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キルデアの聖女ブリジッドの泉へ

明日2月1日はケルト暦の立春。「インボルク(Imbolc)」と呼ばれ、古代ケルト語で「お腹の中」、「ヒツジの妊娠」、「発芽」といった意味があるそう。
ヒツジの赤ちゃんが生まれ、植物も芽吹き始めるとき。そう、明日から春なんですね、少なくとも暦の上では!

現代のアイルランドでは、2月1日は「聖ブリジッドの日 (St Brigid's Day)」としてより知られています。
キリスト教の聖女ブリジッド(St Brigid, 453-524)は、火、詩、豊穣、癒しなどをつかさどるケルトの女神に由来し、聖パトリック、聖コラムキルと共にアイルランドの3大守護聖人のひとり。「ケルトのマリア様(Mary of the Gael)」とも呼ばれる人気の聖人で、5世紀にアイルランド初の女子修道院を開き、生涯にわたり貧しい人や病める人のために祈り、施しを捧げたと伝えられています。
聖ブリジッドと「聖ブリジッドの日 」については、過去ブログでより詳しくご紹介しています。
「ケルトのマリア様」聖ブリジッドは5世紀のスーパーウーマン!(2021年1月)
「聖ブリジッドの十字架」の由来と風習(2021年2月)
キルデアの聖ブリジッド大聖堂(2016年6月) など

ここ数年、女性の権利や自立が社会的に注目される中で、聖女ブリジッドは女性解放のひとつのシンボルとなり、伝統的な「聖ブリジッドの日」に新しい意義が加わりつつあります。
ダブリン、そして聖女ゆかりのキルデアなど各地でイベントが行われるようになり、ダブリンでは特に「女性記念日」として祝う向きが。
BRIGIT 2022: DUBLIN CITY CELEBRATING WOMEN(ダブリン)
St. Brigid's Day(キルデア)

何かイベントに参加してみたいと思いましたが時間が合うものがなく、代わりにセント・ブリジッズ・デー・イブの今日、以前から行ってみたかったキルデアの「聖ブリジッドの泉(St Brigid's Holy Well, Tully, Kildare, Co. Kildare)」を訪れてみました。
(Google Mapでは「St Brigids Garden Well (Tully, Kildare Town, Co. Clare)」と表記されています)

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国営厩舎のキルデアのアイリッシュ・ナショナル・スタッド(Irish National Stud & Gardens)のすぐ近く。かつてはブラック・アビーという修道院の敷地内でした(ブラック・アビーの廃墟はナショナル・スタッドの敷地内に現存しています)

明日の聖ブリジッドの日にちなみ、細い道路に車を停める場所を見つけるのが大変なほど、多くの人が訪れていました。
私が到着したのは薄暗くなる直前、ちょうど沢山のキャンドルに火が灯ったところでした。

キリスト教の歳時では、イエスが生誕から40日目に神に捧げられたことを祝って、クリスマスから40日となる2月2日を「キャンドルマス(燈火節)」と呼ぶそうです。しばしば2月1日の「聖ブリジッドの日」と同一視されますが、聖ブリジッドはもともと火をつかさどる女神でしたので、「キャンドルマス」にぴったり。
※過去ブログ参照→片山廣子『燈火節』と聖ブリジッドつながり(2021年2月)

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ツタの葉にちょっと隠れてしまいましたが、イグサで編まれたセント・ブリジッド・クロス(聖ブリジッドの十字架)もそこここに

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こちらは手裏剣型のセント・ブリジッド・クロス。木の枝にさりげなく飾られていました

「聖ブリジッドの泉」はアイルランド各地に数えきれないほどありますが、彼女が創始した聖ブリジッド大聖堂のすぐ近くにあるこのキルデアの泉が代表的なものとされるようです。
この辺りは今も聖ブリジッド信仰が根強く、地元の人たちが大切に守っているようでした。

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美しい聖女ブリジッド像。今日は特におめかしして、美しいバラの花をつけていました

聖水は整備された水路を通って、石のアーチをくぐって聖女ブリジッド像の足元へ流れています。
私がぜひ見たかったのは、アーチ下に置かれた細長いカタチの、この2つの石。

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「聖女ブリジッドのスリッパ」…だそう!足のサイズ、大きすぎませんか?笑

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こちらが泉。何人もの人がペットボトルを持って並び、聖水を汲んでいました。伝統的にはこの水に浸した布切れを身体の傷や痛みのある箇所にこすりつけ、その布を泉の横の木の枝に結ぶと傷が癒える、と言い伝えられています(回復すると布切れが枝からハラりと落ちるのだとか)

もうちょっとゆっくりしたかったのですが、儀式をする集団がやって来て泉周辺が占拠されてしまったのと、車を停めた場所が細い道だったので通行を阻害してやしないかと気になって、ひと通り見てそそくさと退散することに。
おかげ様で私自身の健康状態は今のところブリジッド様にお願いするようなことはないので、現在闘病中の2人の友人の一日も早い回復を、しっかり祈願させてもらいました。

ちなみに来年2023年より、2月1日は国民の休日になるそうです!
聖女ブリジッド祭は今後ますます盛んになることでしょう。

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入口の祠には、訪れた人がキャンドルを捧げるエリアも
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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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