昨年の夏のカウンティー・メイヨーでの夏休み。ダウンパトリック・ヘッド(
Downpatrick Head, Co. Mayo)周辺で数日間を過ごしましたが、ダブリンから長時間のドライブをしても行く価値のある美しいエリアでした。
すっかり時間が経ってしまいましたが、書きかけのままアップ出来ていない日記をまとめておきたいと思います。
メイヨーで夏休み① 絶景!夕暮れ時の岩の柱、ドゥーン・ブリシュタメイヨーで夏休み② 誰もいないビーチで泳ぐ!メイヨーで夏休み③ 海辺の宿ステラ・マリス・ホテル (いずれも2021年7月)
まるで海中から生え上がってきたかのような岩の柱、ドゥーン・ブリシュタ(Dun Briste)をひと目見たくて、はるばる訪れたダウンパトリック・ヘッド。

夕暮れ時のドゥーン・ブリシュタ!到着した夜、何はさておき、まずここへ…
アイルランド語で「壊れた砦(Broken fort)」を意味する、高さ45メートルの岩の柱。
かつては本土とアーチでつながっていたそうですが、1393年の大嵐で崩れ落ち、現在の姿になったと考えられています。
3日間ほどの滞在中、私たちは時間を変えて数回訪れ、奇岩を眺めつくしました。

角度を変えて、岬ごと眺めるのも迫力あり

3500万年前、温かい海の底で形成されたという堆積岩の地層が見事
ダウンパトリック・ヘッドにはほかにも見るべきものがいくつかあります。
まずは、岬のど真ん中にある巨大なブロウホール(潮吹き穴)。波で侵食されて陥没した地面に、大きな穴が空いているのです。
「プルナシャンティナ(Pul Na Sean Tinne)」と呼ばれ、アイルランド語で「古い火の穴」の意。海が荒れると水しぶきを吹き上げ、遠目にはまるで煙が立ち込めているかのように見えるからだそう。

この日は海が静かだったので吹き上げる「煙」は見られませんでしたが。穴に安全に近づけるよう、周囲には柵が張りめぐらされていますが、柵がなかったらかなり危険…!
ダウンパトリックという地名は「パトリック砦」の意。アイルランドの守護聖人である聖パトリックがこの地で祈りを捧げ、教会を建てたという言い伝えがあり、パトリック伝説にまつわる立石や十字架が刻まれた石碑があったそうですが、今は失われてしまったとのこと。
カウンティー・メイヨーには、
私たちが先日登った聖パトリックが山頂で40日間断食をして祈ったというクロー・パトリックがありますが、聖パトリックはそこへ行く道中ににこの岬にも立ち寄ったのでしょうか。
かつてはここもキリスト教信者に人気の聖地として知られ、聖金曜日や、「ガーランド・サンデー(Garland Sunday)」と呼ばれる7月最後の日曜日には巡礼者が多く集ったそうです。

古い石造教会の基壇部分あり。聖パトリックの石像は1980年代に建てられたもの
今回ダウンパトリック・ヘッドで確認したかったもうひとつのものは、第2次世界大戦中の「EIRE64」サイン。
中立を宣言していたアイルランドは、1939~42年、沿岸警備のために海岸線一帯に展望所(通称LOP=Look Out Post)を建設。その数は83に及び、ほとんどが戦後に撤去されましたが、ダウンパトリック・ヘッドには現存する数少ない展望所が残されています。

地元のボランティアがここから海岸線を監視。8時間または12時間のシフトでペアで業務に当たったそう。ちなみに、この辺りのふわふわの地面を見て新種の苔か何かかと思いましたが、今思えば人工芝のようなものだったかも。崖に近い部分がこうなっていたので、滑って転び落ちないように、でも自然のままに見えるように…という工夫?
各「LOP」には識別番号が割り当てられ、カウンティー・ラウスの「LOP1」に始まり、海岸を時計回りに周ってカウンティー・ドネゴールのイニシュオーエンの「LOP82」で終わりますが、ダウンパトリックは「LOP64」でした。(「LOP83」だけは例外で、35と36の間、カウンティー・ケリーにあり)
各番号はアイルランドの国名「EIRE(エーラ)」の文字とともに、空から認められる大きさで地面に標識として刻まれ、アメリカから大西洋を横断してくる航空機が方位を失って不時着するのを防ぐのに役立ったということです。
その巨大「EIREサイン」は現在も半数以上が補修工事を加えながら現存しており、ダウンパトリックの「EIRE64」もあるというので、岬であちらこちら探してみました。

空から見ると、こう見えるそう!写真は、
Downpatrick Head:Look Out Post and EIRE 64 sign より

なかなか見つからなかったけれど…。どうにか見つけた「E」!

そして「I」

「R」と、その上に「4」

そして「6」もあった!
ダブリン近郊ドーキー(Dalkey)の「EIRE7」が近年復元され話題となりましたが、こちらは修復はしているものの、80年以上前のオリジナル。
人里離れた場所だったからこそ、沿岸警備の展望所とともに失われることなく保存されたのでしょうね。

最後にもう一度、ドゥーン・ブリシュタ。見返りの塔ならぬ、見返りの石柱。このたたずまい、何度眺めても見飽きがありません!
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