日本ケルト協会さん主催のケルトセミナーにお招きいただき、週末は福岡に滞在していました。
「『赤毛のアン』とケルト」のタイトルで講演をさせていただき、福岡県内外から多くの方がお集まりくださいました。以前にアイルランドをご案内したお客様も複数名いらして下さり、懐かしいお顔を拝見できたのも嬉しかったです。

福岡市内の「あいれふ」という施設にて。「ふれあい」をもじったネーミングだそう。帽子のオブジェが可愛い

あいれふ講堂にて。講演開始前
「アンとケルト」または「アンとアイルランド」をテーマとした講演は、昨年から今年にかけてオンライン形式で何度かさせていただいていますが、大学生対象だったり、一般向けセミナーだったり、『赤毛のアン』のファンクラブ向けだったり…とその時ごとのご参加者に合わせて少しずつ内容を変えています。今回はケルトセミナーということで「モンゴメリ作品のケルト性」をより掘り下げてお話し、話し手の私にとっても有意義で充実したひとときでした。
移民がつなげたアイルランドとプリンスエドワード島、作者モンゴメリのケルトのルーツ、モンゴメリ作品に登場するアイルランド、そして、作品に見るケルト性…といった展開でお話ししましたが、今回私が皆さんにお伝えしたかったことは、モンゴメリは「ケルト」を意識した上で彼らの自然崇拝や精霊信仰、再生の思想を作品に入れ込んだというのではなく、血筋や育った環境、愛読書などから培われた価値観が、結果的にケルト的であったということ。それが登場人物たちの想いや言動となって、作中に盛り込まれているということ。
それが私がモンゴメリ作品をケルト的だと感じる理由ですが、まるでプリンスエドワード島の「土地の精霊」(注)がモンゴメリを通して体現したかのようです。
今回のセミナーで私がお伝えしたかったそのポイントを、ケルトに精通した皆さんがよく理解し、共感してくださったことがとても嬉しかったです。
「アンとケルト」という切り口は珍しいということですが、今後もさらに作品を読み込み、深めていけたら、と思っています。
講演終了後は、ケルト協会代表の山本啓湖さんやメンバーの皆さん、私のお客様数名が残ってくださり、博多のアイリッシュ・パブにて心温まる懇親会を催してくださいました。

アイリッシュ・パブ、ハカタハープにて。ギネス片手にケルト談義、アン談義、アイルランドのことや昨今の世界情勢にまで話題は及び、心豊かなひとときでした
不覚にもあとで気がついたのですが、講演当日の昨日4月24日はモンゴメリの命日でした!それもきっかり80回目の。
当初この講演は2020年秋に予定されていました。ところがあいにくのコロナ禍で延期に次ぐ延期となり、3度目の正直で実現。主催のケルト協会さんにはご迷惑をおかけしましたが、コロナ禍で時間ができたおかげで、作品をより深く読み込んだ上で講演に臨むことが出来たので、かえって良かった。
天国のモンゴメリが、この日になるよう計らってくれたのかもしれません。
延期するたびに予定を変更し、私が帰国出来るようになるまで待っていてくださった山本さんはじめ、会員の皆さんに心から感謝申し上げます。これからも福岡の皆さんとご縁がありますように。☘☘☘

左から、村岡花子さん翻訳70周年記念の新装改訂版『赤毛のアン』(お友達がプレゼントしてくれました!)、日本ケルト協会のパンフレット、私の講演案内チラシ、セミナーで販売させていただいた拙著『絶景とファンタジーの島アイルランドへ』
(注)『モンゴメリ書簡集』(篠崎書林)の翻訳者、宮武潤三・順子先生があとがきで使われた言葉
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