先日ウェストポート(Westport, Co. Mayo)で週末を過ごした帰りに、フォックスフォード・ウールンミルズ(
Foxford Woollen Mills, Foxford, Co. Mayo)へ立ち寄りました。
メイド・イン・アイルランドのウールのブランケットやスローと言えばダブリン近郊ではアヴォカ(Avoca)が知られますが、北西部のカウンティー・メイヨーではフォックスフォードがポピュラー。社名と同じ名のフォックスフォード村に、アヴォカにも引けを取らないおしゃれなカフェ併設のファクトリー・ショップがあるのです。

人口1300人ほどの小さな村ですが、このフォクトリー・ショップを目指して多くの人がやって来ます
1892年、モイ川(Moy River)のほとりに設立されたウールルミルズ(毛織物工場)は、今年で創業160年。フォックスフォードに修道院を創始したひとりの修道女、アグネス・バーナード(Agnes Morrogh Bernard、1842–1932)さんが資金集めに奔走し、イギリスの圧政や大飢饉後の失業や貧困にあえぐ地域に繁栄をもたらしました。
アグネスさんは当時としては先進的な修道女で、宗派が異なるプロテスタントの事業主や、ビジネスに長けた長老派教会のコミュニティーとのつながりを築き、事業の立ち上げや運営に協力してもらったり、情報を得たりしたそう。アイルランドの自治奪回、土地改革に寄与した地元カウンティー・メイヨー出身の政治指導者マイケル・ダヴィット(Michael Davitt、1846-1906)がその手助けをしたと言われます。

色がきれいなチェック柄のマフラー。アヴォカに比べると断然リーゾナブルなのでお土産にも購入しやすい

ウールンミルズの歴史が映像で観られるコーナー。現在糸はニュージーランドまたはオーストラリア産を使用。アイルランドで育てている羊の毛は丈夫なラグやマット向きで、身に着けるものに使用するには粗すぎるので
店内をあちこち見て回る中で、目を引いたのがこちら。
アイルランド独立の立役者で、今からちょうど100年前、英愛条約の締結にこぎつけたのに続き、イギリス総督府だったダブリン城を「無血開城」に導いた英雄マイケル・コリンズ(Michael Collins、1890‐1922)の特別復刻版ブランケットです!
※関連過去ブログ→
英愛条約から100年、ダブリン城で記念展(3月27日まで)(2022年1月)

1922年7月、コリンズがアイルランド陸軍最高司令官に任命されたのを記念して、フォックスフォード社が特別に作り贈ったという旅行用ブランケット。トラディッショナルなチェック柄で、コリンズがいつも身に着けていたアイルランド軍のモスグリーンの軍服によく似合いそう。お値段は170ユーロ、ネットでも購入可→
Foxford Michael Collins Throwコリンズは1922年8月22日、故郷近くのヴェールナブロー(Béal na Bláth, Co. Cork)で待ち伏せされて狙撃され、31歳の短い生涯を終えました。その時に乗っていた装甲車にこのブランケットがあったそう。贈られてから亡くなるまでの短い間にちゃんと使用していたんですね。現物はダブリンの国立博物館に保管されています。(展示されているかどうかは不明。今度行って確かめなくては)
コリンズ・ファンなので、これは欲しいかも。心が動きましたが、大判ブランケットはすでにいくつか持っているので、すぐには買わず、次回リテールセラピーが必要になったときのために(!)取っておくことにしました。
ウール製品以外はフォックスフォード社のものに限らず、ファッション、キッチン、ライフスタイルなどさまざまな素敵なメイド・イン・アイルランドが(&そうではないものも)ずらり。

まるでショールームのよう。ステキな小物がいっぱい

ギフトにしたい本も多く取り揃えられています。カウンティー・メイヨーのGAAジャージが表紙の、メイヨーの景色などを集めた写真本

子どものギフトコーナーがなかなか充実していて、アイルランドの絵本がいっぱい。アイルランド語の絵本、ケルト神話の絵本、コリンズやダヴィットの伝記絵本も

上階には心ときめくキッチンウェアが。ディスプレイも可愛い

そしてカフェにはおいしそうなものがいっぱい。お土産にお勧めしたいメイド・イン・アイルランドのお菓子や食材も多く、お客様をお連れしたら喜んでいただけそう
一緒に行った友人ニーヴと軽くランチして、お互いにちょっとだけ買い物をして、ハッピーな気分でダブリンへの帰途につきました。
ちなみにアヴォカは、今も素敵であることに違いないけれど、近年オーナーシップがアメリカの会社になったのに伴い、デザインや製品のアイルランドらしさは少々薄れました。それに比べるとフォックスフォードのオーナーは今も地元のアイルランド人。これからも事業を拡大しすぎず、フランチャイズ化することなく、ローカル色豊かなブランドとして続いていって欲しいものです。
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