ジョギングの途中、教会のバラ園があまりに美しく、思わず足を止めました。

インチコアにあるメアリーイマキュレート献身教会(
Oblate Church of Mary Immacurate, Inchicore, Dublin 8)
色とりどりのバラが美しく、香しいばかり。我が家で育てているイングリッシュローズとはまた違った趣きのバラたちに思わず見とれました。

内から外に向かって赤身を帯びていく花びら。みずみずしいフルーツみたい(熟れたピーチ?)

見事なゴールデンイエロー。平凡な花型だけど、こんなバラも親しみやすくていいですね

なんという微妙な色味でしょう。オレンジ、それともサーモンピンク?縁がピラピラの花びらがなんとも魅惑的
教会名の「メアリーイマキュレート」とは「汚れない聖母マリア」とか「無原罪の聖母マリア」と訳されます。オブレート(献身)会というカトリック最大の宣教会の教会で、地元の人が日常的に通う教会。内部もとても美しいので拝みたかったけれど、お祈りをしに出入りする人が多かったので今日は遠慮しました。
(1916年のイースター蜂起の首謀者のひとりで、捕らえられてこの近くのキルメイナム刑務所で処刑された英雄パトリック・ピアースの、石工だったお父さん作の主祭壇があることで有名)
1856年、ここに最初に建てられた教会は木造でした。開業して間もない近くのヒューストン駅の鉄道労働者が建設を手伝ったそう。現在の教会は1876年に建築が始まり2年後に一応の完成をみますが、資金不足などの理由により、最終的に塔まで完成したのはアイルランド独立後の1930年だったと言います。
敷地内には教会が出来た当時から続く小学校があり、平日には地域の子どもたちの元気な声が響きます。
この教会にはある有名なものがあり、以前は教会前の道路から見えたように思うのですが、木が生い茂っているせいか見えなくなっていたので、バラ園に入ったついでに奥へ回り込み、久しぶりにひと目拝んできました。

じゃーん、教会の裏手にこんな洞窟があります!高さ15メートル、幅40x12メートルという大きさ
実はこちら、岩の洞窟ではなく、鉄筋コンクリ―トで作られたもの。フランスのルルドの洞窟の実寸大レプリカなのです。
ルルドと言えば19世紀に聖母マリアが出現したカトリックの聖地で、私も添乗員時代にお客様をご案内して行ったことがありますが、確かにこんな洞窟がありました。1858年、薪拾いをしていた14歳の少女ベルナデットの前にマリア様が現れ、お告げに従って洞窟の土を掘ると聖水が湧き出した…んですよね。

このように高いところにマリア様が祀られているのも、ルルドの洞窟と同じ。写真右上の穴は鳩が棲み処としているようで、バタバタと出入りしていました(笑)
ルルドの洞窟のレプリカはアイルランドではわりとよく見かけるもので、取り立てて珍しいわけではありませんが(日本でも函館のトラピスト修道院にあるそうですね)、この教会のものはフランスにある本物と一寸違わず再現されているという特別なもの。「アイルランドのルルド」の異名で知られています。
オブレート会のパトリック・マッキンタイア修道士(Brother Patrick McIntyre)なる人が現地に何度も足を運んで採寸し、2年の月日をかけて完成させたという、まさに執念の賜物。1930年、教会の最終的な完成と同じ年に華々しくお披露目が行われ、なんと10万人が参列したとか。建設にあたったのはやはり、ヒューストン駅の鉄道労働者たちでした。
貧しかったアイルランドでは、ルルドに巡礼に行きたくとも行くことの出来ない人がほとんど。そういう人たちのために作られたものですが、豊かになった今も地元の人たちに大事にされ、毎年2月(ルルドにマリア様が出現した月)にはセレモニーが行われています。
ところで、最後から2番目の洞窟全景の写真。自宅に戻ってから見て気が付いたのですが、羽を広げたエンジェルが写っているではないですか!(空に浮かぶ雲)
この雲、まるで鳥のような速さで動いてたんです。やっぱり、ただの雲じゃなかったんだ…👼👼👼
「アイルランドのルルド」、たとえレプリカでも聖地なんですね。バラが特別美しく咲いていたのもうなずけます。
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