行に出かけ、陽性反応が出たために滞在延長を余儀なくされた日本人観光客の事例が次々耳に入ってきて、「コロナ鎖国」するのはいいけれど、感染した人を単に現地に押し付けているだけじゃないの?…という想いがふつふつとわき上がってきました。
日本のお客様を現地でお迎えし、帰国まで安全に過ごしていただけるようサポートする側から言わせてもううと、このシステムはまるで、帰国前に陰性か陽性かをふるいにかけ、不運にも陽性=コロナ患者となった人については現地で面倒見てね、と丸投げしているかのよう…。
これってちょっとフェアじゃない。「コロナ鎖国」しつつ(←日本はロックダウンするわけでもなければ、ゼロコロナを宣言しているわけでもないのに、なぜこれをするのかが海外からは理解できない)、アウトバウンドの観光も促進させるのであれば、日本到着時の空港検疫でのPCR検査を緩和するのではなく、まずは旅先での出発前の検査をなくすべきだったのでは、と思えててきました。
陽性者を国に入れたくないのであれば、少なくとも日本に到着してから日本国の負担で検査をし、日本国の負担で陽性者を隔離するのが筋ではないか、と。

そんなことをツラツラ考えながら、通訳に行っている職場でアイルランド人の同僚たちを前に、言葉も習慣も違う旅先で病気になった人を置き去りにするなんてヒドイよねっ!と、ついつい息巻いてしまった私。
すると、ナオコはいったい何を怒ってるんだ、と言わんばかりにきょとんとしたアイルランド人たちがみな一斉にこう言うのです。

「ナオコ、大丈夫だよ。知ってるでしょ、僕たち/私たちは誰のことも置き去りにしないって」
「みんながヘルプするから大丈夫だよ。見たでしょ、コロナ禍でアイルランド中が一丸となって助けっていたのを」

…なんだか、目からウロコ。そして、ちょっと涙が出そう。
この人たち、心の目の次元が違う。批判しない、裁かない、ただただ困っている人に寄り添い、ヘルプするだけ。そうやって、私の心の目もいつも開けてくれる。
フェアとかアンフェアとか、そんなふうに考えていた自分が急にバカバカしく思えてきました。W.B.イェイツが言った通り、「ここにいるのは他人ではなく、まだ出会ってない友達なだけ(There are no strangers here; Only friends you haven't yet met)」でしたね、アイルランドでは。

とは言え、皆さん、コロナ禍での海外渡航には旅行保険は必須です!
今、アイルランドも感染者が増加傾向にあります。発症しているにもかかわらず、自主隔離を怠る人が増えていることも感染再拡大の要因のひとつだと専門家が言っていました。つまりは感染している人が市中にウロウロいる可能性があるということです。
コロナ禍初の団体ツアーを来週に控え、今ここで感染することだけは絶対に避けたいので、今日から私は仕事とアウトドア以外はプチ隔離します!

sineadcamomile0722
友人シュネードにもらったカモミールが咲き、小さいけれどカワイイ。ピーターラビットのお母さんがお腹が痛くなったピーターに煎じて飲ませていましたよね(古い訳は「カミツレ」だった!)
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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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