昨日アイススケートをしに行ったSSEアリーナ(
SSE Arena, Belfast, Northern Ireland)は、ベルファースト・ジャイアンツ(
Belfast Giants)というアイスホッケー・チームのホーム・アリーナ。
数年前にここで、アイスホッケー世界選手権の日本対UKの試合を観たことがあり、それ以来、ジャイアンツの試合も見てみたい!と思い続けていたのが、先日ついに叶いました。(写真はすべて12月12日の試合時)

夏季にはコンサートなどで使用されるSSEアリーナですが、冬季はアイスホッケー·リンクとなりUKリーグの試合が週に1~2回行われています
ベルファースト・ジャイアンツはUKのエリート・リーグ10チームの中、常にトップを争う強豪で、2018~19年の前シーズン(2019~20年はコロナ禍で中止)のリーグ・チャンピオン。この日はイングランドの名門チーム、ノッテンガム・パンサーズを迎えての対戦でした。

試合開始の演出が派手!炎が燃え上がり、その間から選手が登場してアリーナをクルクル滑ります

激しいゲーム!ジャイアンツのジャージはティール、パンサーズは白です
世界最速のスポーツはアイスホッケー…と聞いたことがありますが(そして、アイルランドの国技ハーリングがそれに次ぐ、とも)、展開を追うのが大変なくらいの速さ。フィジカルで激しくて、格闘技みたい。
私もティールのジャージを着て、地元の熱狂的なファンに混じって歓声を上げました!
アイルランド島にアイスホッケー・チームがあることに驚かれる方もおられることでしょう。
冬の寒さが厳しくないアイルランドはウィンター・スポーツの伝統がありません。ベルファースト・ジャイアンツの創立も1997年(リーグ参加は2000年から)と歴史は比較的新しく、その背景には北アイルランド紛争の終焉があります。
1998年のベルファースト合意で北アイルランドの政治的和平が樹立したものの、コミュニティー間に根付いたセクタリズム(宗教などによる派閥主義)を払拭するのは容易なことではなく、紛争終結から20年以上経った今も問題は解決しきれていません。
和平樹立の直後、ベルファーストの再生プロジェクト(ミレニアム・プロジェクト)の一環として複合施設オデュッセイが新設。そこに新しい文化として組み込まれたのが、宗派や特定のコミュニティーの影響を受けないアイスホッケーでした。
例えばUKのサッカーは、セルティックはカトリックのコミュニティーが、レンジャーズはプロテスタントのコミュニティーが…と、創立の背景に宗派が関係している場合があります。(だからサポーターもそれをフォローするカタチに)
北アイルランドの田舎では、かつてはプロテスタントの子どもたちはラグビー・ボールを、カトリックの子どもたちはゲーリック・フットボールのボールを手にしているのが普通で、その様子を見ればその村がどちらの宗派に属するのか一目瞭然でした。
そのような「分断」を助長することのない、ベルファースト市民、さらには北アイルランドの住民がひとつになって応援出来るチームを、という趣旨で結成されたのがジャイアンツで、いわば、北アイルランド和平の象徴とも言えるスポーツ・チームなのです。
チームのポリシーとして、サッカー・チームの色や、政治的・宗教的な派閥を示す旗はSSEアリーナでは禁止。ほかのUKのアリーナでは試合前にイギリス国歌を流すそうですが、それもここでは行われません。
チームの創設者はカナダ人で、選手もカナダ、アメリカ、イングランド、スコットランドなどから。地元北アイルランド出身の人はいなかったような。
出身地に関わらず、プレイが優れた選手が人気となり、それを老いも若きも一緒になってベルファースト訛りで歓声をあげて応援している。そんな様子を目の当たりにして、紛争から和平へ、さらには北アイルランドの明るい未来が垣間見られたような気がして嬉しくなりました。
ダブリンとは違った、ベルファーストならではの、のんびり&ほのぼの感も良かったです。
まず試合開始が15分ほど遅れた。でも、誰も何も言わない。(開始時間を過ぎてから、リンク上をエスコートされてヨタヨタ歩いて来る年配の女性あり。この人が審判席のようなところへどしん!と腰をおろしたら試合が始まった。重要人物で、彼女の到着を待っていたのか?笑)
そして、ジャイアンツが得点すると、船の汽笛が「ボーーー」と鳴り響くのも笑えます。スポンサーがステナライン(Stena Line)というフェリー会社だから?(笑)

アイスホッケーの試合単位は20分x3回。各ピリオドの間に15分の休憩があり、最初の休憩では、若いフィギャアスケーターの余興が。名前が分からないので、羽生君~と声援を(笑)

そして、次の休憩ではなんとフィン・マックールが登場!きゃ~、フィンのファンなんです、私💓
奇岩の名所ジャイアンツ・コーズウェイ(Giants Causeway)を造った巨人。スコットランドの巨人ベンドナーとの果たし合いにおじけづき、奥さんと結託して赤ん坊のふりをするという頓智で乗り切った神話は有名。
ベルファースト・ジャイアンツのチーム名の由来が、この「巨人」です。

チームのロゴにもなっているフィン・マックール。ジャージにもこれがデザインされています♪
試合後半になると両チームとも殺気だってきて、氷の上で乱闘が勃発。そうなると観客は俄然盛り上がり、もっとヤレヤレ~ムードになるのが可笑しかったです。

ゴールで倒れるパンサーズの選手。ここで選手同士の揉み合いが。背後で一見、心配そうに見守るフィン・マックール(ですが、実はフィンもヤレヤレ~と盛り上げていた・笑)
この日の試合結果は7-2でジャイアンツの勝利。9月から始まったリーグ戦で、ホームではほぼ全勝しているジャイアンツ、今季も優勝を狙えるかな?

勝利にわく観客席。大満足の、初めてのジャイアンツの試合観戦でした♪
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