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ダブリンの下町が熱い!女子ボクサー、ケリー・ハリントンが金メダルへ王手

オリンピックもいよいよ終盤。小国ながらも頑張っているアイルランドですが、メダル獲得数はこのままボート競技男女2、ボクシング男子1の合計3つで終了か…と思っていた矢先、開会式で旗手をつとめたボクシング女子ライト級のケリー・ハリントン(Kellie Harrington)選手のメダルが確定!
さらに一昨日の準決勝での勝利で、確定メダルの色は銅から銀にアップグレード。オリンピック最終日、閉会式の数時間前に行われる金メダルをかけた決勝で再びリングに上がるケリーが見られることになり、盛り上がりが続いています。

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ケリーのご実家にあるダブリン市内ポートランド・ロウ(Portland Row, Dublin 1)にて。どの家にもこの看板が。頑張れ、ケリー!

女子ボクシングと言えば、初めてオリンピック種目に加えられた2012年ロンドン大会で、ウィックロウ県ブレイ(Bray, Co. Wicklow)出身のケイティ・テイラー(Katie Taylor)選手が金メダルに輝き、一大フィーバーを起こしたのは記憶に新しいところ。
女子のボクシング・ブームが巻き起こり、それから間もなく日本のTV番組の取材でダブリン市内のボクシング・ジムを訪れるとケイティに憧れるティーンエージャーの女の子たちでいっぱいで、ケイティ効果を実感した覚えがあります。
※関連過去ブログ→ロンドン・オリンピック、アイルランドの期待の星、ケイティ・テイラー(2012年8月)/おめでとう、ケイティ、ついに金メダル!(2012年8月)/頑張れ、チビッ子ボクサー!(2013年11月)

リオ・オリンピック後にケイティがプロに転向した後、女子ボクシング界で頭角を現し始めたのが、現在31歳のケリーです。
彼女が育ったのはダブリン市街地ノース・サイドの、昔ながらの下町風情あふれるエリア。ご実家のあるポートランド・ロウ(Portland Row, Dublin 1)がケリーの健闘をたたえて大フィーバーしているというので、昨日近くへいったついでに通りを歩いてみました。

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通り一帯が熱い!すべての家にアイルランド国旗、ケリーの顔写真などが。赤い車が停まっていますが、この車の後ろの窓ガラスにもケリーの写真が貼ってありました

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ケリー&残念ながら負けてしまった男子ボクシングのエメット・ブレナン選手の写真も。国旗のほかにダブリンのブルーの旗が出ているのは、国技のゲーリックフットボールでダブリンが勝利しているからです。オリンピックのほかにも、国技のゲーリックフットボール&ハーリングの県対抗戦も大詰めですし、南アで行われているライオンズのラグビーも続行中…と、アイルランドは今、スポーツ観戦目白押しなのです

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こちらがニュースで何度も映し出されているケリーのご実家前。メダリストへのブーケの花でもあるヒマワリが。バナーの「ゴー、ケリー、ゴー、ケリー、ゴー」もいいですね~ ※ヒマワリについて過去ブログ→ヒマワリをいただきました(カーロウのヒマワリ畑より)

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ご実家の壁には、地元の子どもたちからと思われる応援メッセージが飾られていました

ボクシングはアイルランドが国際的に秀でているスポーツのひとつで、昔からのお家芸…とでもいいましょうか。国が貧しかった時代には身一つでリングにあがり、一攫千金を目指す手立てでもありました。
貧しさをバネに闘魂燃して夢と希望を手にする伝統は移民先でも根付き、アメリカのボクシングはアイルランド系コミュニティーで盛んなようです。クリント・イーストウッド監督・主演の映画『ミリオンダラー・ベイビー(Million Dollar Baby)』(2004)が、まさにそれでしたよね。ガウンのアイルランド語の「モ・クシュラ」、病床でのイェーツの詩の朗読など、アイリッシュネスが散りばめられていました。
そのほかにも映画に見るアイルランドとボクシングの関係としては、古くは『静かなる男(The Quiet Man)』(1952)でジョン・ウェイン演じるアメリカ帰りの男性ショーンが元ボクサーでしたし、トム・クルーズ主演の『遥かなる大地へ(Far And Away)』(1992)ではアメリカへ渡った主人公が酒場でリングにあがり一攫千金を目指すシーンがありました。

話はケリーに戻って、地元コミュニティーがこれだけ熱くケリーを応援するのは、ケリー自身そしてご家族のお人柄と、これまでいかに地元に貢献してきたかということの表れでもあるよう。
試合後のインタビューでケリーが常に言うのは、「自分のファイト(試合)で、故郷の人たちが笑顔になってくれたら嬉しい」ということ。彼女がボクシングを頑張る動機は、人々を元気づけることにあるようなのです。
こちらのIrish Independant紙の記事では、ケリーのことを「心が金メダル」と見出しで評し、ご家族とケリー自身の人柄を周囲の評判を通して伝えています。
Heart of gold: Boxer Kellie Harrington has nothing to prove to friends outside the ring (Independant.ie)

パンデミックでオリンピックが一年延期された間、自ら進んで病院の清掃員の仕事を始めたというケリー。これまでもご近所の難病の子どもの治療費をボクシングでファンドレイジングしたり、ボクサーを目指す子どもに庭でトレーニングしてあげたりと、その笑顔とファイトで地元を支えてきました。
ダブリンは伝統的にリフィー川をはさんでノースとサウスに住み分けられ、そこにはいわゆる「階級」の差が。労働者階級の下町がノース、特権階級の山の手がサウス。それぞれが地元に誇りと愛着を持っているものの、ノース・サイドでは特にそれが強い。
ケリーの両親の教えは、「Be kind(人にやさしく)」、そして「Step forward(前向きに)」だそう。これぞ昔ながらのダブリンの下町気質ではありませんか。
(ちなみにケリーの同性のパートナーはサウス・サイド出身。育った環境の差を越えて愛を育み、今やノース、サウスは気にならないとのこと)

こちらの動画は一昨日の朝6時過ぎ、ケリーが準決勝で勝利して銀メダル以上確定となったときのポートランド・ロウの様子です。パジャマ姿で家の前に飛び出すご近所さんたちが熱い!
お母さんはやはり、娘の試合は見られないんですね。TVから離れて裏庭にいて、ご近所の歓声で娘の勝利を知った、って。
「地元の士気を高めてくれた」と感極まるご近所さん、「信じられないわ~」と言うおませな女の子、「ゴー、ケリー、ポートランド・ロウがついてるわよ~」叫ぶおばあちゃんも、みんな、いいですね~。



金メダルをかけたケリーの決勝は、8日(日)日本時間午後2時より。アイルランドでは朝の6時ですが、多くの人が今回のオリンピックの締めくくりとして早起きして声援を送ることでしょう。ゴー、ケリー、メダルの色が何色でもアイルランドの誇りです!
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コメント

sima-s

「同性のパートナー」が当たり前に受け止められていることに、新鮮な驚き。そういえば前のティーショックもそうでしたっけ。素敵なことですね。
ダブリン内で「労働者階級のノース、特権階級のサウス」。そっか、私の好きなU2メンバーも、もうとっくにサウス側なのですね。だから何というわけでもないですが。
ナオコさまの愛あふれる記事を読んで、ケリーさんのこと、私も応援したくなりました。
(実はほとんどオリンピック見てないのですが(^^;)老親介護も仕事も休み無し、貧乏暇なし)
勝っても勝たなくても、アイルランドの誇る選手、敬愛してますYO~!

naokoguide

sima-sさんへ
そうですね、同性婚が合法的に認められたのが6年前、アイルランドでも新しいことではありますが、感覚的には今や普通ですね。
そうでした、U2もノースサイド出身、今はサウスサイダーだけど。
ケリー・ハリントン選手も今はサウスサイドに住んでいます。みな成功するとサウスサイドへ(笑)
でも、そうやって、ノース、サウスをジョークにして、ダブリンの人は面白がっている面もあり、ですね。
ゴー、ケリー!私もサーフィン、競泳以外は結果を追うのみで競技はちゃんと見られてないのですが、明日はケリーの試合を見て、閉会式はコワいもの見たさでチラリのぞき見しようと思います~笑

ようはっぱ

私も応援します。
すてきな選手の紹介をありがとうございます。
ボクシング、、、「あしたのジョー」くらいしか馴染みがなかったんですが。
教え子のお母さんが始められたり、近所にボクシングレッスン場?ができたり、「へえー、意外と身近なんや。」と思いました。
大阪では今日7日13:55にNHKのEテレでボクシングも中継があるみたいです。
試合のあたりに用事があるので、見れないかもしれないので、録画予約しました。
がんばれ!!ケリーさん!!

naokoguide

Re: 私も応援します。
「あしたのジョー」!確かに(笑)
私もアイルランドに来るまでは、ボクシングと言えば「がんばれ元気」くらいしか馴染みがありませんでした(笑)
ようはっぱさんの身近でもボクシング・ブーム(?)なんですね!
間もなくゴングが鳴ります。早起きしてTVをつけています。
勝っても負けてもメダリストですが、ここまで来たら、金をとらせてあげたいですね!

-

金メダルだ!やったー!
おめでとうケリー!!!

naokoguide

ようはっぱさん、
やったー!
やりましたねー、素晴らしいファイトをありがとう、ケリー!
今、ケリーの実家前から中継してますが、近所の人が駈け寄って、お母さんがおぶられて、シャンパンあけて、大変なことになってます!💓

ようはっぱ

すごかった。
さっき、録画を見ました。
ケリーさん、金メダル、おめでとうございます。
入場からすごい気迫で、試合終わった時とは別人のようでしたね。びっくり。
ボクシングの試合、ルールがよくわからなかったけど、二人の勝ちたい気持ちにぐっとくるものがありました。

オリンピックで初めてちゃんと最後まで試合を見ました。
ケリーさん、素晴らしい時間をありがとう。
日本のテレビでも病院の清掃員をしているって紹介されていましたね。
まだ続けられるのかな。病院に戻ったら大変なことになってるでしょうね。
私も明日からお掃除の仕事、笑顔と気迫でがんばります。
これからも応援しますねー、ケリーさん。

naokoguide

Re: すごかった。
ようはっぱさん、日本のTVでケリーのことが報じられていたこと、教えて下さってありがとうございます。
そういう、選手の横顔や人柄が報じられるのって、なんだか嬉しい。
2人ともすごい気迫で試合して、試合後に抱き合うのがいいですよね。表彰台にあがっても涙がとまらないケリーを見ながら、私も感激でおいおい泣いてしまいました。
オリンピック、やってくれて日本ありがとう、ってみんな言っています!
非公開コメント

naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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