3連休だったこの週末は、アイルランド西海岸のウェストポート(Westport, Co. Mayo)に滞在していました。
あいにく海は凪でサーフィンは出来ませんでしたが、天気は最高!アイルランドのほとんどの場所が雨または曇天だったのに対し、ウェストポート周辺はこれ以上ないほどの晴天。波がないのでプランBに切り替え、土曜は山登り、日曜はサイクリングを楽しみました。
登った山は、ウェストポートのシンボルとも言えるクロー・パトリック(Croagh Patrick)。
私はこの山を「アイルランドのシナイ山」と呼んでいるのですが、5世紀にアイルランドにキリスト教を伝えた聖人パトリックが山頂で40日間断食をして祈った…と言い伝えられる、アイルランドきっての聖山です。(モーセがシナイ山で40日間断食をして祈り、十戒を授かったように!)

高さ764メートル、尖った円錐形が特徴的。ウェストポート・キー(Westport Quay)からの眺め。ここから車でさらに10分ほど行ったムリスク(Murrisk)に登り口があります

ふもとの駐車場から登山道を歩き始めて間もなく、聖パトリック像が。右手にシャムロック(三つ葉、これを用いて三位一体を説いた)、左手に司教杖、という、いつものポーズ。伝説によると、アイルランドから蛇を追い払ってくれたのも聖パトリックなのですが(そのおかげで今もアイルランドには蛇はいません!)、それもこの山頂で行われたそう
この象徴的なカタチに加え、山肌の石英に光が当たるとキラキラと神々しく見えることから、古代から聖山としてあがめられてきました。キリスト教布教以降は聖パトリックにまつわる巡礼路としても知られるようになり、かつては敬虔な巡礼者は裸足で登ったそうです。

足元はこんな感じで岩がゴロゴロ。ここを裸足で登るなんて正気の沙汰ではありません!さすがに今は危ないので奨励されないようですが
クロー・パトリックに登るのは実は2度目です。かれこれ11年前に登ったことがあるのですが、妖精のクオリティー・コントロールにかかり写真が全消滅する…という珍事に見舞われました。詳しくは過去ブログをご参照下さい!→
西の国で起こった不思議なこと(2011年3月)
今回もたくさん写真を撮ったらまた消されるのでは…と少々心配でしたが、さすがの妖精もスマホ時代には太刀打ちできないよう。無事に全写真をダブリンまで持って帰ることが出来て良かった~。

クロー・パトリック登山は、始めからほぼずっと上り。みんなヒイヒイ言いながら、場所によっては手をつきながら登っていますが、振り向くといつも絶景なのに励まされます!(ですので、必ず良い天気の時に登ることをお勧めします!)

急勾配の第一段階が終わり、ちょっとだけ平らな場所でひと息ついたあと、うわ~、まだこんなにある~!と見上げて写真を撮る友人ニーヴ(笑)

足場が整備されて登りやすくなっている部分も。11年前に来た時はなかった気がします。それにしても、石だらけ…!

石段が終わり、山頂近くはかなりの急勾配&足場がめちゃくちゃ悪い。すべって転んでいる人、続出(←特に下り!)

無事に登頂!ふもとから山頂に見えていた、白壁のチャペルが

こちらは聖パトリックのベッド…だそう

そして、眼下にはクルー湾(Clew Bay)と対岸の山々の大絶景が広がります!空の青、海の青、そして緑の大地のコントラスがなんと美しいことでしょう

ニーヴと一緒にクロー・パトリック登頂記念写真。汗だくになって登った甲斐がありました!
クロー・パトリックのそびえるクルー湾は、大好きな16世紀の海賊の女王グレース・オマーリーが活躍した地として個人的に思い入れの深い場所。こんなに美しい日に眺めることが出来、想いをはせることが出来たことにも感激しました。
※グレース・オマーリーについては、古い日記で恐縮ですが過去ブログ&そこからのリンクをご参照ください。→
「パイレート・クイーン」HPに寄稿(2009年10月)
ひとしきり眺めを楽しんだあとは、日なたにすわってランチタイム。晴れていても風は強く、上着をリュックに入れて持ってきて良かった。30分ほど休憩して、後ろ髪を引かれつつも、身体が冷えないうちに下山しました。
この登山で大変なのは、実は上りより下りかもしれません。膝の悪い人はかなり要注意です。
とにかく足場が悪いので、足を置いた石ごとゴロゴロすべって転んでしまうことも。私も2度ほどずり落ちかけました。
登り口で杖を借りられるので、それがあると下山時にはより安全かもしれません。
クロー・パトリックの登山道は往復約7キロ、所要時間は平均3.5時間(山頂の滞在時間除く)とされていますが、実際にはそれ以上かかる人も少なくないようです。
私もニーヴも足腰強めなので、上りも下りもそれぞれ所要1時間30分くらい、往復3時間でした。上りと下りの時間がほぼ一緒だったのが不思議ですが(下りの方が速いはず?)、おそらく下りはほとんど休憩しなかったからだと思います。
私は平らなところを歩くのは普通だけれど、上り下りになるとアイルランド人の友人たちよりなぜかペースが速い。ナガノの山育ちだからね~、と友人たちには言われていますが、それが理由なのかどうかはナゾです。(笑)

下山したらまずは99コーン(←ソフトクリームのこと)で乾杯!ああ、これぞ夏のアイルランドの醍醐味♪
どちらかと言えば、野原のハイキングより、このくらいチャレンジングな軽登山の方が好み。筋肉がキリリ!と引き締まったような気がしました。
そしてなんとか筋肉痛にもならず、翌日は山頂から眺めたクルー湾の対岸でサイクリングを楽しみました。そのことは後日また。

ふもと駐車場の向かいには、19世紀のジャガイモ大飢饉の慰霊モニュメントが。クロー・パトリックのあるカウンティー・メイヨー(Co. Mayo)は飢饉の被害が特に大きかった場所のひとつ

モニュメントはその名も「棺桶船(Coffin Ship)」。移民船に乗って脱出するも、すでに飢餓状態のため大西洋航海に耐えられず、海上で多くの人が亡くなったことから…
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