昨年秋に公開予定だったダブリン出身の伝説のロックバンド、ティン・リジー(Thin Lizzy)のリード・ボーカル、フィル・ライノット(Phil Lynott、1949 – 1986)のドキュメンタリー映画『
Phil Lynott: Songs For While I'm Away(フィル・ライノット、ソング・フォー・ワイル・アイム・アウェイ)』。
度重なるロックダウンで延期に次ぐ延期を繰り返しましたが、先週から映画館が再開し、ついに公開。早速観に行ってきました!
※過去ブログにトレーラー掲載→
フィル・リノットのドキュメンタリー映画トレーラー公開!(2020年8月)

テンプルバーのミニ・シアター、
IFI(Temple Bar, Dublin 2)にて。座席は全予約制、感染対策で一列おき、隣りは3席空きでゆったり
いや~、とても良かった。またすぐに観に行きたい!
元リジーのメンバーや音楽仲間たち、フィルのおじさん(と言っても年齢が近く兄弟のように育ったピーターさん)やいとこ、元ガールフレンド、元奥さんと2人の娘さんたち…と、生前のフィルを知る人たちの豊富な談話をナレーション代わりに、フィルの幼少時代から亡くなるまでの写真や映像のプレイバックが綴られていく112分。
全体の構成や編集のトーンがなんともノスタルジックで、私の知らない、そしてフィルが生きた50年代、60年代、70年代、そして80年代のダブリンにしばしタイムスリップしたような気分でした。
リジーのヒットソングも満載で、ファンにはたまらないひととき。ティン・リジーはロックバンドとカテゴライズされるけれど、実際にはジャズ、ポップス、フォーク、テクノなど、ひとつのジャンルにくくりきれない様々な曲があり、時代も世代も越えて愛されるのはそこなのかなあ、とあらためて思いました。
フィルはケルト神話に傾倒していましたから、かつてのケルティック・ルネッサンスの再来みたいなムードが漂う曲や詩もあったりして…。
終了後、ああ、このままずっと大スクリーンに流れるフィルの人生を、曲に合わせて見続けていたい(とは言ってもフィルは死んでしまうのですが)…と思っていたら、同じく座席を立ち去りがたい様子だった往年のファンであろう初老の男性と目が合い、「良かったねぇ」、「フィルの死が今も悲しいねぇ」…などと思わず話が弾みました。
(もしフィルが生きていたら今年72歳。同世代のダブリンの人には懐かしい映像もあったことでしょう)
没後25周辺のフィル・ライノット展で見た写真や、フィルのお母さん著のメモワール『My Boy』(日本語未翻訳)で読んだエピソード、生前のインタビューやコンサート動画もちょこちょこ出てきて、あ、あれ知ってる!とうなづきながら観るのも楽しく、かと思えば、結婚式の写真など私が初めて見るものもありました。
日本のファンの皆さんも、さそかしご覧になりたいことでしょう。日本での公開予定はないのでしょうか。劇場公開が難しくとも、何らかのかたちで配信されることを願うばかりです。
※当地では「フィル・リノット」と発音されるので私もそれに倣っていましたが、正式には「ライノット」だそうで、この映画のタイトルも発音は「ライノット」が正しいとのこと、私もそのようにしました。(リジーの大ファンを公言するこの映画のイーマー・レイノルズ監督も、ついつい「リノット」と言っちゃうけれど「ライノット」なんです、とインタビューで言っていました)
※日本では「シン・リジー」と表記されますが、正しくは「ティン・リジー」です
※フィル・ライノットに関する過去ブログ
フィル・ライノット談義の後日談と、羽生選手の「パリの散歩道」(2021年2月)
フィル・ライノットが育ったクラムリンをめぐる(2021年2月)
シン・リジー結成50周年記念切手!(2019年10月記)
さようなら、フィル・リノットの母・フィロミーナさん(2019年6月記)
ダブリンにてフィル・リノット展開催(2011年3月記)
ジョイスの「ダブリン」とフィル・ライノットの「ダブリン」(2008年12月記)
フィル・ライノットのお墓参り(2008年8月記)
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コメント
Reico
2021/06/17 URL 編集
naokoguide
フィルの特大ポスター、黄色ってところがいいですよね!
フィルと親しかったいろいろな人が出てきて、元ガールフレンドが別れたいきさつめいたことまで話してくれていて、そういう話が出来るほどに時間が経ったってことだなあ、と感慨深かったです。
監督がフィルの大ファンの女性…というのも興味深いですよね。この映画制作のオファーをもらって飛び上がらんばかりに嬉しかったと制作秘話的なインタビューで言っていたのを見ました。
なんとか日本でも見られるようになるといいのですが…。
2021/06/17 URL 編集