いやはや、スゴイ試合でした、昨日のラグビー!🏉
ホームのダブリン、アヴィヴァ・スタジアム(
AVIVA Stadium)にオールブラックスを迎えての、オータムネーションズシリーズ第2戦目。
アイルランドは序盤からずっと攻めも守りも文句なしの素晴らしさで、世界一のチームに29-20で勝利!
いつかのどこかの国代表との大試合で解説者が思わず叫び、いつまでもマネされていたフレーズ、「キャン・ニュー・ビリーヴィット(Can you believe it)!」(←伸ばし気味にゆっくり言う・笑)を100回くらい連発したくなるような結末で、嬉しさと信じられなさ入り混じる、忘れ得ぬ勝利となりました。
5万人を埋め尽くしたスタジアムの盛り上がりようと言ったら!アヴィヴァの屋根が落ちるほど…とSNSで形容されていましたが、自宅でTV観戦していた我が家の屋根も落ちてもおかしくないほどでした!
(ちなみにアヴィヴァには屋根はありません・笑)
信じられないくらい…とは言えど、実はこの勝利、私は初めから信じていたかも。
先週、日本代表に圧勝した時のアイルランドの「熱」と言いますか、ゆるぎない自信のようなものをスタジアムで目の当たりにし、この一週間ずっと会う人会う人に、アイルランドはニュージーランドにもきっと勝つ!と言い続けていたから。
ラグビーの技術的なことは分からないけれど、先週の日本戦から明らかに、アイルランドのプレイスタイルが進化しましたよね。これまではキックしてドーン、またキックしてドーンみたい感じだったのが、横にしゅるしゅる流れるようになった。
試合後のインタビューで、アイルランドの新しいプレイスタイルについて尋ねられたキャプテンのジョニー・セクストンはこう言っていました。「新しくしたというわけではなく、ちょっとクリックした(ピンときた)だけ」と。
新たにコーチ陣に加わったかつての名プレイヤー、ポール・オコンネルの指導の影響もあるのでしょうか。
先週の日本戦同様、敵陣にプレイする隙を与えない試合運びで、ほとんどアイルランドが攻めっぱなし。それでも相手はオールブラックスですから、さすがにしぶとかったですね…。
特に前半40分の後半、逆転されてからはハラハラしました。タイグ・ファーロングのトライが認められなかったり、チャンスは多いのになかなかモノに出来なかったりして。ジョニーのクレーマーぶりも復活して、レフリーにたしなめられ、ニュージーランドの選手も暴言で応酬したりして。(アイリッシュマンは「Mouthy c**t」だ、とかとんでもないことを言ってませんでした?)
このまま後半はオールブラックスに攻め返されてしまうのでは…と私の自信も揺らぎかけましたが、そうはならなかった!
昨日の試合は若手勢の活躍が際立ち、アイリッシュラグビーの明るい未来が見える一戦でもありました。
98年生まれコンビのローナン・ケラハーと、特にラグビーが強いわけではないメイヨー(Co. Mayo)出身の若きヒーロー、マン・オヴ・ザ・マッチに輝いたケイラン・ドリスの素晴らしかったこと!そして、リングローズも頭から血を流しながらプレイを続行、ヒューゴ・キーナンもこれまでになくリライアブルで、ロブ・カーニーの域に近づいてきた感が。
そして、個人的に私がとても嬉しかったのは、
キラキラのプレイと笑顔がまぶしいジェイムズ・ロウ君の活躍です。
マオリの血を引くニュージーランド出身のロウ君は、幼いころからオールブラックスでプレイするのが夢でした。祖国で代表入り叶わず、アイルランドへ移住し、昨年のシックスネーションズでアイルランド代表デビュー。夢見たチームを敵に回して対戦することになった胸のうちを思うと、昨日の彼が烈火のごとく燃えていたのはさもありなん!
日本戦に続き、序盤に先発トライを決めたのはもちろん、果敢なタックルでペナルティーキックを奪い終盤のピンチを救い、勝利への道筋をつけたロウ君。彼はディフェンスが弱いと非難を浴びていて、私も陰ながら心を痛めていたのですが、そんなノイズをかき消すような素晴らしいディフェンス力を見せつけ、本人はもちろん、キャプテンのジョニーも試合後のインタビューで特にそれを喜んでいました。
ニュージーランドから一緒に来たガールフレンドと近ごろ婚約し、私生活も絶好調。私も
「ジェイムズ・ロウ」バーガーもっと食べるから、アイルランドのために頑張って、ロウ君!(←いやいや、関係ないって・笑)
ちなみにロウ君がタックルして倒したニュージーランド13番のリコ・イオネア(Rieko Ioane)選手ですが、2人の間には、その昔、リコが彗星のごとく現れてロウ君のオールブラックス入りが阻まれた…という因縁があります。もしリコがいなかったら、ロウ君は順当にオールブラックス入りを果たし、今ごろアイルランドの敵陣で戦っていたかもしれないのです。
試合後のインタビューでも、リコから奪ったあのペナルティーは特別、と言っていたロウ君。そして、祖国の国歌を聞き、ハカの前に立つことが出来て夢が叶った、とも。彼自身のラグビー人生における勝利の瞬間でもあったんですね。
それを物語るようなカッツポーズがいい!笑
アイルランドがニュージーランドに勝利したのは、2016年、2018年に続き、史上3度目。オールブラックにはどうしても勝ち星を挙げることが出来ず、2016年シカゴでの初勝利は、なんと111年越しだったんです。
※日本語で詳しい経緯を記した記事あり→
111年かかった対NZ初勝利(Rugby World Cup)
その2年後、2018年にはホームで2度目の勝利。まさにアヴィヴァの奇跡と呼ぶにふさわしい、熾烈でフィジカルなゲームで、マン・オヴ・ザ・マッチに輝いたピーター・オマホニーなんて、このまま死んでしまうのではないかと見えたほど。
その時日本に滞在中だった私はリアルタイムで観ることが出来ず、試合結果を知ってから観たのですが、それでも涙が出ました。
2019年W杯では順々決勝でニュージーランドと対戦。3度目の勝利をあげることが期待されるも惨敗し、「アイルランドはW杯ではベスト8以上にいけない」ジンクスをまたもや覆すことが出来ませんでした。
あのときの悔しさをぶつけて、今回ホームで再び奇跡の勝利を挙げたわけですが、もはや奇跡とは言わせない!というほどに、過去のオールブラックスとの対戦中、もっとも素晴らしいと世界が認めざるを得ないパフォーマンスでした。
ちなみに、アイルランドも昔からラグビーが強かったわけではなく、ファイブネーションズ(現シックスネーションズ)時代には最下位をウロウロしていました。90年代にプロ化され、2000年代のブライアン・オドリスコル率いる時代を経て、今ようやくオールブラックスに勝てるチームに成長してきたところ。
それを思うと、日本のラグビーにも希望が見えてくるというもの。昨日はポルトガルに苦戦しつつも白星を挙げアウェイでの経験をまたひとつ増やしましたし、世界一のチームを破るようなアイルランドを敗北させたヒストリーがあるのですから、今後、時間をかけてより強くなり、またアイルランドと善戦する日が来ることを願うばかりです。
ちなみに、昨日の試合中、バンディ・アキの背番号(12)がなかった~。どうして?(笑)
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コメント
Hongnao
土曜日の試合、凄かったですねえ。あまりにバクバクしてしまって途中で見るのやめて目が覚めたら結果だけ見ようかとも考えてしまいました(-_-;) でも、ドキドキしたまま眠れるはずもなく、あの試合を見逃したら絶対に後悔すると思いなおし必死で見続けました。
前半あれだけ攻め込んでいたのにトライがとれない、でもあれは何度も何度もゴール前で反則せずに守りぬいたNZを称賛するべきなのでしょう、あの攻めも凄かったし守りも凄かった。NZが300近いタックルをした試合なんてそうそうあるものではない(されたことはたくさんありそうだけど)真に強いチームは守れるチームなんだなあと実感しました、それでもあれほど自陣に張り付いてるAll Blacksを見ることはなかなかないとは思いますが。
前半攻めきれなったことで後半悪いほうに行くんじゃないかとバクバク度マックスでしたが、攻守目まぐるしく入れ替わりつつ両チームレフェリーへのフラストレーションを抱えつつも全くダレたシーンのないどっちもナイスパフォーマンスだったと思います。両チーム相当疲れたでしょうねえ。
ただ、あくまで個人的見解ながら、バレット兄がもう少し長くプレーできていたらもう少し違った展開もあったかも、彼がいなくなってからNZがちょっと個人技に走ってたような印象が…..でも一瞬のスキをついてトライできるスキルは全員お持ちですけどね(;^_^A
Lowe君、攻守で凄かった!特にあのタックル!!足を止めるだけではオフロードパスがお家芸の対NZとしては不十分だと思ったからか、タックルを上半身まで持ち上げてボールと腕を抱え込むようにして倒してボールを出させなかった!NZで揉まれてきた彼にはちゃんとわかっていたのでしょう。ABに憧れていた彼がAB相手に最高のパフォーマンス!
そしてあそこにいた4人にだけわかる感慨とか思いがあるのでしょうね、カパオを反対側から見るってどんな思いが上がってくるのかなあなんて勝手に感傷に浸ってみたりして….Irelands call歌っている時4人がクローズアップされてたし、試合後とってもうれしそうにABメンズとハグし合ってる姿がなんかとても良かったです。
それにしてもスタンドがあれだけ熱くなるってのも凄いですよね、カパオに大合唱が被さってきた時は鳥肌立ちました。そして戻ってきたキックの時の静寂、間違いなく全員が16人目でした。
この試合は結果がわかっていても見直すたびにどっと疲れます。
ナオコさんは今度の日曜日は再びAVIVAですね、今度は100%でIrelandを応援してきてください。
コメント長すぎでごめんない。
2021/11/15 URL 編集
naokoguide
さすがな解説、ありがとうございます。あの試合の価値がより高まりました!Hongnaoさんのお隣りで、解説してもらいながら試合を見たいです~。
オールブラックスのメンバーのことがわからないので、アイルランド側しか目がいかなかったけれど、Hongnaoさんのこのコメントを踏まえてもう一度試合を見返そうと思います。
真に強いチームは守れるチーム、なるほど、その通りですね。アイルランドがあれだけゴールぎりぎりにいながらトライ出来ず、ディフェンス側が反則しないってスゴイことなんだ、って分かりました。オールブラックスのタックル数、スゴイですよね。
そうそう、アイルランドのNZ陣がよく映されてましたよね。ギブソンパークも良かった(最近、彼の若ハゲがかわいく思えてきた・笑)
ハカを反対側から見て、複雑な心境なのかと思いきや、ロウ君は逆に「オールブラックスでプレイしたいという子供の頃からの夢がこれで叶った」って言っていたのが印象的でした。当地メディアでは、ロウ君は言葉遣いもアイリッシュになってきた!と話題です♪
あー、Hongnaoさんとシックスネーションズをご一緒に見たいです!!!
2021/11/15 URL 編集
Hongnao
もちろんSixNationsご一緒できたらなんと幸せか…実はチケットほしくて年間メンバーになったこともあります、でも抽選はずれでしたけど😰 ハイクラスメンバーさんとお知り合いになりたいものです。
それと私はルールには疎いのでLiveではただただ一喜一憂してるだけです、あとで何度も見直してチェックしてやっと理解してるって次第です😅
(だから2018年の雪のセントパトリックデーのEnland戦を見たいんですがフルバージョンが見つからず😂)
また長くなっちゃいました🙏
12月はChampionsCupに燃えたいと思ってます。
2021/11/15 URL 編集
naokoguide
フルバージョン、最近、YouTubeにあがってます!
あとでメールでリンクを送りますね!
2021/11/15 URL 編集