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『アンという名の少女』シーズン2&3と、伏線となる名作小説たち

NHKで放送が始まった『アンという名の少女』シーズン2、皆さん、観てますか?
小説『赤毛のアン』をベースに、カナダCBCとネットフリックスが共同制作したドラマシリーズ。昨年秋にシーズン1がNHKで放送されるに当たり、感想&アンを演じるアイルランド出身のエイミーべス・マクナルティ(Amybeth McNulty)について書きましたが(→『アンという名の少女』が見せてくれる「新しい」アン)、シーズン2以降についても思うところ多々あり、です。

ドラマは別モノ…とはわかりながらも、原作ファンとしてはどうしても見る目が厳しくなるのが常。
シーズン1は「新生アン」として受け入れ、笑い泣きしながら大いに楽しむ域に達することが出来ましたが、上記ブログ記事の最後で懸念した通り、やはりシーズン2は…難しかった!(笑)
シーズン1を見終わり、ネットフリックスで続けて2を観始めたところ、第1話の海辺のシーンでマシューがステテコ姿になったのを見て、やっぱりダメかも…と。
シーズン1の初期の頃、あのマシューが馬に乗って疾走するなんて…と腰を抜かしそうになった時には、アン仲間の「草刈正雄だと思えばいいのよ~」のひと言でなぜか心がおさまったのですが、ステテコ姿のマシューはいったい誰と思えばいいの~と、うろたえるばかり。
物語のトーンは暗~いし(NHKでは夜遅い時間の放送なのでより怖い感じらしい)、『アン』の世界観からどんどん乖離していく。ドラマとしては面白いのかもしれないけれど、どうしてこれを『アン』で、グリンゲイブルズでやらなくちゃならないの?と心がかき乱され、マシューのプライバシーに立ち入るお節介なアンにもムカついて、第4話あたりで挫折したのが一年程前のこと。

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原題は『Anne with an "E"』、シーズン2は2018年にネットフリックスで配信開始されました(写真はこちらから借用)

しかし今回、NHKでの放送にあたり、やはりアン仲間とのドラマ談義についていけなくなるのはイヤ!と意を決して続きを観たのです。
一年寝かせたことで私の気持ちが冷静になったのか、はたまた第5話から物語が好転したのか。いや~、なかなか良いではないですか、シーズン2の後半。ときどきこみあげる、いくら最近のトレンドだからってフェミニズムを強調しすぎではないですか、というモヤモヤさえ押さえれば大丈夫。
NHKでは今夜が第4話の放送ですよね。今、観るのが辛いという全国の『アン』ファンの皆さんに声を大にして言いたい。間もなくギルが、ステイシー先生が、そしてコールがジョセフィン伯母さんが盛り上げてくれますので、ぜひ頑張って見続けてください!

そして、シーズン3はさらに良いです。私はシーズン2の後半からそのまま3に流れ込み、最終話までいっきに観てしまいました。
2に続いて3も11月よりNHKで放送予定とのことですので、皆さん、頑張って2を乗り越えて(笑)、3をお楽しみに。やはりさまざまな苦難が織り込まれてはいますが、現実離れしたはちゃめちゃ感はなく、共感できるレベルです。
個人的には3を観終えて、このドラマを通して成長、脱皮したかような清々しい「新生」マリラとマシューが大好きになりました。今ではもう、マシューのステテコ姿もバッチリ受け入れられます!(笑)
シーズン3についてはほかにも書きたいことがありますが、NHKで観ている方にはもうちょっと先のこととなりますので、後日また改めて。

ところで、現状では『アンという名の少女』はシーズン3で完結…というより、打ち切らてしまっています。もともと続きがある前提で製作されていたので、3の最後は少々無理やりまとめた感がある上、未解決の案件も残ります。
2019年の打ち切り発表後、熱烈なファンたちは自らを「Anne Nation」(「アンの国の人々」、「アン民」、って感じでしょうか)と名乗り、シーズン続行を嘆願するネット上での著名運動を繰り広げました。ネットフリックス以外の配信先で続行されるとの噂もありますが、希望的観測の域を出ず、シーズン4については未確定なままです。

ですから、全シーズンを観終わってしまうと別の意味でモヤモヤするのですが、それを埋めるためにも今私がしようとしていることは、ドラマのストーリーの伏線となっている名作小説を読むこと。
シーズン1をご覧になられた方は、このドラマがシャーロット・ブロンテ作『ジェーン・エア』へのオマージュとなっていることに気づかれたことでしょう。『ジェーン・エア』は、小説『赤毛のアン』の作者モンゴメリの愛読書でもあり、アンもジェーンも孤児であるという類似点など作品への影響がしばしば指摘されてきた、いわば『赤毛のアン』のベースなり、ヒントなりになった「かもしれない」作品です。
ドラマではそれをアンの愛読書として具体的に登場させ、さらには各回の副題をすべて『ジェーン・エア』からの引用にするという凝りよう。このことはNHKのサイトでも紹介されていました。
(ちなみに『ジェーン・エア』はシーズン2の終わりの方でも再登場しますので、お楽しみに!)
副題はアンの好きな「ジェーン・エア」(NHK)

そしてこの、副題を名作小説から引用するという手法がシーズン2&3でも踏襲されていて、シーズン2はジョージ・エリオット作『ミドルマーチ』、シーズン3はメアリー・シェリー作『フランケンシュタイン』なんです。
文学好きにはなんと嬉しい仕掛けでしょう!

シャーロット・ブロンテ、ジョージ・エリオット(本名はメアリー・アン・エヴァンス)、メアリー・シェリーという18~19世紀を生きた、3人のイギリス人女流作家には共通する点が多くあります。
女性が生きにくかった封建的な世の中にあって、差別や偏見に屈することなく、自分の生き方を貫いたということ。ブロンテもエリオットも本を出版するために男性名をペンネームとしましたし、エリオットとシェリーは当時としては革命的とも言える奔放な恋愛や結婚をしました。
そして、3人とも幼少期に母親を亡くし、実の母に育てられることがなかったという点でも共通しています。
ジェンダー、家族、アイデンティティー、差別や偏見…といった実在の彼女たちも直面したであろう問題がドラマの中のアンに投影され、名作のパロディというかたちを借りて、現代の社会問題を提起していく…というのが、ドラマ『アンという名の少女』の醍醐味と言えるでしょう。

単なる『赤毛のアン』の現代への置き換えというのではない、製作者の一貫したメッセージが何層にも織り込まれた重厚な作り。私のように、初めは観ることさえ拒んでいた原作信奉者までをも巻き込んで感動させてしまう、ものすごい力のあるドラマなのでした。

さて、『ジェーン・エア』は何度も読んでいますが、『ミドルマーチ』と『フランケンシュタイン』は未読。いずれも名作なのでだいたいのあらすじは知っているものの、そう言えばちゃんと読んだことないなあ、という作品です。
おそらく、『赤毛のアン』の作者モンゴメリも読んでいたでしょうし(モンゴメリの日記には、ブロンテとエリオットを並べて敬意を称する記述あり)、これを機にこの秋の読書リストに加え、早速に『ミドルマーチ』から読み始めました。
外は冷たい風の吹く日曜日。暖炉の前でリンゴでもかじりながらぬくぬくと読書すれば、気分はグリンゲイブルズのアンそのもの。マリラの敷物がないけれど、そこは想像力で補うことにしましょう♪

※ちょっとだけ関連、過去ブログ→マイケル・フェスベンダーの映画『ジェーン・エア』と、シャーロット・ブロンテ(2020年5月)
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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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