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サンティアゴ巡礼、アイルランドの出発点はダブリンの聖ジェームズ教会

この夏、プライベートで2つの「聖地巡礼」の旅を計画しています。
いずれもヨーロッパ内で、ひとつは物語の舞台を訪ねる「聖地巡礼」ですが(どこへ行くかは後日また♪)、もうひとつはホンモノの「聖地巡礼」。かの有名なスペインの巡礼路カミーノ・デ・サンティアゴを歩くことに。
フランスから数週間かけて780キロを歩くという友人に途中から合流して、終点のサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの約100キロを歩く予定。この最後の100キロを歩くと、巡礼証明書がもらえるのです。

カミーノ・デ・サンティアゴは中世からの歴史ある巡礼路。サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼者は年間30万人にのぼり、日本からも、そしてアイルランドからも数多くの人が訪れます。
日本に日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会があるように、アイルランドにもボランティアにより運営されるカミーノ協会(Camino Society Ireland)があります。そういえば、インフォメーション・センターは我が家の近くの教会にあったけ、とふいに思い出し、調べてみると今日がオープンしている日(週3日間のみオープン)。早速に散歩がてら出かけてみました。

サンティアゴとはイエスの十二使徒のひとりであった聖ヤコブのスペイン語で、英語では聖ジェームズ。当然、カミーノ協会のインファメーション・センターのある教会は、聖ジェームズ教会です。

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ギネス工場に隣接して建つ聖ジェームズ教会(St. James's Church, Dublin 8)。1724年創設、1844年にダニエル・オコンネルにより礎石が置かれたと脇の案内版に書かれていました。1916年イースター蜂起の首謀者のひとりとして処刑されたジョセフ・メアリー・プランケットが処刑の直前にキルメイナム刑務所内のチャペルで婚約者グレイスと結婚式を挙げたエピソードが知らていますが、その際に使用された聖具はこの教会に保管されているそうです

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聖ジェームズ、すなわちサンティアゴ聖人が描かれた大きな垂れ幕には「(アイルランドからの)カミーノはここから始まります」と書かれています(カミーノとはスペイン語で「道」のこと)

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教会向かって左の入り口がカミーノのインフォメーション・センター。おお、サンチャゴ巡礼のホタテ貝のマークがもうここにあるではないですか(写真下)。ホタテ貝はサンチャゴ・デ・コンポステーラのあるガリシア名物

窓口とほんの少しのスペースだけの部屋に神父さんらしい方を含め3人のボランティアの方がいて、皆さん、サンティアゴ巡礼の経験者とのこと。親切にあれこれ教えてくださいました。
「フランスの道」の最後の100キロを歩く予定です、と言うと、「おお、その区間は緑がきれいだよ。まるでアイルランドのように雨がよく降るからねえ、は、は、は…」とのこと。ケルトの文化圏であるガリシア地方(スペイン北部)は、文化も気候風土もアイルランドと似ている点が多いんですよね。

センターの壁には、先日ちらりとご紹介したアイルランド制作のドキュメンタリー映画『カミーノの航海(The Camino Voyage)』(2018)のポスターが。それに目を留めた私を見て、「ケルティック・カミーノもぜひ歩いて見るといいよ」と、ポケットガイドを下さいました。
聞けばガリシア地方の港町ア・コルーニャからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの75キロは「ケルトの道(Celtic Camino)」と呼ばれ、先のドキュメンタリー映画で再現されたように、アイルランドから航路でスペインに到着した巡礼者たちがサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩いた道なのだとか。
緑豊かで風光明媚であるのはもちろん、ポピュラーな「フランスの道」に比べ、人が少なく静かで歩きやすいそうです。

ただ、スペイン内の「ケルトの道」を歩いただけでは巡礼証明書の条件となる100キロに満たないため、まずはアイルランド国内で足りない分の25キロを歩き、それを合算して良いことになっているとか。知らなかった!
25キロ歩いた証明書をこちらで発行してもらい、それをスペインへ持参するのですが、そのアイルランド内での25キロはどこを歩けばよいのか。やはり古くからの巡礼路が推奨されてはいるものの、巡礼とはおおよそ関係がない(と思われる)ブレイ(Bray, Co. Wicklow)~ここダブリンの聖ジェームズ教会を結ぶ海岸沿いの25キロのルートでもOKだそう。
そして、証明書をもらうには所定のパスポートに1日2個以上のスタンプが押される必要があるのですが、このルートではブレイのカフェ、ジェームズ・ジョイス・タワー(ジェームズつながり?)、ギネス・ストアハウス(この教会の名に由来するセント・ジェームズ・ゲートが発祥地だから?)などでスタンプを押してもらえるのだそうです。
(なぜかギネスが巡礼路に。さすがアイルランド・笑)

今回は友人と「フランスの道」を歩きますが、この「ケルトの道」も近い将来、ぜひ歩いてみたい。夢は広がります。
実際にカミーノを歩くまでにはまだ数ヶ月ありますが、せっかくセンターに来たので巡礼パスポートも購入。スペインのものもありましたが、私はアイルランドから行くのでやはりアイルランドのものにしました。

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アイルランドのご当地スタンプが押されています。上がここ聖ジェームズ教会のスタンプ、下がアイルランドのカミーノ協会のもの

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左から、上記のアイルランド版巡礼パスポート、巡礼路のパンフレット、かれこれ20数年前、添乗員時代に北スペインのツアーでサンティアゴ・デ・コンポステーラへしばしば行っていた時にお客さんと食べたホタテ貝の貝殻。レストランで食べ終わったあとの殻を下さい、ってダメもとでお願いしたら本当にくれたんです(笑)

いざサンティアゴ巡礼に出かける日が近づいたら、今度は教会内部でダブリンの聖ジェームズにお参りしましょう、と思ったのでした。
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コメント

ようはっぱ

熊野古道を歩きました。
直子さん、サンティアゴ巡礼のアイルランドからの道の話、興味深く読みました。
今年、サンティアゴを目指されるのですね。
いいなあー。
私は5月末に、世界遺産になった「2つの道の巡礼者」になるために熊野古道の巡礼者(巡礼してたかどうかわからないですがー)を達成しました。
「徒歩で滝尻王子から熊野本宮大社(38km)まで巡礼する」を1泊2日でしてきました。
余裕を持って前泊、後泊したので、3泊4日の旅になりました。
いつか、サンティアゴ巡礼も達成して、「二つの道の巡礼者」限定ピンバッジをもらおうとたくらみ中です。
スタンプラリーは経過がよくわかって、楽しい!!

旅の経過を友人宛にメールで書いてますが、直子さんのようにすっきり的確に書けず、だらだらとした文章になってしまってます。

直子さんにご紹介いただいたオンライン講座は参考になりました。
が、実際歩いてみるといろんな思いがこみ上げてくるものですね。

「世界遺産」で想像したのと全く違ってたり、むしろ感心したり、おもしろかったです。
直子さんのサンティアゴ巡礼も楽しみです。
もし可能でしたら、準備段階から教えていただければ、ありがたいなーと思ってます。

naokoguide

Re: 熊野古道を歩きました。
ようはっぱさん、こんにちは。
熊野古道の巡礼達成、おめでとうございます!👏
スタンプを集めながら順路を歩いて行くって、達成感がありますよね。先日のセミナーでも言っていた方がおられましたが、ウォーキングするのは何も巡礼路でなくともいろいろな風光明媚な道がありますが、巡礼路には歴史や先人の祈りや想いがこもっている点が魅力ですよね。
また日が近づいて、お知らせできることがあればご紹介するようにしますね!
サンティアゴ・デ・コンポステーラに着いて、おいしいシーフードを食べるのが今から楽しみ。巡礼は観光の原点ですから、道すがらの景色やおいしいものもたっぷり楽しみたいですよね~♪
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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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