久しぶりにカーヴェリー(carvery)のがっつりしたロースト料理が食べたくなり、日曜日にベルファーストへスケートに行った帰りに、昔ながらのホテルのレストランでサンデー・ディナーを楽しみました。

北アイルランドとの国境近くにあるランドマーク的なホテル、キャリックデイル(
Carrickdale Hotel & Spa, Ravesdale, Co. Louth)。ダブリン~ベルファーストを結ぶかつての主要道路だった旧1号線沿いにあり、高速道路もドライブインもなかった時代、ベルファーストへ行くときはよくここでトイレストップしたものです
カーヴェリーというのは、カウンターでロースト肉を切り分けてお皿に盛ってくれる形式のレストラン。田舎の町にはたいていカーヴェリーがおいしいことで知られるホテルレストランやパブレストランがひとつやふたつあるものですが、キャリクデイル・ホテルもそんなひとつです。
ビーフ、ポーク、ラム、チキン、ターキーなどその日のロースト肉がずらり。好みの肉をメインに選んで伝えると、同じお皿にジャガイモ、キャベツ、ニンジン&カブ、スタッフィングなどを好みに応じて盛りつけてくれます。(ここではメインのチョイスにポーチド・サーモンとパスタもあり、ぺスカタリアン、ベジタリアンへの配慮もバッチリ)
カウンターで料理を見ながら、あれと、これと、あ、ローストポテトをもう一個、でもキャベツは少な目に…などと好みを伝えていると、控えめに頼んだつもりでも、いつの間にかお皿に山盛りになっているのが常です(少な目になどと言ってもあまり聞いてもらえない・笑)

道中の牧草地で生まれたてのコヒツジを目撃した時から、今日はラム!と心に決めていました(笑)。3枚重ね(!)のローストラムから時計回りに、ローストポテト、スタッフィング、ニンジン&カブ&パースニップ(白にんじん)の細切れロースト、そして上にジャーマンポテトがどさり
グレービーソースをたっぷりかけてもらいましたが、途中でもっとかけたくなり追加でもらいました。
この量はかなり控えめな方で、周囲のアイルランド人のお皿を見回すと、皿からあふれそうなほど山盛り!値段はメイン一種類で一皿15ユーロなので、頑張って食べるが勝ちなのです(笑)。
ちなみにジャガイモはこのほかにも、マッシュポテト、チップス(フライドポテト)のチョイスあり。さすがジャガイモ天国アイルランド、ロースト肉の種類だけでなく、イモ料理も充実。
そしてスタッフィングって何?とよく聞かれますが、パン粉にハーブや刻み野菜を混ぜたもの。名前の通り、本来ロースト肉の中に「詰めるモノ」なんですが、詰めるとベチャベチャするからイヤという人が多いせいか、メインのロースト料理の添えものとして出されることが多いです。
アイルランドでは伝統的に、日曜日に家族そろって食事をする習慣があります。田舎では孫を連れておじいちゃん、おばあちゃんに顔を見せに行き、三世代で食事を囲む…なんてことが日曜日のルーティンになっている人も少なくないはず。
おそらく昔は午前中に家族で教会へ行き、その流れで食卓を囲んだのでしょう。この食事はサンデー・ディナーと呼ばれますが、こちらではディナーは必ずしも夜ではなく、一日のうちでいちばんしっかり食べる食事がディナーなので、サンデーの場合は午後1~4時頃でしょうか。
サンデー・ローストとも呼ばれ、食事のメインは肉(ときどき魚)のロースト料理がお決まり。
なぜロースト料理なのかについて、アイルランドで一般的に言われていることは、昔は各家庭にオーブンが普及しておらず家でローストが出来なかったため、特別にお金を払って作ってもらう「ご馳走」だったから。週に一度、安息日の日曜日限定の、いわば高級テイクアウト料理だったんですね。
この日のキャリクデイル・ホテルも、日曜日の午後を楽しむ家族連れでいっぱい。小さなお子さんを3人もつれてカウンターに並んでいるお母さんは、おじいちゃん、おばあちゃんとテーブルで合流していたよう。
20歳前後であろう若いカップルは、家庭的な雰囲気の中、ひと目もはばからずイチャイチャ。田舎ではおしゃれなカフェとかじゃなくてこういうところでデートするのかなあ、なんて思って見ていたら、彼女のご両親らしき人たちのテーブルにしっかりジョインして、そこではお行儀よく食事していたのが微笑ましかったです。
こういうカーヴェリー形式のレストランは人々がテーブルを離れて動き回るので、コロナ禍の制限下では不可能でした。先月より制限が緩和され、やっと再開したもののひとつ。
そのせいか皆さんいつもにも増して楽しそうで、思いっきりおしゃべりしたり、国技のゲーリックゲーム中継をテレビでチラチラ見たりしながら、山盛りの食事を元気よくモリモリと平らげていました。
私もこれでまた1週間、元気に過ごせそうです!

ケルト文様のホテルのロゴ入りのデザートメニュー

デザートのセレクションもトラディッショナルで、(きっとチーズは入っていないと思われる)チーズケーキや、アップルクランブルなど。私はローストでお腹いっぱいになってしまい、ご一緒した友人が頼んだイチゴ&メレンゲをひと口もらいました
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コメント
Yama
ご存じの「小さな家シリーズ」を再読していました。
『はじめの4年間』 ローラ・インガルス・ワイルダー著 谷口由美子訳
岩波少年文庫 2000.11.17 第一刷
ローラ・インガルス・ワイルダーが、娘の著作家ローズの助力もあって書いた「小さな家シリーズ」の9冊目、最後の本で、ローラと夫のアルマンゾとの新婚生活からその後の4年間で暮らしが描かれています。
一人娘ローズの誕生という喜びはあったものの、次に生まれた息子の不条理な死、旱魃、家の焼失、ジフテリアに罹り、アルマンゾに後遺症が残るといった苦難に満ちた生活が描かれています。
その中に、何度か出てくる「アイルランドのことわざ」がありました。
「この世はすべて公平にならされている。金持ちは夏に氷を得て、貧乏人は冬に氷を得る」
『はじめの4年間』 最初の1年(72p) 2年目(85p) 恵みの年(167p)
自嘲とも取れますが、アイルランド人のしたたかさと、常に次に備える性格が良く表れていると思うのです。この本の最後のアルマンゾの言葉が、
「要は、自分がそれをどう見るかにかかっているんだよ」
「すべてうまくいくよ。時が来ればなんでも公平にならされるんだから。様子を見ようよ」。なのです。
ローラの夫アルマンゾについて、アイルランドからの入植者を祖先に持つかどうか、はっきり分かりませんでした。(丸投げ)
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立春過ぎても降る雪を見ながら
・ティペラリーの歌 (『アンの娘リラ』第6章と
・ポーリー・ウォーリー・ドゥー・リトル (『虹の谷のアン』 第22章 聖歌音楽会
Un Cnoc Cein Mhic cainte (『アボンリーへの道』 ガス・パイクのテーマ曲
を引っ張り出して聞いています。
2022/02/08 URL 編集
naokoguide
大草原のシリーズ、私も読み返したい。次に読む本が列をなして待っている状態で、しばらくは難しそうですが、たぶん30年くらい読み返していないと思います。
『はじめの4年間』は今本棚にありますが、一度読んだきりで覚えていません。アイルランドのことわざ、アルマンゾについて、次回読み返すのが楽しみになりました。
(丸投げ、大歓迎です・笑)
外は雪でも、家の中ではぬくぬくアンづくし。いいですね~。
コロナ前の日常に戻るにつれて、嬉しい反面、とにかく気忙しい。ロックダウン中の静けさ、毎日たっぷり時間があった頃を思い出して、ああ、あの頃は良かったなあ、なんてことを思ったりして。人間ってほんとにワガママですね~笑
2022/02/09 URL 編集